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20/03/07 フォードの日本工場の幻と幻の札幌オリンピックと

■今週の新着品2点には ともに「幻の」という枕言葉をつけても良いのかも知れません。
1点目は1925(大正14)年に設立された日本フォード社と同じ年に横浜の子安に開設されたフォードの日本工場に関する印刷物3点。お恥ずかしいお話しですが、戦前の日本にフォードの工場があったことも、"乗用車やトラックを年間1万台生産し、トヨタ自動車、日産自動車、いすゞ自動車を始め、大阪に工場を置いた日本ゼネラル・モータースをしのぐ国内最大の自動車メーカーとなっ"ていたなんてことも(by wiki)、全く知りませんでした。
印刷物は①豊富な図版からテキストまで徹頭徹尾日本工場に焦点を当て、竣工後、そう遅くない時期につくられたと思われる『フォードの新工場 横浜』、②全頁カラー図版入りで解説まで全て日本語の『1936年型フォードV-8』の商品カタログ(昭和11年)、③アメリカのフォード社の企業案内(写真は米国のものでテキストを日本語訳したもの)で、昭和2(1927)年に日本で発行された非売品『フォードの産業』の計3点。
いずれも米国フォードの企業PR・商品広告のノウハウに則ったものと見え、必要な情報を詳細に説明しながら瀟洒で引き締まった誌面にまとめているレベルの高い宣伝物です。
とくに①『フォードの新工場』は、各種コンベアはじめ工程別の詳解から全景の図版、そして、「新工場建築報告」まで、日本にあった工場の施設と機能とを余すことなく紹介している充実した資料となっています。
本格的な組み立て工場として、日本で自動車トップ企業となったフォードですが、日米関係悪化の過程で日本政府が制定した「自動車製造事業法」により1940年(昭和15年)には操業停止に。日本での操業は僅か15年で幕を閉じることになりました。
戦前の日本で自動車はまだまだかなりの贅沢品。また、太平洋戦争とともに「敵性企業」となった米国企業にまつわるものだからなのか、日本フォード社、フォード日本工場に関係する紙モノには、今日なかなかお目にかかれないように思います。幻の日本のフォード社に関する珍しい資料です。

昨年の大河ドラマ「韋駄天」では、幻の1940年の東京オリンピックが描かれていましたが、同じ年に予定されていた、冬季札幌オリンピック大会も幻に終わったことはあまり知られていないように思います。その幻の冬季札幌オリンピックの招致活動に使われたとみられる写真ファイルが入荷しました。
1935年、東京市役所(Tokyo Municipal Office)名でまとめられた五輪マーク入『WINTER SPORTS IN JAPAN』。 
開催予定より5年前の誘致活動用ということで、複数の候補地とウィンタースポーツに向いた日本の風土を紹介。また、どれほど充実した屋内施設をもっているか、そして、外国人を受け入れるにふさわしい立派なおもてなし(?)ができるか=外人を迎え入れるにふさわしい宿泊・饗宴施設があるか、という視点でまとめた資料で、写真紙焼44枚に英文キャプションを添えて貼り込んだもの。結果として、札幌の大倉シャンツェを除くと、他のほとんどが本州の関東~中部地方に集中していた候補地各地の写真 - 富士五湖スケート場、志賀高原・乗鞍・霧ヶ峰などのスキー場、芝浦室内スケートリンク、帝国ホテル、横浜ニューグランド、京都ホテル、神戸オリエンタルホテルから伊勢丹、ミズノまで - となっており、とくにクラシックホテルは多く取り上げられている点は面白いところ。
最も珍しいのは大阪歌舞伎座のスケートリンクの写真で、氷の下に広がる白黒(金黒?)市松模様のアヴァンギャルドな風景には、目を奪われること請け合いです。

1940年の札幌オリンピックも東京オリンピックと同時に開催が決まっていましたが、東京オリンピック同様、日中戦争の戦局の影響により1938年に返上、幻に終わりました。
さて、幻に終わったオリンピックからまる80年。ここ数年の経過と眼前に控える大問題とを併せて考えると、2020年東京オリンピックもまた盤石とは言い難いところに来ているように思えてなりません。

■取り上げる品物からしてそもそも極私的HPではありますが、今週はさらに私的なお知らせかをひとつ。小店店主、先日来、帯状疱疹を発症しております。コロナではありませんよ。帯状疱疹。
しかも痛いわけではなく、かゆい。帯状疱疹と云えば「ただもうひたすに痛い」という症状が広く伝わっておりますが、不思議なほど痛みはない。あとは発症部分に感覚的な鈍麻が見られるくらい。これだけ軽くて済んでるというのはもうほんとにレアケースなのだそうで、ラッキー! ついてる!! 幸運!!! と 診断して下さったお医者様絶賛の嵐でありました。
ふむ。こんなところに拾う神も居てくれたかと診察室を出ようとしたその時。先生曰く。
「免疫力下がってますからねー。他のウイルスにもかかりやすくなってますよー。お大事にー!」
コロナウイルス感染拡大中の日本で、症状軽微な帯状疱疹。ううむ。良いんだか悪いんだか。
誠にもって人生あざなえる縄の如し。であります。
巷間、あらゆる催し物が中止となり、街から人の姿が消えておりますが、小店はあくまで店主の免疫力減退を避けるため、来週は曜日を定めず体調次第で店内で作業の予定。店内に人の気配を感じた場合はお声がけいただければ入店も可能です。 誰も居ない表参道へ。ご興味ある方はお出かけ下さい。







 

20/02/29 ホセ・グアダルーペ・ポサダ作品集2種入荷 !

■一昨日のラジオで聞いたお話し。キューバで革命が可能だったのは市民にそこそこゆとりがあったからであり、チェ・ゲバラがボリビアで失敗したのは、ボリビアがキューバよりずっと貧しかったからではないか。従って、いまの日本では革命は起きようがない。つまり、いまの日本は当時のボリビアのようなものだと。
風刺画というのも、実はここで語られた革命と同じようなものなのかも知れません。革命も風刺画も、現状を否定・揶揄するその先に「あり得べき理想」を想像できるだけの教養が必要だという点で共通しているように思います。
今週の新着品は、いまからほぼ1世紀前のメキシコで活躍した画家・イラストレーターのホセ・グアダルーペ・ポサダ(José Guadalupe Posada)の作品集。日本ではなかなか目にする機会のない作家の作品集です。

ポサダは1852年生まれ。アトリエで働きながらリトグラフや彫刻を学び、20歳にならないうちから新聞に風刺漫画を描き始めます。1875年には漫画やイラストなどの店をもちますが、翌年にはメキシコでポルフィリオ・デイアス(軍人)による独裁政治が始まり、農民からの収奪や市民の弾圧など、多くの国民が圧制に苦むなかで、ポサダの店は繁盛していたそうです。その後メキシコシティーに移り、出版社の仕事に挿絵を提供するなど、生涯で3万点の版画作品を残したと云われます。
後にメキシコの壁画運動を牽引したディエゴ・リベラ(Diego Rivera)や、少年時代に近所のポサダのアトリエをたびたび訪ねたというホセ・クレメンテ・オロスコ(José Clemente Orozco)は、ポサダの強い影響を受けたとされています。
『100 original woodcuts by POSADA』は1947年、メキシコで発行された刊行物 = スペイン語のテキストと木版刷の作品100プレートに、アメリカの美術館名による英文冊子をつけ、限定450部が発行されたものです。
2色刷のリトグラフによる洒落た軽装版のカヴァー(タトウ)のデザインは、調べてみると何とヘルベルト・バイヤー!?
木版100葉は全点背景色+墨の2色刷でポサダの描いたキャラクターを描いたもの。それぞれのプレートの余白部には、風刺の対象とした人物や場面のスペイン語の解説も刷り込まれています。メキシコの死者の祭りを思わせるポサダお得意の骸骨の絵も多数。
原寸での再現なのか、100点すべてが本当に小さく描かれており、骸骨でさえ愛らしく見えてきます。骸骨多数ですが軽妙洒脱を身上とする愛すべき1冊です。 

■こちらはそれと比べると重厚な風刺画集『50 GRABADOS DE JOSE GUADALUPE POSADA(ホセ・グアダルーペ・ポサダによる50枚の版画)』。1954年、メキシコの国立美術文学研究所発行です。
上製クロス装のポートフォリオに未綴じの木版画50葉とスペイン語の冊子を所収
1点目がキャラクター重視だったのに対し、こちらは作品全体をとっていることから、風刺の内容がより鮮明に浮かび上がります。なかには銃殺の場面など多少グロテスクなものまで。また、どこかコラージュを思わせる作品もあり、ポサダの多彩な作風が見られます。
多作で生涯売れっ子だったかにみえるポサダですが、晩年は貧困にあり1913年に没。他国にまでその名を知られるようになったのは、1920年代に入りパリで紹介されてからのことだとか。
1920年代のパリと云えば、フランス・マゼレールなど彼の地で活躍していた挿画家が日本でも盛んに紹介されていた時代です。日本の雑誌のどこかに紹介されていないか、柳瀬正夢や村山知義など海外の風刺画に注目していた作家に影響を与えているのではないか …… 気になってきました。

まさかの小中高等学校一斉休校要請。何がどうしてこうなったのか、専門家委員会、管轄官庁との相談もなく、しかも、今に至るも根拠も示さず。巷間、こういうデータもありますが。労作。
https://coromap.web.app/?fbclid=IwAR3h5c24iU6kCcl_wiokMfiQsPAY7ea6dMO5vbBsKjgvYgPSU2JfqVZhu7g

外遊の度に景気よくばら撒いてきたしわ寄せなのか体制はむちゃくちゃだし。
https://news.yahoo.co.jp/byline/konnoharuki/20200227-00164904/?fbclid=IwAR0CUF0N_N0Wr8eYEH2pf1cRcal_NbN4-Hk_EYz30lj5ZkqZOzf2-K98DW0

例えば香港やイタリアではこんな対応も。
https://mainichi.jp/articles/20200226/k00/00m/030/288000c?fbclid=IwAR3eFi-9SWhDL3Of7ujk1CQDMTemOElBAcZklwqHNcYIq1hrT_nU9NxenwU

https://www.ilmessaggero.it/roma/news/coronavirus_roma_ospedale_campo_spallanzani-5073690.html?fbclid=IwAR00gTCRCuVg7uf4on0EhzQj400lbDgo6vt8rAwqK_tXT6U7ef-pl8sdvEk

笑っちゃったのがこちら。しかし、カケ186億と気づいて笑いも凍ちゃいました。新コロ153億。お友達以外、人でなし …? 
https://hbol.jp/213538 

 

20/02/22 20世紀初頭~20年代 挿画の世界 - ミシャ、バルビエ、ブルネレスキ等

■お陰様で今週はPCもすんなり起動。作業できる環境がもどってまいりました。
新着品につきましては先週お知らせした予定を変更して、今週は久しぶりの入荷となった20世紀初頭~戦間期フランスの挿画本をピックアップすることにいたしました。差し替えの理由は、先週・先々週と少々地味目のご案内になってしまったから、ということにありまして、他にこれといって深い意味はありません。何しろ華やかな商品の前では、原稿がやたら長くなる=価値の所在が分かりにくく説明を要する商品、というのはどうしても不利。“ばえる”商品優先という時代に掉さすこの軽薄さ …… 思えばもともと外見重視の小店のこと、どうかご容赦下さいますように。
商業美術家・内藤敏(敏雄)の仕事についてはまた改めてご紹介いたします。悪しからずご了承下さいますようお願い申し上げます。

ここ数年、日本での展覧会が相次いだアルフォンス・ミュシャ(Alfons Maria Mucha)ですが、それだけに今年以降しばらくは話題になるチャンスも少なく、急速に忘れさられてしまいそうな嫌な予感はするものの、しかし、現物を手にとりページを繰れば、華やかで精緻な装飾に、やはり目を瞠ることとなりました。それもそのはず、昨年開催された件の展覧会にも出品され、アール・ヌーヴォー様式の代表的作例に数えられている1冊です。
1900年、パリの版元から限定252部が刊行されたエミール・ゲバール(Emile Gebhart)著『CLOCHES DE NOEL ET DE PAQUES(クリスマスと復活祭を告げる鐘)』。本文80頁の内、白紙2頁を除く78頁分のテキストを、画像の通り頁丸ごと埋めるようにして、ミシャの植物文様とイラストが飾っています。30×22cmという大ぶりなサイズが採用された結果、本文を開いた時の迫力もなかなかのものです。
もちろん、装飾もイラストも1頁として同じ意匠はなく、しかも全てフルカラー。表紙・扉・奥付の頁も控えめの装飾が施されている他、表紙もご覧の通りの凝りようです。
繊細な描画となめらかで柔らかい彩色はどの頁も見事な出来栄えですが、採用された手法については、カラー・エッチングとする説とスミ版にポショワール(ステンシル)とする説があるようで、落札して以来何度見直しても判然しませんが、後者の方が可能性が高い印象。
ちなみに、物語は東方の三博士を扱ったもので、著者のエミール・ゲバールはソルボンヌで人気を誇る教授だった由、ミシャとの組み合わせはさて一体だれのアイディアだったのか当書では一切不明ながら、フランスの挿絵本では発案者も気になるところではあります。
 

■ミュシャが去って後約15年、そしていまからほぼ一世紀前・1919年のパリで、“絵と文学の月刊誌”を副題に、贅を凝らした雑誌が創刊されました。
今週の2点目『La Guirlande(ラ・ギルランド)』がそれ。各号限定800部程度が発行されていたようで、表紙にはシリアルナンバーの印があります。
当時パリでイラストレーターとしての地歩を築いていたウンベルト・ブルネレスキをアート・ディレクターに据え、ブルネレスキ、ジョルジュ・バルビエと云う挿画の二枚看板のもと、『ガゼット・デュ・ボン・トン』とほぼ相似形の形態 - イラストレーターとのコラボレーションによるテキスト(小説や詩)、イラストレーターを起用したファッションプレートやタイアップ広告プレートの添付、未綴という形態、ポショワールという彩色手法 などの採用 -で、1921年・11号まで発行されました。
入荷したのは表紙~奥付までを含む本文6号分ブレネレスキによる上製のポートフォリオ(但し断裂・イタミ有)1点と附録のプレート23葉
本文には後に単行本にもなったブルネレスキ挿画の『PHILI』やアラビア風の詩のシリーズ、バルビエ挿画の「青とかげと四輪馬車」という短篇小説の連載やモード記事の他、可憐な挿画のポラックや児童画のレイなどのイラストを含みます。中には日本のキモノの型染めを使ったようなジャック・ソデのポショワールといった変わり種も。
また、独立したプレートには、ブレネレスキを中心に、ドメルグ(画像の傘さす女性はドメルグ)、ヴェゲナー、アマール、ブランシュ、カドガン、スタブ、ボノットなどの名前が見られます。
独立したプレートについてはバラ売り、本文についてはどう分けたものか、22日いっぱい検討の予定。値段をつけて店頭に出すまで、こちらは少しお時間をいただきます。

今週はこの他、1930~1950年代のVOGUE・フェミナなどの洋雑誌32冊ポール・エデュアール著書(シャガール挿画入)から北斎『新形小紋帳』、天文観察データ集綴りファイル15冊、天井桟敷「疫病流行記」海外公演用英文パンフレット、古いカメラ(ローライフレックス)10台他が入荷しています。
北斎『新形小紋帳』についてはこんなサイトも。
https://mag.japaaan.com/shingatakomoncho/%e6%96%b0%e5%bd%a2%e5%b0%8f%e7%b4%8b%e5%b8%b3-3 この北斎にしても、今週のミュシャにしても、ミュージアム・ピースだとかデータ・アーカイヴに入るようなものは全て目玉が飛び出すほど高いと思い込んでおられる方も多いかと思いますがさにあらず。小店近隣のお店との比較で考えると、例えばM●Lのダウンを買うかミュシャを買うか、C〇Gのシャツを買うか北斎を買うか、と云ったあたりが凡そのところでありまして、決して非現実的なお買い物ではないことがお分かりいただけるかと存じます。

■こちらも久しぶりに。今週読んだものの中から。
アンダー・コントロール?
https://skazuyoshi.exblog.jp/28846197/?fbclid=IwAR0oJ_NVNnTo9sbiv3XjJOlmFtgi9M89vH5Mv_xT5EV4zA9cxNYrtyFczqM
閣議決定という独裁システム。
https://constitutionaldemocracyjapan.tumblr.com/post/190945043196/%E6%A4%9C%E5%AF%9F%E5%AE%98%E3%81%AE%E5%AE%9A%E5%B9%B4%E5%BB%B6%E9%95%B7%E5%95%8F%E9%A1%8C%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E5%A3%B0%E6%98%8E2020%E5%B9%B4%EF%BC%92%E6%9C%8821%E6%97%A5?fbclid=IwAR22Y0hXL9vafbB5zcp_GnP-iX0LpfA6wDIjf-rUsUn0BWguny1sDDUNz70
そして、当然の …
https://news.yahoo.co.jp/byline/iizukamakiko/20200221-00163910/ 

 

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