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21/11/06 1950年の新制作派協会 / 1932年の新興独逸建築工芸展覧会とその波及効果!?


■エフェメラ形態で美術・デザイン系の一次資料。専門をもたない小店ですが、この辺りは常に何か珍しいものをもっておきたいカテゴリーです。ですが、思えばいつ以来のことになるのか、この範疇に入る商品の入荷は実に久々のことになりました。ファイル1冊に収められたエフェメラは、戦中から敗戦直後まで、建築・デザインに関わっていたと思われる一人の人物の旧蔵品だったものと見られます。
今週の新着品はこのファイルから。
1点目は新制作派協会発行のパンフレット『SHINSEISAKUHA-Group of Modern Japanese Artist』。14×10cmと小兵ながら、ページを開けば海外の印刷物かと見紛う瀟洒なデザインが際立ちます。
奥付はありませんが、昭和24(1949)年1月に新設された「建築部」がすでにあること、同年秋に開催された「第13回展」の会場写真が掲載されていること、時系列的にこれらに次ぐトピックスとして「本年3月の神戸港では」という件があって、神戸博(日本貿易産業博覧会)への参加とそこでの試みに関するものと見られる記載があることなどから、ほぼ間違いなく昭和25(1950)年に発行されたものと考えられます。
パンフレットは全アート紙16P・図版入り。テキストは全て和文・英文の併記。
巻頭には帝展=官展の横暴に意を唱えて結成された当初からの新制作派のポリシーが4箇条にまとめて掲げられ、「HISTORY」「私達の絵画」「私達の彫刻」「私達の建築」が続きます。
荻須高徳、猪熊弦一郎、三岸節子、小磯良平、脇田和などの絵画部、舟越保武、佐藤忠良、本郷新らの彫刻部と並び新設された建築部は、池邉陽、岡田哲郎、吉村順三、谷口吉郎、丹下健三、山口文象、前川國男と綺羅星の如き布陣で、パンフレットでも他の部門より1P多い3Pが割かれる優遇ぶり。焦土と化した敗戦国の再建に、建築にいかに多くの役割と期待がかけられていたかを物語るもののようにも思えます。 

能書きはさておき、佇まいからして好ましいこの小冊子、印刷は美術出版社。デザインも? さすがは!

これまた頗るデザインに恵まれた3つ折のプログラムは昭和7(1932)年、上野・松坂屋の2会場を使い、建築学会・日独文化協会の主催によって2週間にわたり開催された『新興独逸建築工芸展覧会』のプログラム切取式の入場券が紙面に組み込まれています。畳んだサイズは15×15cmの枡形、表面はスミ、赤、青、金の4色、中面はスミ、赤、銀の3色使いと贅沢なつくり。切取部分が4日間にわたった開催された「講演と映画の会」の入場券部分で、旧蔵者は5月14日と21日に聴講・鑑賞したもよう。
出品種目」によれば展示品は10種。建築史や建築物に関係する写真や参考図書などもありますが、家具、工芸品、美術参考品などの展観に、モデルルームまで開設されたかなり本格的な展覧会だったことが伺えます。
情報として重要ではないかと思われるのは「講演と映画の会のプログラム」として詳解されている内容です。日別に記載された講演の登壇者の中には、武田五一、岸田日出刀、蔵田周忠、山田守、そして日本初のバウハウス留学者・水谷武彦の名前が。映画はほとんどが「東和商事ウーファ教育映画部提供」による科学・教育系で、建築とも工芸とも関係の薄いものが多く、或いは集客を考えてのテコ入れだったのかも知れません。
この展覧会に関する有名なエピソードは、ここに出品されていたマルセル・ブロイヤーの椅子を朝香宮が購入したという挿話だろうと思います。その椅子はいま、東京都庭園美術館となった旧朝香邸のウィンターガーデンのモダンなチェッカー柄の床の上、往時そのままに置かれているはずです。


■画像3点目も旧蔵者を同じくする家具のカタログのうち2点をピックアップ。「新興独逸建築工芸展」に触発されたものか、T.M.K.=東洋木工株式会社東京販売店の『独逸型応接室 家具セット』のペラものと、内藤鉄工所の『鉄鋼家具』のカタログ(冊子)
『独逸型応接室 家具セット』は応接室用の家具セット9タイプで、それぞれサイズの記載有。「製品仕立」にある「ウォールナット色ラッカー磨仕上ゲ」というのが淋しいというのかいかにも日本的とでもいうのか。
『鉄鋼家具』ではスチール製の事務用家具・什器と鋼鉄製寝台にはさまれて8Pを割いて置かれた「鋼管家具-パイプ椅子と卓子」の掲載商品全てに既視感があって、これまたいかにも当時の日本らしく。
装飾からフォルムへ、装飾から機能へ、新素材へと時代変化の節目を物語るカタログではないかと思います。それにしても、『独逸型応接室 家具セット』の折りたたみ方と表紙のデザイン処理、すばらしい!

今週の斜め読みから。
https://www.facebook.com/junichi.ohmae/posts/4508134845973958
https://www.facebook.com/junichi.ohmae/posts/4508259349294841
最大のギモンとその解 ?
https://globe.asahi.com/article/13857057?fbclid=IwAR3XviCDVaodJ7W5y73KAhlFOtNzOl62a0qTacCaYr8Fa80zNYEqp5spNGg



 

21/10/29 華中鉄道直営蘇州駅食堂メニュー2種他


■明後日は早朝より所用のため、更新作業は可能な限り今日中に終えるぞという気合は十分、がしかし最近の作業の遅さは相当なものなので、物理的にも作業量を減らしておこうかな。というわけで、今週の新着品は画像1点分だけにさせていただきます。
先ずは左上、グレーと薄い緑色の印刷物、「華中鉄道直営蘇州駅食堂」の『菜単』=メニュー表2点について。
入札した時点では、同一メニュー・使用通貨別に2種用意されていたのだろうと思っていたのですが、よく見てみると2点ともに「元」による価格表記があり、しかもグリーンのには15種、グレーのには19点と、掲載されているメニュー数が異なることの気付きました。「元」表記による価格にも違いがあり、この2種、どうやら使われていた時期が異なるようです。
華中鉄道のマークを挟んで左側には「確立東亜共栄圏」、右側には「駆逐英美的勢力」の謳い文句があり、メニューには「大東亜客飯」=「大東亜定食」などというものがあることから、1940(昭和15)年以降に使われていたものと見られます。
グレーのメニューからグリーンのメニューになって削られていたのはハムエッグ、オムレツ、玉子丼とソーダ水。明らかに卵の手配が難しくなったことを物語る物証といえそうな内容で、「おおー!」と一瞬自分の中で盛り上がりはしたものの、しかし何故、卵がの用意が難しくなったのかは一介の古本屋なんぞに解けるわけもなく。この謎の答え、ご存じの方がいらしたら是非ご教示下さい。
このメニュー、戦時中の中国大陸~朝鮮半島関係のエフェメラで、誰か一人の人が記念として残していたものではないかと思われるファイル一冊に収められていました。
ファイル中、華中鉄道直営食堂のメニューの次に気になったのが、日本語・孔版刷の上海の地図。左手に西上海駅、右手に黄浦江、左右に一本、静安寺路が貫き、中央に競馬場がある日本語で描かれた地図は、あの時代、上海に渡った日本人が歩いていたのであろう外地・上海の市街をリアルに感じさせてくれて、既成品の地図とは一味違う不思議な魅力を放っています。
上海については他に3点、いずれも「上海メトロポール ホテル」と欧文または日本語表記のある荷札、宿泊客用封筒、ポストカード。シンメトリーで矢鱈に格好いいトレードマーク入りの荷札には麻紐まで残っていて、これまた大変魅力的です。
この他、華中鉄道副総裁名による宴席への招待状、北京の松坂屋の領収証、朝鮮ホテル関係のエフェメラ複数など。小さなグループに仕分けをして分売する予定です。

■日曜日に所用があるので、今週水曜日には期日前投票を済ませてきました。
安倍政権がアップした消費税増税分は社会保障に使われているなんていうのは幻想、法人減税の穴埋めに使われているということ、インボイス制の導入は実質増税であること、かくしてより多くむしられ続けるのが格差社会の低い方からであるということをみなさんお忘れなく。小店店主も底辺ですからね。下のはちょっと胡散臭く感じられるかも知れませんがご参考まで。
https://mobile.twitter.com/akasakaromantei/status/1449739180242718720?t=2Czo-45YQlzBL3TJXRoaEg&s=04&fbclid=IwAR1g5F5J4YLymIcwaXCVMZyoCHyA34wbAreYcGpQrbu-AZNzsOwTntKebMM
ジミントーの先生たちがニチギンとつるんでやってきたこととかも。罪深いと思いませんか。すでに「買い負け」しているお陰で輸入牛肉の価格が高騰してますが。そんなの序の口? 日本人の多くが飢える日もそう遠くない???
その岐路の一つが10月31日という日なのだと思います。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/88752?page=3&fbclid=IwAR3jdrWr8ALoOfcNdN83pRoTdG0ZKZGDz_SSgmT7yJKfbSAifElMNw3Jwjw


 

 

21/10/23 非水の絵葉書/出征する愛すべき内田伍六君への寄せ書き


■先ずはお知らせを。
①例年、今頃は目録作成の追い込みに入っていた「銀座 古書の市」ですが、本年1月に続いて年明け2022年の開催も見送られることとなりました。この催事にかえて、本年1月にお客様のお手元にお届けした「古書目録福袋」は、今年も有志により実施予定となっておりますが、小店はこちらについても参加を見送る心算です。
当面は、週に3日営業という不便極まりない実店舗での販売が中心となります。
ご不便をおかけいたしますが何卒よろしくお願い申し上げます。
②東京都も来週25日には酒類提供の制限や営業時間の短縮要請などを全面的に解除するとの発表がありました。一方で、一部地方では早くもリバウンドの兆候が指摘されています。
こうした状況下、小店では緊急事態宣言下での営業形態=12時から17時までの時短営業とご来店に際のアポイント制は、当面これを継続させていただくことといたしました。
ご来店には幾重にもハードルを越えていただかねばならないことになりますが、そんなハードルなんていくつでも蹴り倒してみせるぞという強者のみなさま、ご来店を謹んでお待ちいたしております!
何卒よろしくお願い申し上げます。

さて、今週の新着品です。1点目は杉浦非水デザインのカラー絵葉書「上方屋平和堂発行 非水図案絵葉書」9枚
入札時には、石版刷のものと木版刷ものとがまじっているのは分かりましたが、落札後、改めてよくみると、3葉ほどステンシル(=ポショワール)とみられるものがありました。この当時の印刷物にはは簡単に印刷手法の判別がつかないものが本当にたくさんありますね。私の勉強がまだまだ足りないということではありますが。
上方屋平和堂は銀座で営業していた上方屋の支店として神保町に開設、当時流行していたイラストレーター加藤まさをによる抒情的な絵葉書をシリーズ化して販売、人気を博していたようで、さしずめさくら井屋の関東ヴァージョンといったところでしょうか、デザインも刷りも良質な商品となっています。
図案はご覧の通り正調“非水デザイン”。そして、非水の好きな鳥モチーフ多数。小店としては珍しく、王道もののエフェメラの入荷となりました。 


■映画監督・内田吐夢の次男で東映生田スタジオ所長を務めた内田有作の旧蔵品が何口かに分かれて市場に出品されていました。なかで一番気になったのが、「内田伍六」という人が出征に際して、或いは派遣された北支の部隊に宛てて、職場の仲間から贈られた寄せ書きの一口でした。
入札の合間に確認した内田吐夢の家系図(省略部ありか?)に「伍八」という名はなく、しかし出どころは内田有作で間違いありません。年齢的な点から見て、内田有作の従兄か何かにあたる人ではないかと推測しています。
さてこの内田伍六さんですが、お勤め先は「東京中央電話局市外集計部」というところ。この電話局には交換台があったらしく、交換手として女性が多数務めていたとみえて、水茎麗しい女性の手によるメッセージが圧倒的多数を占めているのが特徴。しかも、所属していた集計部(ここからは北支等出征先にも度々慰問の寄せ書きを郵送しています)のみならず、調査部一同とか総務部からの寄せ書きまであり、余程人望が厚かったのか愛されキャラだったのか、いやいやよその部の寄せ書きにも女性がこれだけたくさん出てくるなんて余程イケメンだったのだろうとか、市場でひとしきり話題になりました。ちなみに私はイケメンだった説に一票。何しろ女性から「六ちゃん」なんて書かれてたりもするもので。
それはさておき、男性からの寄せ書きが時にユーモアを交えながらも硬い言葉による武運長久祈念が多くを占めているのに比べ、女性のそれは多く絵を添えたり貼り込みなどを交えたりしながら、常套句から話し言葉まで、表現が自由かつ多様であることに驚きました。
寄せ書きの文言から、内田伍六さんの出征は紀元2600年=1940(昭和15)年内で三国同盟成立(9月27日)以降のこと。太平洋戦争突入前、かつまた戦局の悪化はもう少しあとのこととはいえ、女性の描くカットに外国人女優風が多いことや、中原淳一や加藤まさを、松本かつぢのイラスト、京都・さくら井屋の絵封筒を下敷きにしたものが圧倒的に多いことなど、この当時の女性文化を色濃く反映したものと見られます。
いまはまだ時間がなく、読み込む時間がありませんが、文章の書き言葉や内容からは、さらに多くのさまざまなことが読み取れるはずです。
寄せ書きは56×78cmと大判ながら、戦地に携行することを考慮してか薄くて丈夫な雁皮製で約20枚。
イケメン伍六君に捧げられた乙女の言葉は是非店頭で!

今週の斜め読みから。
選挙に行く前にチェックしておきたい2つのサイトとひとつの投稿。

https://choiceisyours2021.jp/?fbclid=IwAR1o_PasN1Mq4M4YhIfqAab02_CwhRZhDcICwqKFYJXwhHy7hOr-iAIoY8Q

https://www3.nhk.or.jp/news/special/kokuminshinsa/2021/index.html?fbclid=IwAR3EdHkFjm8mDS9i7vXq7aLSPq-LDnfDeEF4fNPKs_TTZyVZyfAy_4MQd9E

https://www3.nhk.or.jp/news/special/kokuminshinsa/2021/index.html?fbclid=IwAR3EdHkFjm8mDS9i7vXq7aLSPq-LDnfDeEF4fNPKs_TTZyVZyfAy_4MQd9E

Dappi問題。同じような公金による世論操作疑惑でオーストリアの首相は即刻辞任。それと比べて日本ときたら… それもあれもこれも、全ては選挙から! 

 

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