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22/03/26 ボン書店の広告入り『新造型』/ 優秀デザイン多数の戦前スクラップ帖

■コロナウイルスの感染拡大対策について、東京都は今月22日から来月24日までの約1か月間を「リバウンド警戒期間」としています。
小店では、来週よりアポイント不要とし、リバウンド警戒期間中は12時から19時までの時短営業のみ続けさせていただきます。
お客様が4名様以上重なった場合など、ご入店までお待ちいただく場合もありますので、予めご承知おき下さい。
尚、入店時の手指の消毒と、店内での不織布マスクの着用については引き続きご協力をお願いいたします。
ちなみに小店店主、3度目のワクチン接種も無事に終えております。

久しぶりに戦前の美術関係資料が入荷しました。
「新造型美術協会機関誌」の『新造型』第2号で、昭和11(1936)年1月の発行。
新造型美術協会は、独立美術協会の「独立展」の一般出品者によって結成されたグループで、当品の発行される前年の昭和10(1935)年に第1回展を開催。以後昭和12(1937)年まで活動を続けます。
また、4号まで発行された機関誌『新造型』は「日本におけるシュルレアリスムの受容を研究する上で、きわめて重要なもの」だと云います。「というのは、メンバーのテキストや作品図版だけでなくて、瀧口修造と山中散生という、日本にシュルレアリスムを紹介するのに重要な役割を果たした詩人2人が、たびたび寄稿しているからです」(以上「」内は 大谷省吾「講演記録 瀧口修造と瀧口綾子」より引用または要約)
戦前のシュルレアリスム基本文献としてこれまでは比較的手にいれやすかった昭和5(1930)年の『アトリエ』「超現実主義研究号」と、昭和12(1937)年『みづゑ臨時増刊 海外超現実主義作品号』との間をつなぐようなタイミングでの発行です。
目次を兼ねた表紙をみると、引用文にある通り、瀧口修造が「超現実と現代文化」を寄せ、山中散生が「超現実の世界」を書いています
また、ナゴヤアバンガルドクラブを山中散生らと結成した下郷羊雄 -現実主義写真集『メセム属』で知られる- フランス文学者・小松清、そして、1935年に瀧口修造と結婚する鈴木綾子が寄稿。鈴木綾子の寄せた原稿「ミルクを飲む妖精たち」は作品「ミルクとフェアリイ」のコンセプトをエッセイ風につづったものと見られます。
図版はその鈴木綾子の「風景」、下郷羊雄「ブーメラング」、今井滋のフォトモンタージュなど同人の作品14図を所収
また、広告には新宿の「サロン行動」「武蔵野茶廊」(ともに写真入り)、神田駿河台下の「新造型洋服 フジエダ ヨーフクテン」「文房堂」、そして、雑司ヶ谷の「ボン書店」が名を連ねて壮観です。本文内に出てくる、外国人シュールレアリスム関係者の写真はボン書店の『L'ECHANGE SURREALISTE』のためにフランスから送られてきていた写真素材を流用しているものではないかと推察しています。

B5サイズで26ページとささやかな雑誌ではありますが、新しい時代の精神が横溢するモダンでアヴァンギャルドな雑誌です。

スクラップ帖が入荷しました。グラフィック・デザインに関係していたと思われる人の旧蔵品で、戦中の植民地・旅行関係の多い1冊と、女性像や海外のアール・デコ様式デザインの印刷物が多くおさめられている1冊という2冊で持ち主は同じ。
今回画像でご紹介するのは旅行関係の印刷物が多い1冊からアール・デコやロシア構成主義などの影響を受けたれたデザインのものだけを拾っても 輝く日本博、台湾博の栞、大阪梅田ホテル、大軌参急電車、南満洲鉄道大連案内、東京地下鉄や小田急・西武電車・湘南鉄道などの沿線案内、大和ホテル、満鉄直営奉天ヤマトホテル、帝国ホテルパンフレット、台湾鉄道ホテル、日本航空定期航空、日満航空連絡時間表、夏休みには満洲へ、京都ステーションホテル、日本郵船太陽丸、青島航路案内、大阪商船台湾航路、天津航路案内、上海航路案内、日本郵船上海案内、日本郵船香港案内、南洋航路、鹿児島沖縄案内 …… と枚挙に暇がありません。
中でも下記の貼り込みなど、かえすがえすも貼らずに挟んでおいていただきかった …… 「雨の夜道も安全 ライト洋傘」「日本一の理想郷 鎌倉山住宅地 特売案内」「「山口蚊象 建築作品 個展」「現代日本紹介欧文豪華写真雑誌 季刊NIPPON」「ブルーノ・タウト氏指導 小工芸品展覧会」!!!
エフェメラ専門店として、、旧蔵者の趣味嗜好からセンス、仕事や生活レベルまで最も雄弁に語ってくれる紙モノの集積としてのスクラップブックは-恣意的にまとめられてしまっている関係などもあり-研究対象としては使いにくいものが多いのですが、紙モノ好き・古いデザイン好きの満足を満たしてくれるアイテムとしては、最も合理的なのものではなのかも知れません。。

今週の斜め読みから。
ロシアからの反戦。日経さん、ここでは全文無料。
https://www.nikkei.com/telling/DGXZTS00001200W2A310C2000000/?fbclid=IwAR2fw6G0EC7xpLcGN8cXxjWCa8WV7NSbVe8vHhAdZZP3elt2TYWdOkbM5kU

無線マニア最強!? シンプルなツールのもつ力のことを考えたり。
https://mobile.twitter.com/attention_on/status/1506846071800352772?t=kAnqvFswsmRAaq2UQolj5w&s=04&fbclid=IwAR0VWp7un1gTO7SCZDuHVzkBSwFZxaK8zHTy_KgdTgDxaOlezxTHcorK8K0

ロシアも日本も政治を暴走老人から取り上げる方法を考えた方がよさそうです。
https://www.news-postseven.com/archives/20220321_1736984.html?DETAIL&fbclid=IwAR0ovPF5xV4wpfGo8z-LOoYSjPx_x_oFaQ-Ky7bBZTnfysjxl2r8QODYE7w

長文です。お時間ある方に。
https://www.facebook.com/chihiro.ito.1069/posts/5279613542078230
 

 

22/03/19 フルクサスとZちゃん !!!

■この原文を書き始めた3月18日の23時30分頃、岩手県で最大震度5強の地震があったことをテレビニュースが伝えていました。3月16日の地震以来、日本列島の北半分がまたしても落ち着かなくなってきました。被災された方には心よりお見舞い申し上げます。そしてみなさま、どうかなお一層のご用心を!

くるくると巻かれた幅10cm弱の紙をするする開けば長さは約180cmという矢鱈に長いこの印刷物。形態からピンとくる方もいらっしゃると思いますが、いかにもフルクサス(Fluxus)らしいこの印刷物、エメット・ウィリアムズ(Emmett Williams)による『AN OPERA』という作品です。発行は1963年。
エメット・ウィリアムズはフルクサスの主要メンバーのひとり。1960年代半ばから1970年代初頭まで、フルクサスのメンバーの作品を刊行したことで知られるSomething Else Pressの編集長を務めた人物です。
ポンピドーセンターのサイトによれば、ウィリアムズは1958年から1963年にかけてパフォーマンスの原案、タイポグラフィによる造形作品など、ロール状の印刷物を制作、『AN OPERA』もそのひとつであり“句読点詩の習作”とされています。作品は遠目には五線譜のように見える三点リーダーのところどころに単語を配していて(それで句読点詩?)、一見すると現代音楽の楽譜のような面白さがあります。
今回下調べの段階で、一番驚いたのがウィリアムズがチェコの劇作家で初代大統領だったヴァーツラフ・ハヴェルと親しい友人だったこと。
ハヴェルと云えばビロード革命の大立役者であり、いまもチェコの人たちの尊敬を一身に集める初代大統領。ごく一部をのぞきイデオロギーと直結するようなアーティストが少ないフルクサスのなかでは、異色と云えるのかも知れません。
いま再び東欧諸国がロシアの影響によって不安定になるなか、僅かに記されたこの両者の関係が気になってきました。
 

■2点目は井口真吾のZちゃんのキャラクターグッズ的アーティストブック『THE Z CHAN LONE IN THE SNOW』1986年、Z PLAN FACTORYが発行がした限定200部の内の67番。この辺りの情報は箱の上蓋内側のスタンプなどによって確認することができます。
箱をあけるとZ.P.F.の荷札付き綱紐、同じくZ.P.F.の腕章LOVE IN THE SNOWのオブジェ付き帆布ビニール袋に封入された印刷物、同じく封入されたカンバッチと植物標本「雪の中の恋」と題された印刷物白ダンに青一色で図版やメッセージを入れた印刷物Zちゃん漫画の雑誌抜き刷りなど、素材も形態も技法も異なるガジェットが現れます。
また、今回入荷分としては画像左上のトランプ、缶バッチ、小冊子『TURIP WATER』(1989年)2冊縦に長く伸びる『Z MAIL』もあります。
『THE Z CHAN LONE IN THE SNOW』の複製芸術の詰め合わせというアイディアと関係性があるとは思えない個別のアイテム、縦に長く続く印刷物、『TURIP WATER』についているメッセージが印刷された名刺状のカードなどなど、「あれあれ? これはフルクサスっぽいゾ」と思われるところがそこここに!
Zちゃん誕生は1984年、漫画雑誌誌上でのこと。フルクサスの活動開始から二十四年でフルクサスと呼ばれたアートはZちゃんというキャラクターに姿を変えて、日本の大衆文化に溶け込んでいきました。
ところが話しはそこで終わりません。
2010年、井口真吾は上海万博記念版画展に草間彌生や横尾忠則らとともに選出され出品それがZちゃんとZちゃんに登場するキャラクターを作品化したものでした。
アートから漫画へ、漫画からアートへ。Zちゃんのこの一連の作品が草間・横尾と並び評価される日は近い!!! (と思いたい……)

■今週の斜め読みから。今週は面白かった2本。

真面目そうで実はふざけているのかも知れないがしかしそうかも知れないと思うところなきにしもあらず
https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%E3%83%97%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%B3%E3%81%AE%E6%9C%AB%E8%B7%AF3%E3%81%A4%E3%81%AE%E3%83%91%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%B3-%E3%82%AF%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%81%8B%E5%86%85%E6%88%A6%E3%81%8B/ar-AAV6gPH?ocid=ob-fb-jajp-779&fbclid=IwAR14Ut2QiI5HG3OmEhwpiwg47fdTjiS2meQtCqrqBX29EbQ2F6LAB3S999k

そして世界を飛び歩く人-日本人が客観的にみた日本のいま。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00371/031000046/?fbclid=IwAR17DjR77jTHBkqXJScHmRDyByoOnz_Cv3rkyBEGFumzQwkrj8pCW2RDWFM
 

 

22/03/12 久しぶりの洋もの! デペロのボルト本と19世紀末~20世紀初めの商品カタログ


デペロの通称「ボルト本」。いつか是非、オリジナルを扱ってみたいと思っている本のひとつです。いまから100年近く前、1927年に刊行されたオリジナルについては、しかし、機会の点でも資金の面でも、小店などで仕入れられる可能性は低いだろうということで、市場に出品されたリプロダクトを落札しました。
リプロダクトは買わない主義の小店ですが、オリジナルはすでに歴史的傑作として世界中でミュージアム・ピースになるなど、入手は困難。このクラスの場合はリプリントやむなしと考え始めています。
「ボルト本=The Bolted Book」という通称でよく知られる『DEPERO FUTURISTA』は、イタリア未来派のアーティストであるデペロ=Deoeroの代表作のひとつ
フォルトゥナート・デペロ(またはデペーロ)は20世紀初頭のイタリアで起こった前衛芸術運動・未来派を代表するアーティストのひとりで、画家、デザイナー(コスチュームデザイン、グラフィックデザインなど)、バレエはじめ舞台作品など、多岐にわたる分野で活躍しました。
『DEPERO FUTURISTA』は当時としては超モダンだったデペロのグラフィックデザインの集大成ともいうべき書籍であり、またオブジェ作品となっています。
厚さ約2cm、240ページ。本文ページはその多くが片面印刷となっていて、ボルトを外してプレートとして楽しむことまで企図されているのだとか。
今回入荷したリプロダクトは2017年、Thames & Hudsonが限定1000部を刊行したうちの1冊で、「過去に2度復刻版が制作されましたが、本作はオリジナル版の印刷、仕様を忠実に再現し、過去最高の再現性を持った復刻版」だと云われます。(http://www.nadiff-online.com/?pid=122372304 NADIFFサイトより)
添付の『READER'S GUIDE』は英文で47P。図版を多数収め、こちらのデザインもなかなかのものです。
ボトル部分の保護など含め、よく考えられた保護箱付き
小店店主にとっては夢を半分かなえてもらえた新着品となりました。
オリジナルを扱う日は来るのでしょうか!?

2点目は7冊入荷した19世紀~20世紀はじめの通信販売用のカタログより、いずれもアメリカにあった通販会社または百貨店(3社とも現存せず)のもので、上からニュヨークの百貨店の1885
~1886年・秋冬カタログ、ボストンの百貨店の1884~1885年秋冬カタログ、ニューヨーク通販会社の1918年春夏カタログ

19世紀のカタログは珍しいのではないかと思います。
この当時のものなので、商品の図版は全てイラストで一部を除きモノクロ。
婦人、紳士、子どもの洋服を中心に、ハンドバック、靴、帽子、アクセサリー等装飾品、肌着、リネン類、喫煙具など、身の回りのものがひととおり買える仕組み。なかには つけ毛 なんてものまで掲載されています。
19世紀後半から30~40年後の20世紀初めになると、カタログにもカラーページが増え、とくに婦人服のシルエットがウエストシェイプからゆったりしたパターンへと変化が顕著。紳士服はそうだろうと思いますが、靴についてもあまり大きな変化は見られないのは少し意外。
しかし最も顕著な変化は、19世紀のカタログの図版がほとんど銅版画・静止画のタッチであるのに対し、20世紀になると商品を身に着けた人物が多く、また下絵がハンドペイントによって描かれ、ゆらぎが与えられたことで、人間と商品に動きが出てくること。
必要から欲望へ。消費のスタイルに変化の兆しが垣間見られます。
カタログごとに掲載されるアイテムに異同があったり、図版のタッチに違いがあったり、通信販売用のカタログはつくづく通信販売に向いておらず、店頭でご覧いただければと存じます。

■この他、仕掛け本、手製本、商標スクラップブック、明治~大正雑誌表紙・挿絵コレクションファイルなど続々入荷中! 店頭で是非ご覧下さい。

11年前と曜日も同じ3月11日となった昨日。市場から市場へと移動する途中、海の近くのカフェで一休みすることになりました。古本屋としては非常に珍しい行動パターンです。
春を思わせる日差しのなか、目の前ににひろがる海はどこまでもおだやかで、あの日荒れ狂った海の景色をうっかり忘れてしまいそうになりました。
依然、行方不明の方も2500名を超えると聞きます。
フクシマはご存知の通り、収束などまだまだ望めません。
11年前のあの日、さまざまなかたちで被災された方たちに改めてお見舞い申し上げるとともに、亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
世界はまた、フクシマに続きかねない問題まではらんでコロナに続き先の見通しがたたない日々が続きそうです。
2022年の3月11日の金曜日。その時に見た海のように、おだやかでのどかな日々が一日も早く世界中に訪れますように……

 

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