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20/07/11 織物標本=現物貼込帖とカルタなど新着!

■東京の新型コロナウイルス感染者数がここにき歯止めがきかなくなってきたようです。今後は、市中感染の可能性ありき で活動していく必要に迫られますが、小店ではこれまで通り消毒の徹底とマスク着用、こまめな手洗いに努めつつ、お客様には入店時の手指の消毒とマスクの着用を引き続きお願い申し上げます。
また、店は13時~17時と時間を短縮しての営業とさせていただきます。アポイントの必要はありません。
ご不便をおかけいたしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
みなさまのご無事をこころよりお祈りいたしております!

久しぶりに「織物標本」が入荷いたしました。明治期の成立とあたりをつけたものの、織元さん旧蔵の見本帖・参考資料の類なのか、コレクターが蒐集したものなか はたまた研究者の資料か、一切手掛かりがないため、その辺りは最後まで判断がつかないだろうと思っていたのですが、落札したのを持ち帰り、画像を撮ろうと頁をくっていたところ、真ん中あたりの頁の見開きノド奥深くに、小さな紙片が挟まれているのに気付きました。「山田三郎 吉邨彌七郎 草(?)集」と刻まれた瓢箪型の落款が薄い和紙に押されたものです。
この程度の手掛かりで分かることといってもなあ …… と、ほとんど期待もしないでケンサクにくんにお出ましいただいたところ、今回はあっという間! 山田三郎編、吉邨彌七郎出版で『日本機織雑纂』という本が明治33(1900)年に出版されていることが分かりました。
国立国会図書館ではこの本をデジタルコレクションで公開しているので、新着品の標本集の織物現物サンプルに添えられた「第壹号 蜀紅錦」から「百五十六号 薩摩上布」までのキャプションと、『日本機織雑纂』の目次を照らし合わせたところ、これがビンゴ! 1点違わずこの本で解説されている織物が、目次と全く同じ順番で貼り込まれていることが分かりました。
とすれば、「織物標本」は『日本機織雑纂』(←こちらは徹底的にテキストだけの本)の別冊として複数部つくられた可能性がありますが、これまでのところ『日本機織雑纂』との関係性をうかがわせるような書誌情報は出てきてすません。 

見本帖としては裂の四方の処理、キャプションの手書き文字の美しさなどまで、ほぼ完璧といって良い丁寧なつくりなどから、もともと現存するのはこの1冊きりだったのではないか…? と古本屋的に都合の良い考えも浮かんでくるもしかし、ここから先はどこまでいってもあくまで推測のお話しです。
ともあれ、金襴緞子から縞目、海気から芭蕉布まで、日本全国津々浦々の織物156点が端正な佇まいで並ぶ「織物標本」、その全貌は店頭でご覧下さい。
「古本は買ってみないと分からない」とはこの世界ではよく云われる言葉ですが、これぞまさしく! 

■こちらも分からないまま買って、こちらは「やっぱり何も分かりませんでした。」で終わってしまいそうな骨牌=カルタの絵札全点手描きですが、この少々テカテカした顔料が一体何なのかさっぱり分からなければ、遊び方も分からない、というか、絵札60枚中1枚欠けてる上に読み札は4枚しかないのでそもそも遊ぶことができないという代物。
何故そんなものを買ったのかと云われれば、ただもうこの絵に惹かれたから、というその1点のみ。
というわけで。こちらはいっそのことバラ売りしてしまおうか、いややっぱり一括で売るべきではないかととただいま悶々としておりまして。明日、店に居れるまでには頭を整理しておきます。

■今週はこの他、戦前の洋雑誌『SHADUWLAND』『FILM FUN』、テーラー向けの古い専門誌『流行と断方』などがそれぞれ比較的まとまった量、龍村織物の端切れ少々など(龍村についてきた木材シートサンプルや色見本帖等も)入荷しております。

今週の斜め読みから。
https://www.facebook.com/551568241521404/posts/3407077342637132/

https://mainichi.jp/articles/20200703/k00/00m/010/190000c?cx_fm=mailasa&cx_ml=article&cx_mdate=20200704&fbclid=IwAR2raKjGBsgovWTG1kikKVxTbRCZXtCAcWtm1FmXimb0LfSwLCQZMNfAX10

九州豪雨下でGo toだとか↓これだとか。イギリスでは減税だというではないですか。メルボルンは160人で都市封鎖だし。何を見ても思いめぐらせるのは某国のダメっぷりばかり哉。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200701/k10012491121000.html?fbclid=IwAR0zwmIADgUmSvOs6etOWAWhdXPL8YaEE7KnJgfMYqOfjcUz8IPyNRjBtOo

 

20/06/26 モダンで大きく美しく - 優秀船の時代を物語る3点!

■東京の新型コロナウイルス感染者数は東京アラート解除後も減少しないばかりか50人前後で高止まりのまま推移していることもあり、大変恐縮に存じますが、ご来店の際にはマスクの着用と手指の消毒についてのご協力をお願い申し上げます。また、引き続き13時~19時と営業時間を短縮させていただきます。悪しからずご了解頂けますようお願いいたします。
新型コロナウイルスに関連して、例年通りであれば来週末に開催されていたはずの「明治古典会 七夕古書大入札会」は今年は中止となりました。代わって来週7月2日(木)・3日(金)の両日、古書店のみを対象とした市場が開催されます。このため、来週の店の営業は6月30日(火)・7月4日(土)の両日とさせていただきます。相変わらずご不便をおかけし申し訳ございません。

『機械と芸術との交流』。スタイリッシュな装丁に惹かれて、その意味など何も知らないまま、板垣鷹穂によるその本を市場で落札したのが2000年のこと。この時に板垣の代表的著書にはもう1冊、『優秀船の芸術社会学的分析』があると教えられて以来20年間、入荷はこれでようやく3度目となりました。
昭和5(1930)年発行、初版。画像の上段左の黄色の表紙は本体、右側に置いた赤とスミ2色刷で豪華客船のフォトモンタージュをデザインに使っているのがカヴァー。本来、本体と同じ書体だけでデザインされた函がついて完品となりますが、今回は残念ながら函なしです。
テキストは87Pから始まり181Pまでの100P弱。巻頭からテキストまではアート紙を使い図版に費やされています。
この当時の板垣はと云えば、新時代の美学=機械美の提唱者であり、機械美に相応しい表現としてとくに写真に深い関心を寄せていたのは周知の通り。その写真の分野で板垣に伴走したのが堀野正雄であり、当書にも収められている「優秀船の乾板撮影」は堀野によるものであり、「新しいカメラの主観を透して表現された浅間丸と秩父丸」13カットは堀野の撮りおろしと見られます(巻末に堀野による"「優秀船」の撮影に就いて"の一文も)。
板垣は序文で「写真技術家の堀野氏は、カメラの表現技法に関して私の抱いていた予想を実験するにあたつて、私の要求通りにその優秀な技術を呈供(ママ)して下さった上に、視覚的形態による参考資料の必要な限りをも、製作して下さった」と記しており、これら撮りおろし以外の巻頭図版ページの作成に - 表紙のフォトモンタージュも? - 堀野が関わっていたことを伺わせます。

この本、実は落札したのは今年2月の市場でのこと。小店で扱ったこれまでの2冊はいずれも海外へと旅立っていきましたが、海外との人・モノの動きが止まっているいま、当書の落ち着き先は果たして見つかるのでしょうか …… (汗)

■「優秀船」と関係の深い2点は今月になっての入荷。アール・デコのデザイン表現と明るい朱色と金色をあしらった色使いが印象的な『MAURETANIA(モーリタニア)』号のパンフレットは、テキスト巻頭に「The New "MAURETANIA"」と表記されています。
1906年の進水式当時、世界最大・最速の客船として登場、第一次大戦で病院船へ改修・輸送船としても使用された後、客船へ復帰。当パンフレットは1924年の改修後、客船として蘇った姿をお披露目したものと見られます
主にモダンなデザインへと変更された船内客室・各種施設の写真を中心とした編集で、外装全体図のカラーイラスト1図有。
ちなみに『優秀船の芸術社会学的分析』の巻頭図版には、オイローパ号、ブレーメン号、イル・ド・フランス号、ブリタニック号、コロンブ号などとともに、僅かに1ヶ所ですが、モーリタニア号初代の外装全体図の写真がとられています。
もう1点、モーリタニア号と同じキュナード・ライン所有のクイーン・メリー号のブックレット『The "QUEEN MARY" A BOOK of COMPARISONS』
タイトルに「COMPARISONS」とある通り、豪華客船クイーン・メリー号のスケールをあらゆるものと比較対照して見せる内容で全ページ劇画タッチというユニークさは、他に類例を見ないように思います。
機関車の羅列で20万馬力のエンジンを表現、エンパイア・ステートビルやエッフェル塔の横に船を立てて見せたり、ニューヨークの5番街に置いてみたり、救命ボート1隻で最新のバス4台分の乗客を乗せられるとか、1航海でポテト約2万3千キロ積むことになりますだとか、徹頭徹尾大きさとパワーを見せつけるもので、明らかにアメリカのマーケットを意識してつくられたもの。日本郵船にもアメリカのイラストレーターを起用したパンフレットがありますが、当冊子もやはりアメリカ人を起用しているのではないかと思います。
クイーン・メリー号の処女航海は1936年と云いますので、1930年代後半か1940年代初め頃のものでしょうか、ゴージャス感いっぱいのアール・デコの時代から約10年後、約豪華客船をめぐるデザイン表現にもさらなる近代化=大衆化の波が打ち寄せていたようです。
それにしても、21世紀を生きる我々は、今度いつ、国境を越えた旅ができるのでしょうか。また旅が身近に感じられる日が遠からぬことを!

久しぶりに、今週の斜め読みから。
倒れるべきドミノはこの際全て倒れてくれないものか。もちろん"目論んだ人"含めて。
https://news.yahoo.co.jp/articles/37835eafd30244d91c03f71bc82ff1371fe7656f
明日は我が身と思い及ぼすことのできる政治家よ、いまこそ出でよ!
https://mobile.twitter.com/ruruonthebridge/status/1275308740154023936?fbclid=IwAR0dWm_lSZEG7h7QV2O0SFBcbDyIp_r-CCEJ1IHD6vKsDYyie_xmC__H0Hs
記録が改竄される国で。
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20200624/1000050523.html
このニュースだけは心を励ましてくれました。
https://takadanobaba.keizai.biz/headline/450/
東京アラートの解除はあくまで政治マターであり実態に沿ったものではないことが分かったいま、どうかみなさまくれぐれも油断なさらずご自愛くださいますように! 

 

20/06/20 フリップブック、DM、図案集 …… 再び古紙の日々戻る

■緊急事態宣言も東京アラートも解除されはしたものの、あくまで政治的経済的matterに発するものであり、果たしてリスクそのものが抑え込まれたのかどうかということについては、少なくとも東京都の感染者数から見て当然意見も分かれるところではありますが、小店も少しずつ以前の営業に戻すべく、来週よりアポイント制をやめ、営業時間を13時より19時までとさせていただきます。
営業時間についてはご要望により多少の前後は対応いたしますので、ご用のむきはお気軽にご一報下さい。
引き続き、入店時の手指の消毒についてのご協力と、マスクを着用してのご接客についてご理解を賜りますようお願いいたします。
依然としてご不便をおかけいたしますが、いましばらくの間、よろしくお願い申し上げます。

先週末、「今週初めに更新します!」とFacebookで宣言したきり、結局1回パスすることになってしまいました。というわけで、本日の新着品のご案内は先週の入荷分より選ぶことに。
1点目は昨日の配置換えで入り口すぐの平台に落ち着いた『16 FLIPBOOKS 動け演算』。1990年代には「ポリンキー」や「バザールでござーる」などのCMで次々とヒットを飛ばしたことでその名を知られた後独立、大学教育の現場に立つ傍らETV「ピタゴラスイッチ」の監修などでも活躍を続けるメディアクリエーター・佐藤雅彦が、慶應義塾大学情報環境学部教授時代、自身の研究室の課題として、16人の生徒につくらせたパラパラ漫画(フリップブック)をそのまま商品化したもの。2000年にトランスアート社から出版されました。
A3変形・帯付き、厚みのあるパッケージを開くと、1冊ごとに大きさも厚さも異なる16点の冊子が見開きにきれいに収まるように設計されています。外形も16点の冊子も、リーフレットも帯も、いずれも状態良好です。
佐藤教授が研究室の学生16人に出した課題はFlipbookをつくってくること。制約はひとつ「compute=計算する」こと。「compute」による「Flipbook」とはつまり「自由に自分の感性で絵を描くのではなく、計算や、ある数式を使うか、それが無理なら線分や角度などを配分することによって animation を作りなさい」と云うものだったそうで、課題の内容と提出された16点(=16作品)については、下記のアドレスにある「動け演算」の専用サイトを是非ともよくご覧いただきたいのですが、確かにどれもそのまま商品化したくなる完成度とかわいさです。本当は16冊全部パラパラしてご覧いただきたいくらいですが、それができるのはお求め下さった方お一人さまの特権と云うことで悪しからずご免下さい。
http://www.masahicom.com/flipbook/ 

■Flipbookの下には大友克洋を置いて … といきたかったのですが、画像は左斜め上をご覧いただくとして、COMME des GARÇONS のDMが入荷しました。いまは亡きグラフィックデザイナーKN氏の旧蔵品で宛名入り封筒も。
2012-2013 ルネ・ブリ(René Burri) 25点/2013-2014 大友克洋 20点(No.19含む)/2014-2015 FREE INTERPRETATION OF THE WORK OF JR BY REI KAWAKUBO(アーティストJRとのコラボレーション)12点 以上57点が入荷。Burriの2点とJRの12点は封筒欠ですが、いずれも状態は極美。全点バラ売りの予定です。

画像的にこうして並べてみるといささか無理のある組み合わせとなりましたが、手製・手描きのテキスタイル図案集が久しぶりに入荷しました。題して『第壹号 織物正絵』。3×4cm~14×9cm前後の手描き・水彩の図案435図が収められています。
僅かに3点ではありますが、図案のなかに軍人図が含まれていることから日清日露戦争を経た明治後期頃のものと見られます。
当時の図案としては使用している色数が多いこと、とくに小さなサイズに落とし込まれた反復するデザインに端正なものが多い点など特徴もあり、詳しい方がご覧になれば、地域や織物業者としてのレベルなどまで、読み取れることは多いのではないかと思います …… と、肝心なところでバトンを渡してしまおうとするあたり、まだまだ古本屋としての課題であろうと思う次第であります。

■今週から市場が本格的に再起動。従前通り、市場通いを主軸とする一週間が戻ってくるのと同時に、またしても「一週間なんてあっと云う間!」な日々が戻ってきました。古本屋の日常、要は市場を軸にまわっていたのだなあと改めて実感しています。ならば、店の営業についても完全回復まではあともう一歩のはず。再び店でお目にかかれる日を楽しみにお待ちいたしております! 

 

 

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