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20/06/06 1920年前後・進化の時代の紳士服テイラー関係洋書と戦前日本美術展関係資料

■都内の感染者数が再び増加をみせるなか、今週から店と古書の取引市場の試運転が始まりました。今週開催された市場は2回。そのうち木曜日に開催された資料会に行き、久しぶりに会うことのできた同業諸氏とお互いの無事を確かめることができました。いまのところ古書組合加盟店や古書組合の関係者で感染者はゼロとのこと。とても喜ばしいことです。
2ヶ月ぶりに開催された市場は予想通りの大量出品。古書会館の3フロアを使って本がすきまなくびっしり並べられていました。
戦時中でも都内のどこかしらで開催されていたのではないかと云われる古書の取引市場、今回のように2ヶ月休止という事態は前代未聞だとも聞きます。その間にも荷があつまる業者も多く、市場が閉鎖されていた2ヶ月分をさばくために、当面、市場は大量出品が見込まれます。
まさに商機! のはずなのですが、大量の本を前にすると入札する気が失われる傾向が年々強くなっている小店店主、今週木曜日は結局1点も入札せず。ここのところ陥ることが少なくなっていたスランプですが、久々に本格的スランプ来るか!? という再スタートとなりました…。
思い出した。今年は前厄。

少なくとも今月いっぱいはコロナウイルスに対応した営業を続けます。お客さまには誠に勝手ながら下記の点についてご理解・ご協力をお願い申し上げます。
〇当面の間、営業時間を短縮し、火・木・土曜日 14時~19時 といたします。
〇またしばらくの間、アポイント制をとらせていただきます。
上記営業曜日・時間からご希望の日時をお電話かメールで予めご連絡下さい。
03-3400-0327 info@nichigetu-do.com  または Facebook 古書 日月堂への DM
〇ご入店は個人またはお二人までとし、グループでのご入店はご遠慮下さい。
〇ご来店の際には必ずマスクのご着用をお願いいたします。
〇店内入り口にアルコール消毒液をご用意いたしますので手指の消毒にご協力ください。
〇マスクを着用して接客させていただきます。また、店内は消毒に努めております。
〇すでに夏日も多くなってきましたが、換気を優先させていただきます。
ご不便・ご面倒をおかけいたしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。

■何しろスランプらしいので。新着品は店の休業前に入荷していたものの、まだ手つかずだったものから。
画像1点目は1920年代前後を中心に26冊の英文洋書がまとまって入荷した誂え紳士服=テイラー関係の実用書のコレクション。 

仕立てとカッティングという2分野の専用書を中心に、採寸方法、ポケットと装飾、人体骨格といった仕立てに関連した専門書を含んでいます。いずれも図版を見ているだけでも楽しい。
1920年代前後と云えば、大衆消費社会が本格化、メンズ・ファッションの世界にも「流行」という要素が加味され始めた時代です。テイラーに対する需要そのものが拡大、また、顧客の嗜好の変化に充分対応できるテクニックが求められたはずです。
同時代に日本のテイラーが集めたひとまとめ …… であれば面白さも弥益のですが、残念ながらそれと示す痕跡はなく、むしろずっと後年になって集められたものではないかというにが正直な印象です。
とはいえ、紳士服の仕立てに関する洋書ばかり - しかも現代の紳士服の基礎をつくった1920年代前後! - これだけあつめるのは結構難しいと見られる現在、おもしろいラインナップであることは保証いたします。

画像2点目は戦前日本の美術関係資料。画像はひとまとめにしましたが、こちらは分売。タイトルだけでピンとくる方たち向けの商品ですので、小店店主の説明などむしろ無駄なだけ。ここは合理化的に、ご紹介は箇条書き。
上段左 ①プロレタリア美術大展覧会目録(大判横長両面刷1枚・8P)/1928(昭和3)年 第1回展 巻頭に「宣言」・主催名部分に「造形美術家協会」追加(スタンプ押し)
上段右 ②N・A・S 新興美術家協会展覧会出品型録(B5・20P)/1935(昭和10)年 第1回展 巻頭に規約・会員出品作図版入 玉村方久斗、大内 青圃、清水多嘉示他
下段左より
③第9回国画会出品目録(B6・42P+広告)/1934(昭和9)年 ブブノワ、藤牧義夫、香月泰男、梅原龍三郎他
④草土社第7回美術展覧会出品目録(B6・11図+19P 入場券半券貼付)/1919(大正8)年 岸田劉生テキスト3P
⑤第1回一水会展覧会目録 *複製(A6・24P+8図)/1937(昭和12)年
⑥第5回一水会展目録(A6・41P+12図+広告)/1941(昭和16)年 石井柏亭、有島生馬、硲伊之助、深澤紅子他
⑦現代大家油絵大展覧会(目録 A6・10P)/1930(昭和5)年 中川紀元、中川一政、藤島武二他
この他何点か、いま少し下調べが必要なものあり、追ってご紹介できればと思います。

■今週の斜め読みから。
マスク製造会社へ、D通へ、Pソナへという不思議なお金の流れに加え、今度は事務費3,000億円とか予備費10兆円って一体何? という状況下でも批判を封じようとしさらには#〇倍さんお疲れさまとか云わせようとかいう人のいる情けなさ。
→https://www.tokyo-np.co.jp/article/32951?fbclid=IwAR2kTtvbggGuDg8XBPywjfwEPnTNWOFpacDI8yqEZA5iMRE_D-vwSbHRR1s
→https://www.news-postseven.com/archives/20200603_1567595.html

ドイツとかカナダとかトップを交代してもらえないものかとしみじみ思うコロナに策なしヘイトに考えなしの美しきおらが国現代ニッポン。
→https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59955790U0A600C2MM0000/?fbclid=IwAR2YWPlL95dNnkl3KGWXk2qHCIBBQoB7FabiXiL46sYlAp0iHdzS-dtYfaw
→https://www.youtube.com/watch?v=n3E47IuhTgc

 

20/05/23 営業再開のお知らせ

■みなさまお変わりなくご無事でお過ごしでしょうか。
緊急事態宣言延長とこれに伴う古書取引市場の休止延長をうけ、小店も営業を自粛してまいりましたが、来週には宣言解除が見込まれることから、6月2日(火)より営業を再開することといたしました
ご存じの通り、新型コロナウイルスの感染が完全に終息したわけではありません。
再開にあたっては常時マスクを着用する、健康管理を徹底する、店舗の消毒を徹底するなど、感染防止のために可能な限りの対策を講じます
また、大変恐縮に存じますが、ご来店の際にはお客さまにもご協力を賜りたく、下記の通り併せてお願い申し上げます。

〇当面の間、営業時間を短縮し、火・木・土曜日 14時~19時 といたします。
〇またしばらくの間、アポイント制をとらせていただきます。
上記営業曜日・時間からご希望の日時をお電話かメールで予めご連絡下さい。
03-3400-0327  info@nichigetu-do.com
または Facebook 古書 日月堂への DM
〇ご入店は個人またはお二人までとし、グループでのご入店はご遠慮下さい
〇ご来店の際には必ずマスクのご着用をお願いいたします
〇店内入り口にアルコール消毒液をご用意いたしますので手指の消毒にご協力ください。
〇肌寒い日、暑い日などもありますが、換気を優先させていただきます

多大なご不便・ご面倒をおかけいたしますが、ご理解下さいますようお願い申し上げます。
尚、古書の取引市場については再開日程がまだはっきり示されておりません。このため、ご蔵書のご整理につきましては日程が出次第、改めてご案内させていただきます。

コロナ後にどのような風景が目の前で展開されていくのか、いまは予想もつきません。
考え続けてはいるものの、何の新しいビジョンも描けぬまま再開を迎えることになりそうな小店ですが、旧倍のご指導・ご鞭撻を賜りますよう、今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
6月にはまた店でお目にかかれるのを楽しみにいたしております!

画像は5月10日(日)緊急事態宣言下の東京・大井町近く。長い散歩の途中で仰ぎ見た空は雲一つなく晴れ渡り、広がる青はどこまでも澄み切っていました。
中国国内のCO2排出量が25%減少、ヴェネチアの運河にイルカが泳ぎ、東京上空には泣けてくるような青空がひろがっていて …… これらをもたらしたのがCOVID-19という名の災厄だとするならば誠にもって「禍福は糾える縄の如し」です。
附録は例によってお笑いを一席。そろそろナツノマスクのこともね。
https://kyoko-np.net/2020051401.html 

 

 

20/05/09 休業期間延長のお知らせと 未紹介商品から … 秋山祐徳太子「浮遊する天心」(ブリキの他36歌仙!) 他

■前回の更新から約3週間が経ってしまいました。
みなさまお変わりなくお過ごしでしょうか。
久しぶりの更新となりましたが、先ずはお知らせを。
前回、店の再開は最短で5月9日とお伝えしましたが、緊急事態宣言の延長と、これに伴う古書の取引市場の休止延長をうけ、小店も引き続き休業することといたしました
今月末をひとつの目途とし、国や都の要請解除、感染状況の変化などを見ながら対応を決めていくことになるかと思います。
営業再開の折には、店内の換気や消毒、マスクの着用など、可能な限りのウイルス対策を講じますが、お客様にご協力をお願いすることも出てくるかと存じます。
詳細につきましては営業再開の目途が立ち次第、当HPやFacebookなどでお知らせいたしますので、いま暫くお待ちいただけますようお願い申し上げます。
感染者数は落ち着いてきたかのように見えますが、その数値単体では評価が難しいようです。
どうかみなさまくれぐれもご無事で、近いうちにまた店でお目にかかれますように!

折角の更新ですので、思い立って新着品でまだご紹介していなかったものから2点を選んでみました。但し、いまのところ価格は未定です。大変申し訳ありませんが、営業再開後の販売とさせていただきます。
1点目は秋山祐徳太子の平面作品でタイトルは「浮遊する天心」。ブリキを支持体とするミクストメディアで35×30cmほどのサイズ。裏面に油性マジックで署名とタイトルの他、日付(1999.10.24)とノンブル(24/36)の書き込みがあります。
このノンブルの意味は? と云うことになるわけですが、添付されている秋山祐徳太子の書状によれば、「浮遊する天心」は1999年、上野の森美術館で開催された「Hack the Future!」展の出品作品であり、佐竹本三十六歌仙絵巻(!)ならぬ「ブリキの36歌仙」として36枚に断裁、"天心の魂を来世紀にも見守りたいと思い、皆様にその気持ちをご理解いただき、ここに謹んで贈呈させ"するとあります。結構おしつけがましい贈呈品だったのではないかという疑義も生じてきそうですが、ともあれ当品はこうして配られた36点の内の24番である、ということがはっきりしました。
書状には続きがあり、秋山さんは2001年には36点を一堂に集め、"天心の心を一つにしたい"という野望を抱いていたのですが、これが実現したかどうかについては寡聞にして知らず、ただそれはちょっと難しかったのではないかと想像しております。
秋山祐徳太子と云えば都知事選に立候補しては落選した泡沫候補としてご存知の方も多いかと思いますが、前衛芸術家という本職(?)、しかも代表作が「ダリコ」であるといったことと相俟って、若い頃の私は胡散臭いおじさんだとばかり思っておりました。後年、『泡沫桀人列伝』などの著書を通じてまさか大いにお世話なにろうとは……。
著書『秋山祐徳太子の母』が話題になったことも記憶に新しく、まだまだ元気な印象があったのですが、ついひと月ほど前、4月3日に逝去。この人が語り、この人について語られた思いのほか多くの情報がいま、デジタル空間に残されていて、秋山祐徳太子という人の人となりを物語っているように思います。

■2点目は、秋山祐徳太子の『泡沫桀人列伝』に、風倉匠、桜井孝身、イトカン、篠原有司男といった、いまは錚々たる人たちとともに名を連ねている存在演劇家・蒲生和臣の『存在演劇NO.1 何もしないで来ているとき』のパンフレットです。
『存在演劇NO.1』それ自体は原宿にあるイベントスペースで行われた、何も行われなかったパフォーマンス・アート(実際には観客にお茶とお煎餅を配ったそうです)で、人を喰ったかのような蒲生氏の人となりともども、詳しくは是非、『泡沫桀人列伝』をお読みいただくとして、パンフレットは蒲生が構想したパフォーマンス・アートのイメージ、「存在演劇NO.1」のコンセプトや狙いを詳細に言語化したもの。
厚手の表紙と共紙を採用、片面起こしの頁には同じ図版をあしらった全5枚・40P。薄黄色の上質紙に印刷された蒲生の「ご挨拶」と、パフォーマンス・スタート時間以降の過ごし方に関する指示書がはさまれています。
蒲生によれば「何もしない ことを 公演すること。」というこの試みに関しては、調べてみると石子順造による『蒲生和臣の「存在演劇」--演劇の無化へ向けて』もあるようで、単に色物と片付けられないものがあることをうかがわせます。

■文字数の関係もあり身辺些事を少し。
自宅とその周辺だけで過ごしたこのひと月。古本屋開業以来24年間で初めての、思いがけない「長いお休み」となりました。引きこもりは全く苦にならないはずが、外出しないこと、人に会わないことが、なかなかの苦行であることを思い知らされています。
何より驚いているのが、物欲というものが憑き物でも落ちたようになくなったこと。物心ついた頃から何だか物欲まみれだった私であります。たぶんこんなこと人生初めて。
思えば古本屋というもの、売るあてもないままお客さまから買わせていただいたり市場で競り落としたり。仕事の半ば、或いは半ば以上を「買い物」が占めています。とくに市場など誰に頼まれたわけでもなく連日買い物する人たちが犇めく場。冷静に考えると、あそこに足しげく通う人というのは買い物が楽しくて仕方ない依存症かギャンブラーか、少なくともそれとそう違いのない人たちに違いありません。古本屋としての私に味方していたのは物欲だったという厳粛なる事実! 市場が再開されたとして、物欲がすっかり失せた私には果たして何かを買えるのだろーか。まずいぞ。
なんて笑ってますが。アベノマスクだの4日間様子見ろとは云ってないだのやっぱり1円単位まで端折らず振り込みますだのボロボロのこの国で、目下の懸案はウイルスのみならず、休業延長によってギリギリと搾り取られるばかりの経済事情とおそらくは多くの人たちからも失せ果てたと見られる物欲。いつ終わるとも知れない世界的な人とモノとの移動の制限。アメリカでは昨日、戦後最悪の失業率を記録。真面目なお話しどちらを向いても決して笑ってはいられない問題山積のコロナウイルス禍であります。
生き延びるために。来週からは熟考しつつリハビリに努める心積もりです。 

 

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