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16/04/16 レジェとサンドラール、バジル大佐のバレエ・リュス、そして安全な暮らしのためのパンフレット

 ■お約束を反故にして今週はじめの更新はパス。申し訳ございません。GWに開催されるジェオグラフィカでの蚤の市の準備で手がまわらなくなりました。それも何とか目鼻がついて、今週水曜・木曜は全連大市でした。案の定ボコボコに負けて帰宅いたしました。とぼとぼと帰宅した4月14日、さて、がしかし肩を落としてばかりで居るわけにもいかないやねと夕飯の支度にかかった矢先の地震でした。TVを見ると「熊本 震度7」の速報。熊本?震度7?と咄嗟には呑み込めなかったのですが、その後、次々に映し出される画像から徐々に甚大な災害だということが分かりました。被災した方には心よりお見舞い申し上げます。全連大市にもいらしていた熊本の古書店さん、被害が最小限でありますように。被災されたみなさま、心よりお見舞い申し上げます。どうか、1日も早く大地の揺れが収まり、日常を取り戻せますように祈念申し上げます。
それにしても、いまやどこで何が起こってもおかしくないこの小さな島国で、原発を動かし続けようという人たちの神経がさっぱり分かりません。理性か悟性のひとかけらもあれば、全廃へと舵をきるべきことは自明の理だろうに。先ずは有権者がもっとまじめにやりませう。4月24日をその第一歩として。

戦前に日本とフランスで出版されたある1冊の薄い書物。水曜の下見日に出品されているのに気付き、一晩考えて入札。106,900円、 117,900円、137,900円、148,900円という4枚札で入札。封筒を触って確かめた競争相手は自分を除いて2人だけ。封筒がふくらんでいない時の方が、往々にしてギリギリの線での厳しい競り合いになることが多いので、あの札で万全なのか、いや、もう少し乗せておくべきか、改札ぎりぎりまで迷いました。迷った挙句、あの値段で逃しならばあきらめられると札を改めることをせず結果を待ちました。結果、落札価格は151,190円。逃しました。相手も てっぺんの札での落札だったので、その差はきっかり3,000円。この世界、金額の差がたとえ10円だろうが負けてしまえばその品物は一切手に入らない完全な負け。これ以上ないと云う100%の負けです。完膚なきまでに開きがあったり、相手にまだ上札が残っていてならあきらめもつきますが、両者上札で僅差の負けと云うのが一番よろしくありません。あとあとまで悔いが残ります。2月の中央市大市では、一番欲しかった1冊をあれも2千円だか3千円だかの差で負けたのでした。どちらも悔しい。今年、大市運にはつくづく見放されているようです。

 で、こういう時に限って、もう絶対に手を出さないゾと心に誓っていたような「売りにくい」品筋についつい手を出してしまうというのもダメな時にありがちなお話しでありまして、今週の1点目がそれ。確かにとても良い本。華があるし、何と云っても世界共通の価値をもつものです。がしかし。レジェもサンドラールも日本人には受けない。全然受けてない。多分これからも受けない。なのにその割に高い。何せ世界共通価値ですから。ま、でも日本では売れませんわな。なのに。ですよ。なぜ。どうして。売れないと分かってるのに買ちゃうの!? …… というモンダイの1冊、『Entretien de Fernand Leger avec Blaise Cendrars et Louis Carre sur le paysage dans l'oeuvre de Leger』がそれ。パリの高名なギャラリー ルイ・カレで1954年に開催されたレジェの個展「le paysage dans l'oeuvre de Leger」に際して行われたレジェとルイ・カレ、レジェと親交の厚かったブレーズ・サンドラールと云う3人での対話をまとめ、1956年にパリで出版された軽装判の書籍です。ルイ・カレは日本ではあるいはアルヴァ・アアルトが手掛けたルイ・カレ邸で知られているかも知れません。旅を枕のアナキストにして現代詩の先駆者、前衛芸術家との親交でも知られるブーレーズ・サンドラール、そしてフェルナン・レジェという、私の頭の一部分はそれだけでちょっと嬉しくなるメンツではあるのですが。
モンダイの書籍は750部の限定本。B5をひとまわり大きくしたくらいの判型で、巻頭にサンドラールの筆跡を印刷に起こしたメッセージ1Pおよび録音された対話に関するコメント2Pを置き、本文は3名の会話で展開。レジェの多色刷リトグラフ6図(内2図は見開きで1図)およびモノクロ挿画が適宜挿入されています。レジェが好きな人は少ないかも知れません。がしかし、改めて眺めてみるにこの本は良い本です。いくら売れなくたって良い本なのではなかろーかと思う次第です。ふん。一生抱えてやるもんね。

■実は他に「これぞ」というのもあるのですが、いずれも和ものでレジェとの座りがあまりに悪く、しかも土曜日に店に到着の予定。というわけで、少し軽めの品物ですが、今週は洋ものラインナップとすることに。思えば久しぶりの洋モノ入荷でもあります。

 少し前、と云ってもよく考えれば10年ほど前までは、それでもまだ年に1度位は市場で目にしていたような気がするバレエ・リュスのパンフレットも最近は全く見なくなりました。今回入荷したのは残念ながらディアギレフ没後、バジル大佐が率いたバレエ・リュス・ド・モンテカルロのもので、1934年、アメリカはミネソタ州の婦人クラブが招聘した公演のパンフレットです。従って英文。2月12日から14日までの3日間・4公演で6演目。ディアギレフのバレエ・リュスから継承したプログラムはレ・シルフィード、白鳥の湖、カルナバルの3つ。カルナバルではバクストの舞台美術を使用していたようです。また、1933年に制作され、レオニード・マシーンの振り付けでモンテカルロの代表作となった「美しきドナウ」が3公演でプログラムに組まれている他、ドラン作、オーリック音楽、バランシン振り付けの作品なども。
ディアギレフ当時と比べると、前衛という点では大きく後退していたと思われるモンテカルロのバレエ・リュスですが、1934年当時、バランシン、マシー ン、ウィジコフスキーが居、ダニロワ、マルコワが踊ったモンテカルロ初期は、そう捨てたものではなかったのだろうと思います。

洋物の冊子・雑誌類の一括からこんなものを発見。『DARAUF SOLLTEN SIE ACHTEN… ES IST IHR VORTELL! 』。1967年、ドイツのノルトライン・ヴェストファーレン州の労働雇用監督官庁が発行した家庭と職場内での安全意識促進用のパンフレットなのですが、こ れがとんでもなくスタイリッシュでびっくり。シンディ・シャーマンを思わせる写真あり、ロシア構成主義的グラフィック表現あり、瞠目すべき40P。無駄に カッコイイというのはこういうのを云うのだというお手本。
洋ものではこの他、戦前の週刊写真雑誌が入荷、翻訳文学約20冊なども明日には入荷。また木版刷の図案集6冊その他和もの入荷の内何点かは来週にでもご紹介させていただきます。

*更新作業を進めている間、4月16日午前1時45分前後、緊急地震速報が間隙を置かず相次いで発令され、熊本の震度6強はじめ九州地方で強い地震が相次いで観測されました。その後、2時をまわっても各地の震度を示す画面が出続けています。午前3時近くになっても揺れ続けています。熊本市内でビルの倒壊、橋の落下、救援派遣要請が相次いでいるとのこと。現地の方たちは昨日来、眠れない夜を過ごしておられることと思います。どうかくれぐれもお気をつけて、そしてくれぐれも御身御大切に。  --- その熊本地震に関係して。
 “今回の熊本地震で、この避難計画に組み込まれている九州新幹線や高速道路が軒並み脱線事故や地割れ・陥没を起こして使用不能となっています。つまり、川内原発周辺住民の安全を確保できているという前提が全く狂ってしまったことが、今回の地震の大きな教訓です。”
http://raymiyatake.jp/blog-entry-3340.html
“4月14日夜、熊本県で最大震度7を観測した地震の発生後、ツイッター上では「関東大震災」を思わせるデマのツイートが飛び交った。「熊本の朝鮮人が井 戸に毒を投げ込んだぞ」「熊本では朝鮮人の暴動に気をつけてください」といったものや、「火事場泥棒を狙ってくる不届な国がすぐ近くにありますから」と いった記述が見られる。”
https://www.bengo4.com/internet/1070/n_4544/
http://citrus-net.jp/article/736
これだけでも本当に情けないことですが、今週の斜めよみからもまた、無責任からデマまで、次々に何とよく出てくることか。日本人の劣化はもはやとどまるところを知らないとしか云いようがないじゃないかと暗澹たる気分に。「私自身はTPP断固反対と言ったことは一回も、ただの一回もございませんから、まるで私が言ったかのごとくの発言は謹んで貰いたい」と断言した人に至っては、自分のついた嘘を嘘と認識できないわけですから、これはもう一種の病い、人格破綻者としか思えません。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/shivarei/20160411-00056464/
タックスヘイブンから見れば企業減税に何ら有難みなどあろうはずなく、この国の税収はひたすら縮み、素人博打のお陰で国民の年金は目減りする一方です。それでもまだ有権者にはできることがあります。そこに希望を託したいと思います。
http://editor.fem.jp/blog/?p=732
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160411-00010000-moneypost-bus_all

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