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16/06/18 明治~大正 夏目漱石著書装丁コレクション と 再びの古裂コレクション

■今週こそ、小店HPにあっては前代未聞、余白たっぷりの新着品ご案内をと思っていたのですが、よりによって 厄介なものが入荷しました。
画像内、「夏目漱石著書 装丁コレクション」としたのはあくまで便宜的につけた仮題。夏目漱石の著書元版から、カヴァー、表紙、見返、扉、挿画といった装丁の範疇にある要素と、版に関する 情報を残そうという意図もあってか奥付のページとを抜き出し、台紙に貼り付けたもので、実際には無題。どこの誰が、どういう意図でこうした行為に及んだのか、そのあたりのヒントの一切ない、従って古本屋としてはあくまで即物的に扱うしかないという代物です。
残されているのはB4の台紙の枚数で77枚。最多は“漱石と云えば猫”の『吾輩は猫である』17枚。発行年と版数を同じ明治42年12版とする上篇・中篇の 奥付、明治40年3版の下篇奥付があり、3篇の表紙、カヴァーが1点、多色刷の挿画12葉などを収めています。装丁は橋口五葉。
次いで多いのが明治41年4版の奥付の残る『漾虚集』の15枚で、部分的に継のあてられた様子も味わい深い藍染布装の表紙、所収短篇7篇の扉など。
続いて、橋口五葉の意匠、ツワブキの図案部分に漆が使われた『草合』再版6枚。五葉デザインの木版装『彼岸過迄』大正元年3版、大正6年初版の『明暗』、 明治45年12版の『鶉籠』、がそれぞれ5枚。以下、『虞美人草』『三四郎』『行人』が各4枚、『四篇』『それから』がそれぞれ3枚など。
初版の奥付が残るのは明治44年発行の『門』1冊(3枚)だけであること、発行年がある程度まとまっていることから、遅くとも大正初期までに成立していた 可能性が高く、また、残念なことに表紙の背が痛んだものが多いことから、比較的手軽に買えた古本を使っているのではないかと見ています。
“見てくれ”だけに拘泥した野蛮なコレクションと片づけてしまえばそれまでですが、明治~大正初期発行の漱石本を21世紀のいま、これだけ蒐め、しかも身ぐるみ剥いで開きにしようというに等しい行為には、そこそこの資金力にプラス、かなりの勇気がいるはずです。青空文庫でテキストを携帯し、装丁は飾って楽しむ。21世紀的愛書家のあり方をひとつ試みてみようかという方に、ご購入をご検討いただきたいコレクションです。

そういえば「明治期雑誌表紙コレクション」なんていうのを買ったの今年2月のことでした(但し Sold out→こちら)。小店、余程表紙にご縁のある年と見えます。と云うか、何故こんなにカヴァーコレクションが出てくるんだろう。不思議だ。

画像の2点目、今年4月2日の更新でご紹介した経本仕立ての更紗の裂の見本帖『古裂帖』の姉妹編かと見まがう古裂の貼込帖
で、今回のこちらは(我ながらややこしい…)ヨーロッパ更紗風意匠の古裂を中心に72点を収めたもので、時代的には以前のものより少し裂全体に新しい印象で すが、より明るくモダンな仕上がりです。非常に清潔で状態の良いコレクションであることは前回同様。過不足なく集められ上品にまとめられた貼込帖は、古裂に限らず、これから何か蒐集を始めようという方にとってはヒントでありお手本になるのではないかと思います。

■今週はこの他、イギリスのタイポグラフィ専門誌『The Fleuron』の合本4冊他タイポグラフィ関係の洋書2本口、戦後の紙モノ蒐集家が発行していた個人雑誌2冊などが明日、店に配達される予定です。
当HPのあまりの脆弱さに、今年9月下旬をめどに、HPをリニューアルする考えです。来週の日月堂は営業時間中もPC&HP打合せ週間となりそう。店主の監視下になんて置かれたくないもんねという方はご来店のチャンス? です!

今週のななめ読みから。
舛添前東京都知事の辞任騒動をめぐるル・モンドの記事の翻訳
http://blog.tatsuru.com/2016/06/16_1450.php
この問題をめぐって、私はかつて我が国で、国民の犠牲大なるにも関わらず戦争を遂行するのに役立った「隣組」を支えた国民性を思いました。
こちらもまた、かなり重要なお話し。今年もまた選挙ですから。
http://www.asahi.com/articles/ASJ6F6TT8J6FUCVL02L.html

 

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