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16/07/02 来週は「七夕古書大入札会」 / エリック・ギルの「ギル・サン」を収めた1930年イギリスのタイポグラフィの本

 ■2016年ももう半分が過ぎ、今年もはや「明治古典会 七夕古書大入札会」の季節となりました。
このタナバタの関係で、来週、店は火曜・木曜の両日のみ、12時より20時までの営業となります。当HPの更新も一回お休みさせていただきます。
ところで、「明治古典会 七夕古書大入札会」とは何ぞや? と疑問をおもちのみなさま、是非、下記のアドレスから専用サイトをご覧下さい。
http://meijikotenkai.com/2016/
平たく云えば、年に一度開催される古書のオークションでありまして、今年は7月8日(金)10時~18時、7月9日(土)10時~16時の二日間、一般のお客様に商品をご高覧・吟味していただいた上で、古書業者がお客様に代わって入札する、と云うものです。
最低入札価格が10万円からと敷居さが間口の狭さになりそうですが、入場は無料、その上、漱石の自筆反故原稿や芥川龍之介の手紙、あの『死刑宣告』やフジ タの版画、芳年の浮世絵等々、出品商品はどれでも・どなたでも手にとってご覧いただくことができます。とてもじゃないけど買えないよと云う商品であろう が、やがて文学館や美術館に入っちゃうかも知れないものだろうか、とりあえず、あなたの指紋をつけておくことができるのです!
「だから何。」と云う声が聞こえてきそうなので馬鹿話しはこれくらいにして、小店、代理入札に関しましては基本的にこれまでお取引のあったお客様に限らせていただいておりますが、これはと思ったお品物がありましたら、お声をおかけ下さい。
会場は地下鉄神保町駅または新お茶の水駅、JRお茶の水駅から徒歩圏、駿河台下近くの「東京古書会館」。日月堂は金曜は閉場直前まで、土曜日は昼過ぎからほぼ終日会場に居る予定です。
今年は昨年より「七夕」と併催されるようになった業者だけの「プレミア特選市」が土曜日16時にスタート、「七夕」の最終入札と改札並びに「プレミア」の 入札・改札とセリとが日曜日に行われる上に、金曜夕方から土曜日昼まで五反田で開催される南部支部の入札会が重なって、多分、こう書いただけでは何がどう なってるのかわけ分からんと思われましょうが、正直、私にももうどうなっちゃうんだか分からない市場地獄の3日間。しかし一番の問題は、現在までに告知さ れている市場の事前情報のどこをとって何を見ても、「これは」と思うものがひとつもないこと。そうでなくともスランプが続いている云うのに どうする? どうなる!日月堂の72時間 …… なのであります (嘆息) 


■タナバタを目前に思い切った買い物をするというのは手持ちに限りのある古本屋では土台無理なお話しで、今週の新入荷分はわずかです。いずれもタイポグラ フィ関係の洋書が7冊、土曜日に入荷。
画像はそのうちの1点、『ARS TYPOGRAPHICA - The type book of BALDING AND MANSELL』。 1930年4月発行の初版。イギリスの印刷会社「BALDING AND MANSELL」の製品である活字と組版サンプルを1冊の上製本にまとめたもので、とくに当時出来上がったばかりだったはずのエリック・ギルの代表作「ギ ル・サン」のファミリー7書体を収めているのが当書の手柄。
他に「ギャラモン」などオールド・スタイルから「ブロードウェイ」といったモード系の書体まで、活字約30種を収める他、文頭を飾るイニシャル・レター7P、罫線及び飾り罫7P、その他装飾7Pなどが含まれています。
1930年当時、当然のことではありますが112P全て活版印刷の直刷、自社PRのためとあって刷り上がりも実に見事。
あくまで活字関係の商品とそれを使って作ることのできる組版のみ、つまり、ほぼ活字によって構成された単純な本なわけですが、この上なく美しく、何度見ても見飽きること がないように思われます。
文字デザインと組版デザインとがいかなる力をもつものなのか。改めてその力の大きさを思い知らされる1冊です。

■と云うわけで、7月10日(日)には精根尽き果てているはずの私は期日前投票に行く予定。
ハンナ・アレントの『暗い時代の人々』の序文をひいたブログを見つけました。
http://d.hatena.ne.jp/ima-inat/20130828/1377655411
今週は、ここからの引用。まるで日本のいまとこれからを予言しているような、つまり、「暗い時代」を繰り返しつつあるという指摘にも等しいアレン トの言葉です。
「カタストロフがすべてのもの、すべてのひとを襲ったまさにその瞬間に至るまで、それはリアリティによってではなく、ほぼすべての公的な代表者ら の非常に効果的なおしゃべりと曖昧な物言いで覆い隠されていたのだ。彼らは遮られることなく様々に技巧を凝らして、不愉快な事実を言い繕い、もの ごとを正当化した。暗い時代について、そしてそこで生き行動した人らについて考えるなら、「エスタブリッシュメント」――すなわち「システム」と 呼ばれるところのもの――から発せられ広められる、このカモフラージュを考慮に入れなければならない。」
ブログで取り上げられているブレヒトの詩については、野村修訳のこちらで読むのをお勧めします。
http://blog.goo.ne.jp/momonga2004/e/796c3e482b2f4763743ef1900b883314


 

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