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07/03/18 Information

■すでにすっかり店と市場と自宅を往復する日々に戻り、今週も火・木・土曜各日12時~20時で店を営業いたします。 ■帰国した翌日はさすがに市場に行けず、しかし3月9日より日本の市場にも復帰しております。帰国後の新着品の最初は『西日本現代風景』。昭和6年に大阪毎日新聞の付録として発行された38頁ほどの冊子で、全頁写真図版とキャプションで構成されています。ツーシーターのオープンカーで海辺を行く男女。どうです、表紙からして「現代」ではありませんか。“日本一近代的な大道路である。”と言い切る阪神国道、“異国情緒の横溢した珍しい近代景観”トア・ロード、百貨店や製鉄所など、昭和初頭に現れた「現代風景」が切り取られています。ダンス・ホールは“大阪で許可されないので、今では兵庫県の名物のやうに”なったのだそうで…これは全然知らなかった。歓楽街の新趣向ではいまも先進地のイメージのある大阪でダメだったとは…。記事はさらに詳しく“尼崎に四ツ、宝塚に一ツ、西宮に一ツ、神戸に四ツ”のダンス・ホールがあることを親切に紹介しておきながら、“数十名のダンサーが脂粉の香りを漂はせて、ジャズに合せて踊り狂ふ、一度ホールに入れば爛熟した世紀末的な匂ひがプンと鼻をつ”くと、どこか小市民をおどかしている調子もあり、読者諸氏にお薦めしたいのかいやお薦めしかねるのか…さて。記者の心中やいかに?!

今年のパリ新着品情報もこれで打ち止めの1点。帰国してすぐ「発見!!」の連絡があり、遅れて先週到着したのがこちら、フランスの酒販店『NICOLAS(ニコラ)』が発行したカッサンドルによる1931年版のワインリストです。ニコラはパリを歩いていると必ず出くわす酒販店チェーン(日本でいえばさしずめ信濃屋といったところでしょうか)なのですが、戦前から宣伝用に多種多様な印刷物を発行しており、なかには単なる「宣伝」の概念を超えるもの-例えばシャルル・マルタンによる贅沢この上ない『ワインの飲み方』といった冊子から、ポール・イリブの全体主義を痛烈に風刺した画集まで-があります。それらに比べればワインリストはまだ商売と直結する印刷物だといえますが、そこはそれ、やはり一筋縄ではいかず、当時すでに一流だったデザイナーやアーティストを起用、その作品に相応しい印刷=複製技術-リトグラフ、シルクスクリーン、エンボス加工等々-が採られることもしばしば。ニコラ社の宣伝戦略の全貌やその印刷物についてまとまった資料は未だ見つかっていないのですが、雑誌『ゲブラウス・グラフィック』1931年9月号には同社の宣伝印刷物に関する特集記事があり、当時からニコラ社の宣伝戦略がいかに特筆すべきものだったかをうかがわます。いまでいう「ブランディング」の初期の成功事例と見ても決して無理はないでしょう。さて、カッサンドルが手掛けたニコラ社のワインリストは当品を含めて2点あり、2005年にパリで開催されたカッサンドルの回顧展の図録では、どちらも見開きを使って紹介されており(今年買い付けてきた『RUE』も勿論見開きで紹介)、彼の代表作の一つに位置づけらています。この図録には、こうした印刷物などポスター以外の仕事も多く取り上げられており、パリでのカッサンドルものの高騰の背景には、こうした動きが反映されているのかも知れません。画像でご紹介しているひょうきんそうなおじさんの肖像画は、ニコラ社のキャラクター・ネクター氏をカッサンドルが図案化したもの。また、センター見開きにはフランスの国土に星を配したカッサンドルの図案がシルクスクリーンで収められています。

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