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18/05/19 アナトール・フランス研究の第一人者旧蔵品より-ミュシャの挿絵本 モンベルの絵本など

■たかだか週3日の営業日、これさえも開けられなかったり不定期となると、それは果たして店と云えるんだろーか!? と自問しつつ、来週も火曜日は市場の関係でオープン時間が遅れます。5月22日(火)のご来店をお考えの場合は、15時以降、できるだけ遅めの時間でお願いいたします。24日(木)、26日(土)は12時より20時まで、いつものように営業いたします。
度々ご不便をおかけいたしまして恐縮に存じますが、引き続きよろしくお願いいたします。日月堂はまだ辛うじて店をやっておりますのですはい。

今週火曜日の東京洋書会大市では、実に久しぶりに「本」のヤマ=本口(7本)を落札しました。店内には整理しきれていなかったり出品準備が追いついていない本雑誌紙モノが充満しているというのに約100冊! しかも「本」!? 何故だ…? 
何故だってもまだ古本屋ですから買う時には買うわけで、しかし余程の理由がないと本はもう買っておりません。が、あえて今回「本」を買った理由が今週の新着品であります。
他にも1冊或いは数冊で市場に出品すれば相応の、と云うか相当の、金額で落札されたはずの本がその7本の本口には混じっていて、いまのところ分かっているだけで15冊前後はあろうかと。つまり、筋の良いコレクションだったわけです。19世紀末~20世紀はじめ、フランスで活躍した詩人、小説家、批評家アナトール・フランス研究の日本における第一人者の旧蔵品との由。実際、数冊を除き他全てがA・フランスの著書か研究書。
入札する段階で、この本口に混じっていると分かっていたのが、昨年、「スラヴ叙事詩」の展覧会で日本での知名度と人気をさらに高めることになったアルフォンス・ミュシャの手彩色画入りの『クリオ(CLIO)』でした。アール・ヌーヴォー様式、女性図、金彩の華やかな扉は実にミュシャらしい意匠。1900年の発行です。 
2冊とも1900年の発行で、手彩色画13図を所収。手仕事なのでどうしても色調に僅かな違いが生じてしまいますが、2冊では図版の絵柄も基本的な色使いも同一。テキストはもちろん全く同じ。なので、製本が気に入ったか何かで同じ本を2冊もっていたのだろうと思っていたのですが、落札して2冊を比べてみると本の厚みと紙質が違う。すでにお気づきの方もいらっしゃると思いますが、これがフランスの挿絵本ではよくあるヴァージョン違いと云うやつで。

画像向かって右、茶色の革背に金箔押しで花の意匠をあしらった方がいわゆる普及版。この普及版のタイトル対抗ページの記載によって、用紙に「JAPON」を使った限定100部本と用紙に「Chine」を採用しスイートを添付した限定50部版が存在することが分かりました。
画像向かって左側、濃紺の背にタイトルと著者名をシックに箔押しした本が、限定100部の「JAPON」(と云っても和紙様のものではなく、局紙と呼ばれるもの)ヴァージョンで当書は36番。
備忘を兼ねて書いておくと、左側の本の見返し裏に製本(バインディング)を手掛けた人の名前がV.シャンと記されているので念のために調べてみるとありました。愛書家のための下記のサイトに。
http://le-bibliomane.blogspot.jp/2011/12/victor-champs-1844-1912-petite-histoire.html
一見、右の方が高そうに見えますが、左の方がずっと価値高し。
といったところでとりあえず数百は存在する(はず)の本のこと、ミシャのオリジナルのポスターなどと比べても格段にお安いと思われるお値段でミュージアム・ピースを手に入れられるのが、実は古書の世界でありまして、ご興味ある方は是非店頭で !

■↑に何げなく書いた「スイート」ですが、ここでいうそれは全然甘いものではなってですね、書籍に付属する挿絵とは別途、版画・挿絵部分をもう一部つけたものの呼称で、彩色を施したものの場合もあれば、描線だけの=彩色以前の状態の場合もあるようです。
こちらももちろんアナトール・フランスの著書で、1900年に発行された『バルタザール』の挿絵入り限定50部本の内25番。挿絵については「aquarelles original」=水彩画用オリジナルと記載していますが、描線の部分には何かしらの版画或いは凸版印刷が用いられているものと見られます。
紙は『クリオ』と同じ日本の局紙を使用して、黒の描線のみのスイート1組を書籍本体の後ろに綴じ込んでいます。尚、この本には別に300部の普及版が刊行されています。
挿画を担当しているのはHenri Caruchet、アンリ・カルシェなる人物。
いま猛烈に後悔しているのが自分で作り込んだこの画像。全てのページのテキストを飾るビグネットの多彩さと素晴らしさがこれでは全く伝わらないなと。アール・ヌーヴォー、ジャポニスム、シノワズリーと、流行の要素を取り入れながら品よく、扉などではビグネットとのバランスも絶妙な瀟洒なイラストを披露しています。ううむ。何故私はよりによってこんなつまらないページをとってしまったのか…。
カルシェは19世紀末にボザールでギュスターヴ・モローなどに師事、テオフィル・ゴーチエ、ピエール・ルイスの挿絵本なども手掛けました。詳しくは下記のページで。
https://fr.m.wikipedia.org/wiki/Henri_Caruchet
おそらく2度の入荷はないだろうと思われるこの本。ご興味がありましたら是非店頭で。 

アナトール・フランスの7本口には、モンベルが挿画を担当した絵本も3冊入っていました。うち1点が画像3点目の右側『わらの子どもたち(NOS ENFANT)』。1887年、アシェット社から発行された初版本で、カラー図版はリトグラフ
画像左側は洋書会ではなく、その前の明治古典会で落札。マルセル・エーメとナタリー・パランのコンビによって1946年に発行された絵本『問題(LE PROBLEME)』。時代も下ってこちらはオフセット印刷。
この2冊、たまたまこの時期に入荷が重なりましたが、ともに現在、東京都立庭園美術館で開催されている「鹿島茂コレクション フランス絵本の世界」展に出品されているのと同じ本であるというのが共通点。会場が狭く並びきれなかったものが相当あったようですが、それでも見どころがいっぱい。私はいまラビエのパテー・シネが本気で欲しい。というものがあなたにも必ず見つかるはず。あ。それがモンベルだったりラパンだったりする方はニチゲツドウまでどうぞ !

■政府は18日、「現行法令において『セクハラ罪』という罪は存在しない」との答弁書を閣議決定したそうです。学級会 ?
 

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