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19/02/02 柄澤斎描くエリック・サティ / 龍村平蔵複製 名物裂

■軽い風邪だと高を括っていたのが、なかなか抜けきらないのは加齢のせいに違いあるまいと思っていたところ、ややや。まさかの。花粉症か? と云う可能性が浮上。近日中に耳鼻咽喉科通いも始まりそうです。時すでに2月に入り、春は確実に近づいてきています。こんなことで春近しを感じるようになろうとは…。

今週の明治古典会には、個人コレクターの旧蔵品と見られる大量の版画が出品されました。ビアズリー、ロセッテイなどイギリス19世紀末の作家から、1980~1990年代の建石修志、柄澤齊などまで、額物もあれば挿絵本もありと、自らの好みの範疇にあるものならとりあえず買っておいたとでもいうのか、出品されたもののなかには「A氏」と旧蔵者の名前の残されたギャラリーの領収証がついたままのものも一つや二つではなく、粒ぞろいでありながら、ある種 “無造作な”という印象もぬぐえないコレクションでした。
どのようなコレクションであれ、市場に初めて出てきたと分かると、1点くらい買っておかないと損をしたような気分になるのは実に不思議な市場での心理のひとつで、当初つきあう気などさらさらなく、とりあえず何か面白いものでもあればと見始めていたはずが、いつしか半ば本気で1点は買っても良いのではないかという気持ちになり始め、そうしたタイミングで出くわしたのが今週の1点目、エリック・サティの肖像画でした。
作家は木口木版画で夙に知られる柄澤齊。版画に手彩色かと見れば、鉛筆画に水彩で色染めした薄い和紙を貼り合わせたコラージュ作品。鉛筆による描線は木口木版同様に細密かつ繊細ですが、木口に比べるとずっと柔らかくやさしい印象を与えます。画面右下方に「ERIK SATIE 1990 Hitosh Karasawa」と記された1点もので、版画ではなく1点ものだというのも気に入りました。 

松屋銀座の「古書の市」では、“名の知られていないものは売れない”というのを痛感。柄澤齊+エリック・サティと云う二重に武装したこの1額、これなら売れると見た私の読みは当たるか! はずれちゃうのか!? 結果は来年の松屋の会場でご確認下さい。あ。現品は金一色のシンプルな額入りです。

■できれは少しは関連のあるものをアップしたかったのですが、何の脈絡もない2点目は、「龍村平蔵製」の銘と落款が入ったタトウに1点1点包まれた名物裂。昭和35年前後、と云うことは初代の龍村平蔵の時代にあたるのですが、その初代平蔵が生涯熱心に取り組んだ古裂・名物裂の研究と復元の成果として複製し、限られた人に頒布していたものと見られるシリーズの内、19点が入荷しました。いずれも和の意匠でありながら、ユニヴァーサルなセンスをもつ意匠のオンパレードです。
茶道にしても工芸にしても骨董にしても、半可通がヘタになことを云うではないとそこだけは自覚的である(はずの)ハンパ者としては - 何しろ奥が深すぎて、いまさら勉強したところで人生終わるまでに追いつけるようなものではありませんがな - ただ、相当に洒落たものであるということ、贅沢なものであること、そして、洋の東西を分けたり、大陸や半島を蔑視することが、いかにアホらしいことか教えてくれるものだということだけは、お伝えしておきたいと思います。遥か彼方に隔たった時間と空間、そして価値観といったものがつながり溶け合っている  -一枚一枚の裂の上に、そうした文化のありようが立ち上がって見えてくるはずです。 

 

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