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19/03/16 プロパガンダ2題 イタリア・ファシスト党とチエコスロバキアのスバルタキアード

■20世紀、人間はよくも悪くも、それまでの時代にはなかったたくさんの事物を発明し完成させました。プロパガンダもまた、そのひとつに数えてよいのではないかと思います。20世紀の視覚的分野を扱う小店としては避けて通れない、と云うよりもむしろ、きちんと提示しておきたいと思うテーマのひとつです。
こうした前提は、とりたてて説明するまでもないものだと思っていたのですが、最近になって考え直すようになりました。
直接的なきっかけは昨年の11月にSNSに投稿したヒトラーがらみのファシスト党プロパガンダ書籍をめぐる、古い友人からの書き込みにありました。その友人はいま海外で生活しているのですが、近しい関係にあったドイツ人の左翼的思考への反発から、ナチスに対する好奇心が強いのだと云い、日本ではナチスがらみの商材を扱うのに規制はないのかと尋ねてきたのです。
非常に深く考えさせられました。
こうしたものを扱う小店なりのスタンスを、一度きちんと説明しておくべきでところにきているのかもしれないと思いました。 
次の印以下は、その書き込みに対するメッセージとして、数時間だけ公開したものの一部です。
 
新着品は、1938年、イタリア・ジェノヴァの月刊広報雑誌『GENOVA』の「与党ファシスト党凱旋訪問」大特集号と、1955年、チェコスロバキアで開催された第一回スパルタキアードの記録写真61点より。
「スパルタキアード」についてはGoogle先生が詳しくご教示下さいますので、ご興味ある方は一度ケンサクしてみて下さい。
それにしても、イタリアのプロパガンダの洗練には毎度驚かされ、ナチスと戦後社会主義国家=全体主義の求める「健全」(民族の祭典 vs スパルタキアード!)の何と似ていることか!
来週の新着品は「日独青少年団交驩会」事業報告関係冊子とプロパガンダが続く予定です。
 
左翼プロパガンダとナチスプロパガンダとは表現がそっくりだったりして、すぐれた表象というのは、実によく、そこにある精神をあらわすものだと感心します。実際、日本の『FRONT』という戦時プロパガンダ雑誌は、ソ連の『建設中のソ連邦』をお手本にしたと云われています。どれも自分たちが一丸となって進む先に理想的な社会が、新しい時代が拓けるのだと、何の躊躇いもなく謳いあげています。

私は、人類が犯す愚行のひとつは、政治がその権力によって「単一」のユートピア像を「強制」することだと考えていますが、人々がひとつにまとまった社会こそ理想の社会であり、そのためには強制もやむを得ないと考える人が居てもおかしくありません。
人の考えに枷をかけることはできないし、例えできたとしても、余程のことでない限りそれはしてはいけないことです。
人の考え、価値観は、多様である方が良い。
そのためにも、人の歩んできた歴史は、できるだけ多くの事実を、或いはかすかな痕跡であれ、できる限り隠すことなく、残しておくことが大事だと思っています。後に続く人たちが、ものごとを考え、判断を下すうえで、ひとつでも多く、多様なヒントが得られるように。多様な考え・価値観が、過去によって支えられ 或いは 赦されるように。
 
古本屋にできることは、過去の事実を、あるいはその痕跡を、できる限りありのまま差し出すことだけです。
 
同じものをみても、思うところ必ずしも一致しないのもまた当然のことです。
違いがあるからこそ対話し、考え、想像することが必要なのだと思います。
 ご来京の折には是非時間をつくって小店にお立ち寄り下さい。叶えば何と30年以上の時を経た後の再会です(何と長い歳月が流れたことか!) 。
その日を楽しみにお待ちしております。 
10.11.2018
 
■関係がないようで関係がある今週の2篇。
『掃除で心は磨けるのか――いま、学校で起きている奇妙なこと』
https://twitter.com/chikumasensho/status/1102438802377723904
「迷惑をかけた」の半分以上は
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00116/00011/?P=5 

 

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