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19/05/25 溝上遊亀がスケッチした中国・韓国。外国人が見た日本・中国。

■小倉遊亀と云えば日本画界の本流であり日本画の王道。小店とは全く無縁だとばかり思っていました。しかも、肉筆。どう考えても扱うことはない。
と思っていたのが何故、応札に及んだのかと云えば、小倉遊亀の画壇デビュー前の作品であること、描いているのが中韓旅行の際の風景だから、でした。
もうひとつ。何故小店なんぞに落札できたかと云うと、本画ではなくスケッチだったから、というのも大きかったと思います。
さて、今回落手した小倉遊亀の肉筆スケッチ画鉛筆と水彩によるもので、いずれもA3程のサイズで内訳は下記の通りです。
①署名と日付、場所が書き込まれた朝鮮半島でのスケッチが8点(全て鉛筆画で内2点に水彩による着彩。)。南坆鉄山ニテ、南坆停車場Hokuryo、FUSANヨリ、奉天鐘楼、本渓湖雨、など。
②同じく朝鮮でのスケッチで署名等記載がない(未完の?)スケッチが3点
③1916年の日付と署名入り、手首から先の手のスケッチ(鉛筆画に着彩)1点
草花のスケッチ5点(着彩1点、全点無署名)、
出所を証明するために添付して出品されたと見られる戦前のハガキ2通(小倉遊亀宛と溝上遊亀宛の各1通)
①と③に残されている署名や日付から、いずれも1915~1916(大正4~5)年に描かれたものと見られます。
この頃、小倉遊亀はまだ高等師範学校に学ぶ学生であり、安田靭彦の門下に入る前。もちろん小倉鉄樹と結婚する以前なので、署名は旧姓の溝上からとられており、“Y.Mizokami”“Y.M.”“Y.Mizo.”“M”“Y”“YUKI”などが混在しています。 

小倉遊亀についての基本的知識もないなら基本資料ももたず何も知らないままの現状では、断言は避けねばならないものの、画家・小倉遊亀のスタート地点に関わる資料 - かなり貴重な ? - としてみて良いのではないかと思います。
最後にもう一言。
いやあもううまいんです。かなり。小店店主が買っておこうと思ったくらい。ま、当然ですが。でもうまい!
 
日清戦争に勝利し、韓国併合を経て、小倉遊亀がスケッチ旅行で歩いた当時、日本人の多くはもうすでに朝鮮・中国に対してある種の優越感をもっていたのではないかと推測しますが、しかしそこから70~80年さかのぼると、西欧社会から見た日本は中国や韓国よりずっと珍奇な国だったのであろうことが分かる手彩色の銅版画(手彩色)のプレートが20枚。いずれも縦13.5cm、横8cm程度のかわいらしいサイズです。1823年にイギリスで発行された『The World in Miniature Japan』に収められていた図版部分。その名の通り、ミニチュアサイズの本で世界を紹介しようというシリーズで日本を扱った巻に収められていたものと見られます。
確かに日本? のよう? ではあるものの、中国や韓国、インドから中東諸国まで、オリエンタルなニュアンスが絶妙にちりばめられたとても面白い図版に目が釘付けです。
サムライや僧侶の服装と男性の髷についてはまだ、日本と断言できる域にあるものもありますが、男性でも兵士や力士ののなりは完全に別物、さらに女性のキモノに至っては完全に洋服をベースに描かれています。キモノ描くの、難しかったんでしょうね。
時はまだ徳川家斉ショーグン様の時代。シーボルトが出島に来たか来ないかという頃のこと。日本はまだまだ靄の向こうにあるまぼろしのような存在だったのだろうと思います。 

■時代の針をいままた少し進めて、1941年。上海の版元から出版された『SHANGHAI』の初版が入荷しました。2度目の入荷ではありますが、2011年以来、実に8年ぶり。以下の解説は前回入荷の際の自店のサイトから適宜コピペ。多少訂正した部分もありますので、こちら↓をご覧下さい。
上海バンドにあったNorth-China DailyNews & Herald 社発行の上海案内の本で、写真及び文章とデータなどをまとめたのはEllen THORBECKE、洒脱なイラストはSchiff(シーフー)によるもので、二人の共著による大人向けの絵本といった体裁・内容。
シーフーはフルネームをFriedrich Schiffというオーストリアのイラストレーター・漫画家で、中国および極東で新聞や雑誌、書籍、広告などの仕事についていました。共著者であるEllen Thorbeckeはドイツの女流報道写真家で1930年代の中国で活躍、カメラはローライフレックスを使用していたと云います。
上海の街と街に生きる人たちの日常の何気ない風景を切り取った写真と、コミカルでカラフルなイラストとのコンビネーションが実に洒落ています。小店店主の好きな本のひとつ。
 
さて、明日より令和初の国賓を迎えて、太平洋の向こうとこちらのショーグン様がご対面。ソーリお得意の おもてなしにはいくらかかってどんな国益がもたらされるものやら。というわけで、今週のニュースから。これが国費かと思うと…
https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201905/CK2019051402000133.html

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