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19/06/29 1939年 日本・広東・香港 -「策」としてのメディア

■2019年も半分が過ぎてしまって、来週はもう7月。7月と云えば「明治古典会 七夕古書大入札会」。今年は7月5日(金)・6日(土)の両日業者の入札に先立って一般の方にも無料で開放、いずれの商品も実際に手にとってご覧いただけるプレビューの日となっております。
小店含め古書業者にご依頼いただければ、代理入札する運びとなるわけなのですが、そのあたりの詳細につきましては、下記の特設サイトでご確認下さい。http://meijikotenkai.com/2019/system.php
また、出品される全点について、目録が掲載されております。アドレスは下記。http://meijikotenkai.com/2019/catalog.php
加えて今年は目録原稿締め切り後に寄せられた「これは!」と云う新蒐品が会場の一角を占めるのだとか。
ディープで不思議な古書の世界のさらにディープなところへちょっと足を踏み入れるには良い機会です。ご興味ある方は是非会場までお運び下さい。
会場はこちら。http://www.kosho.ne.jp/honbumap/kaikan.html
 
■毎度のことではありますが、この「七夕大入札会」のため、来週店は7月2日(火)、4日(木)の2日間のみの営業となります。7月5日(金)・6日(土)は会場に居りますので、お急ぎとご用の向きには東京古書会館 03-3293-0161 までお電話の上、日月堂をお呼び出し下さい。
ご不便をおかけいたしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
 

■久しぶりに日本工房の仕事が1冊、手に入りました。ご存知『CANTON』の1939年8月発行・第1巻第4号。
『名取洋之助と日本工房』の図録によれば、『CANTON』は「広東の同盟通信社内に設けられた発行所から、南支派遣軍報道部の出資により刊行の英文グラフ誌で、日本工房が編集・制作した」ものであり、戦中日本を代表する対外広報誌のひとつです。河野鷹思、藤本四八等が現地で取材、東京本社の除村一学が編集にあたったとされています。
現在までのところ、1939年の「6号で途絶か?」とされており、全容把握までにはまだわからないことも多いようです。
新着品=1巻4号は表紙写真を名取洋之助が撮り、構成は板坂勇が担当。現在確認できる6冊の中でも表紙と裏表紙の写真とレイアウトでは他の巻を圧倒する完成度を見せています。
本文55P、テキストは全て英文。当号には長谷川春子による絵入りの広東・海南島スケッチ、奥野信太郎による現代中国人女性に関する記事、瀧遼一による中国音楽の詳解など。
英文で、中国の風土風俗文化を深く理解している日本人が、中国のことを紹介する ……『CANTON』は、支那事変以降の日本の対外広報戦略がどのような性格のものだったのかを、いまに伝えてくれるものです。
 
■いまならトランプによるつぶやきがそうであるように、新たな大衆メディアは常に政治に利用されるもののようで。『国策と映画』。いまならさしずめ『〇倍政権とViVi』といったところでしょうか。冗談です。
『国策と映画』は昭和14(1939)年2月に発行された東宝映画株式会社 文化映画部のパンフレットで、B5中綴じ16P全アート紙・グラビアを主軸とした編集で、表紙まわりフルカラーの他、中面は全ページ2色刷り。入荷した1冊はコンディションも完璧です。
前半8Pを使い、映画の役割 - 記録報告、教育教化、紹介普及、宣伝広告、科学技術、時局国策 - 別に、同社の制作した代表作をスチール写真多数を通じて紹介。 

後半残り8Pには、沿革、役員、株主、営業案内等企業概要と、委託映画製作費の概略や東宝系統映画館、そして昭和13年度現在までの「作品目録」をスポンサー企業・組織名を付して掲載しています。
データを視覚的にデザイン化した裏表紙には、「Art cannot non-political」というメイエルホリドの言葉が。当時、日本の国家戦略の主柱の一つだった共産主義革命を背景に登場した演劇確信運動の旗手・メイエルホリドの言葉を、そこだけ突然英文で、何の説明もなく「国策」を掲げたパンフレットに潜ませているところに、当時の映画人=教養人の精一杯の矜持を思います。
ちなみにこの当時、メイエルホリドはすでに弾圧にあって何度も投獄されており、このパンフレットが発行された翌年=1940年には死刑判決を受け銃殺されました。
 
■珍しい中国語版のグラビア誌が入荷しました。『総合図画月刊 大路』第2号(1939年3月号)。香港にあった正興公司が経営し、上海にあったアメリカ企業が印刷を担い、上海まで逃げ果せたユダヤ人の記事を写真とともに掲載し、「日本侵略者的傍徨與孤立」という論説や「抗戦中三大演出」と題した政治的演劇の役者や舞台の写真、ソ連の教育機関に取材した「蘇聯列寧格勒少年先鋒宮」の写真と記事など、1939年当時、中国都市部を舞台に複雑に交錯した各国の思惑が詰まった(と思われる)1冊です。
 
■今週はこの他、1960年代の海外のパンフレット類、戦後比較的古い時代のマッチ箱、タバコのピースの古いバッケージなど手間暇かかるあれこれが入荷、店頭に出すまでには少々お時間をいただきますが、ご興味あればお声をおかけ下さい。
 
■今週も色々ありましたが、もうはや怒りの持続もしんどくなってくる空模様です。 https://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201906/CK2019062202000154.html?fbclid=IwAR0k-JuY_bAWJp2hNx_ULXdnJD19QLKhhv1nL8X4uO7FKdU9E3edzfGJatg 

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