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20/01/18 2019年お仕舞いの落札品と2020年お初の落札品より

■ようやく2020年の店の営業が始動いたしました。大切な商品についてはほぼほぼ店内のしかるべきところ、と云うのはキャビネットの引き出しなり箱の中なりに放りこんで、店での日常業務を取り戻すまでにあと一歩といったところにこぎつけました。
来週より暫く店は火・木・土曜日の各日12時~20時で営業いたします。
かくしてニチゲツドーにも新しい年がやってまいりました。
今年も「居住者以外立ち入り禁止」の表示をものともせずご来店のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

今年は1月4日に即売会がスタートしたため、この年末年始はまともに新着品のご案内もできませんでした。そこで、今週は2019年最後の市場での落札品と2020年最初の市場での落札品から1点ずつをピックアップしました。
先ずは2019年の市場から。
「竜田牛歩編」「牛歩編」とも記された『ワタシノエホン』3冊
竜田牛歩なんて全く知らない名前でしたが、明らかに手書きのタイトルに目がとまってページを繰れば素人ならざる達者な絵が。タッチや色彩感覚も小店好みです。
いや、そんなことより!! 3冊それぞれ半分近くのページに仕掛けが施されているではありませんか!!! そうでなくとも壊れやすい仕掛けのほとんどが、いまもしっかり支障なく動くことにも驚きました。
竜田牛歩は龍田精三の名前で多少は知られた明治時代の浮世絵師だそうで、田口米作の門人だったとか。その田口は小林清親の門人だったので、牛歩は清親の孫弟子ということになりましょうか。それはさておき、師の田口は雑誌『小国民』の挿絵も描いていたと云いますから、牛歩のこの絵本も田口の門人らしい仕事と云えそうです。牛歩はまた、東京美術学校の西洋画科卒のエリートでもあり、私なんぞが見ても達者な絵だとすぐわかるのも当然と云えば当然なのでした。
このあたりのことは全てwikiから簡単に引っ張ってくることができるのですが、1876年生まれとされる竜田牛歩こと龍田精三の没年は不詳。
『ワタシノエホン』では例えば子どもたち、とくに男子が国民服を着ていること、描かれている自動車のデザインなどから見て、市場で入札する時から、日中戦争~太平洋戦争の時代に描かれたものと見ていましたが、改めて全ページ確認していたところ、「紀元二千六百歳式典 舞楽 昭和楽」と記された絵が出てきました。これによって、竜田は少なくとも昭和15(1940)年までは存命だったと見られます。 

肝心の仕掛けについて云えば、高波を越えて航行するヨット、糸と腕が動く凧揚げ、70cmの長さで続く高架橋上を走る列車、弧を描いて飛ぶ玩具のプロペラ飛行機、桜の満開の中を飛ぶ鳥の群れ、餅つきをする月の兎、延々180cmに及んで移り変わる車窓の風景が描かれた「十國峠のドライブ」等々、多彩なアイディアとギミックとに注がれた情熱に驚嘆するばかり。
さてこれは、挙国一致に傾く国情に同調したものか、暗い時代が迫りくる予感のなかで自己の満足になぐさめを見出そうとしたものか、そのあたりの評価は分かれるところかと思います。

■こちらは今年最初の市場で落札した『MUSASHINO』=「千九百二十八年十二月十四日 武蔵野館新築落成開館記念」のパンフレット
A4をひとまわり小さくした8Pの薄い冊子で、他に「映画劇場武蔵野館新築工事概要」2Pが綴じ込まれています。
冊子本体には「新武蔵野館案内」「武蔵野館新築落成記念開館式」の番組(アレキサンドル・ペトロフ独奏! 徳川夢声他による「街の天使」!他)、新宿と所縁の深い設計者・明石信道の寄稿(武蔵野館は明石の処女作)、ペトロフ氏について、などの他、「"武蔵野ヴォードビル"の計画に就て」(=長文)といった記事も。
また、「工事概要」では規模、施設、設備、工事関係者等詳細が記録されている他、裏表紙には平面設計図の写真図版が、中面には館内・外観の一部を写した写真図版が収められています。
新宿武蔵野館は大正時代に誕生、関東大震災で被災した後、1928(昭和3)年に移転してロードショー館に転向。このパンフレットはこの時のものですが、ロードショー館への転向以外に、"「武蔵野ヴォードビル」なる華麗絢爛たるショーを上場する計画"があったことが分かる貴重な資料。
「う。ここまで来たか…」という落札価格ゆえ、決してお安いものではありませんが、正直、再度探せと云われたところで見つかるようなものでないことだけは保証付き。と云っておきながらアレですが、表紙のデザインがまさにツボで買ってしまったために、一体どのような方がこれを必要とするのか…いまのところさっぱり分かっておりません。はっはっはぁ~あ。

■かくして2020年もなかなか厄介なところからの船出となりました。今年もたくさんのご教示とご厚情を賜りますように、改めてお願い申し上げる次第です。 

 

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