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20/02/01 印判手のための"銅板転写紙"コレクション 3冊入荷!!!

■2020年もはや2ヶ月目に入りました。小店店主ときたら今年はまだ正月を迎えた気もしていないのになんてズレたことをいまだぼやいておりますが。
面倒な人のことなぞ放っておいて、さて。今週の新着品です。
小店が扱っている商品には、写真帖やスクラップブック、見本帖、手控えといった類の、個人の蒐集・制作品で正式なタイトルをもたないもの、というのが、よく考えてみると結構な数にのぼります。
今週の1点目も個人の蒐集によるもので、タイトルも何も記されていませんが、集められたのが全点、明治期にさかんにつくられた「印判磁器のための銅板転写型紙」ばかり。蒐集帖の対象としては相当珍しいアイテムだと思います。
古道具関係に多少の心得がある方なら「印判」「印判手(いんばんで)」と云えばすぐにどんなものかお分かりかと思いますが、要は絵柄が"プリント"された磁器のこと。明治期に盛んになった染付磁器の装飾技術が印判、すなわちプリントでした。
何しろプリント=印刷なので、絵付け職人の技量を必要とせず、大量生産が可能で、しかも多彩なデザインが一気に開花。日本人の生活のなかに根付くとともに、殖産興業の機運と相俟って輸出用の商品も盛んにつくられたとされますが、実際、その勢いは今日に至るまで骨董市にあふれる印判手の雑器の種類と量からもうかがい知ることができます。
大量の製品に触れながら、しかし、印判=プリント技術に関わるものを見たのは小店店主、実は今回入荷した経本仕立て3冊の蒐集帖がはじめてでした。かなり珍しい! と、思います。
そもそも印判には、いまは詳細が分からなくなってしまった「コンニャク印判」、布染同様に柿渋紙のような防水性の型紙の上から染料をブラシで染め付ける「型紙摺絵」、同じく型紙の上から染料を吹き付ける「ステンシル 紙摺吹墨」、そして明治19年に有田で始められた「銅板転写」があるそうで。
「銅板転写」というのは文字通りエッチングの技法を応用した技術で、銅版画の腐食版に染料をおき紙に転写→転写した紙が乾かないうちに器物に押し付け転写する、というもの。 

経本仕立ての3冊、両面開きで数えて84面分の貼り込みが続く今回の蒐集品は全て、この「銅板転写」の過程でつくられた「転写するための紙」ばかり。かれこれ35年ほど前、露店のご店主に教えられた「印判に使ったシールみたいな紙」というのは、本当にあったんですねえ。
元絵が銅版画だけに、繊細な描線によって描かれた具象的意匠が並びます。藍色を主としてグリーン、エンジ、茶色などをアクセントに使ったものも。フランス語で商品名が記されたクリームの容器用の他、ことさらに中国風の意匠に倣ったものなど、海外向けと思われるデザインも多数。また、うつわの見込み・口縁・胴・腰など、どのように組み合わされていたのかが分かる貼り込み方にも優れ、しかもレイアウトの美しさもなかなかのもの。
どこからどう見ても、買わないという手はないと思える品物でした。
芸達者が達者な芸を集めたかのようなこの3冊に、小店店主がつけた商品名はそのまんま『印判磁器 銅板転写型紙集』。芸がなくてすみません。

2点目はみなさまお馴染みの山田芸艸堂発行の明治期木版刷図案集の代表格『美術海』が久々に入荷しました。
今回入荷したのは5冊。明治29年発行の巻6、巻8~10の4冊と、表紙は巻8としながら奥付なし・5冊分の合本が1冊
木版画の技術、そして、鶴と亀と青海波など古典文様を近代的にブラッシュアップする技量に舌をまくばかり。『美術海』、何度見ても「さすがは!」です。

■表参道のショップでは、今週、店員さんたちがマスクを着用し始めました。日本列島で頻発している地震、暖冬、オーストラリアの山林火災と猛暑、そして世界にひろがりつつある新型肺炎 …… 明日、何が起こっても動じない人になるしかないと思う2020年2月のはじまりです。
何はともあれ みなさまどうかくれぐれもご自愛のほど!
 

 

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