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20/05/09 休業期間延長のお知らせと 未紹介商品から … 秋山祐徳太子「浮遊する天心」(ブリキの他36歌仙!) 他

■前回の更新から約3週間が経ってしまいました。
みなさまお変わりなくお過ごしでしょうか。
久しぶりの更新となりましたが、先ずはお知らせを。
前回、店の再開は最短で5月9日とお伝えしましたが、緊急事態宣言の延長と、これに伴う古書の取引市場の休止延長をうけ、小店も引き続き休業することといたしました
今月末をひとつの目途とし、国や都の要請解除、感染状況の変化などを見ながら対応を決めていくことになるかと思います。
営業再開の折には、店内の換気や消毒、マスクの着用など、可能な限りのウイルス対策を講じますが、お客様にご協力をお願いすることも出てくるかと存じます。
詳細につきましては営業再開の目途が立ち次第、当HPやFacebookなどでお知らせいたしますので、いま暫くお待ちいただけますようお願い申し上げます。
感染者数は落ち着いてきたかのように見えますが、その数値単体では評価が難しいようです。
どうかみなさまくれぐれもご無事で、近いうちにまた店でお目にかかれますように!

折角の更新ですので、思い立って新着品でまだご紹介していなかったものから2点を選んでみました。但し、いまのところ価格は未定です。大変申し訳ありませんが、営業再開後の販売とさせていただきます。
1点目は秋山祐徳太子の平面作品でタイトルは「浮遊する天心」。ブリキを支持体とするミクストメディアで35×30cmほどのサイズ。裏面に油性マジックで署名とタイトルの他、日付(1999.10.24)とノンブル(24/36)の書き込みがあります。
このノンブルの意味は? と云うことになるわけですが、添付されている秋山祐徳太子の書状によれば、「浮遊する天心」は1999年、上野の森美術館で開催された「Hack the Future!」展の出品作品であり、佐竹本三十六歌仙絵巻(!)ならぬ「ブリキの36歌仙」として36枚に断裁、"天心の魂を来世紀にも見守りたいと思い、皆様にその気持ちをご理解いただき、ここに謹んで贈呈させ"するとあります。結構おしつけがましい贈呈品だったのではないかという疑義も生じてきそうですが、ともあれ当品はこうして配られた36点の内の24番である、ということがはっきりしました。
書状には続きがあり、秋山さんは2001年には36点を一堂に集め、"天心の心を一つにしたい"という野望を抱いていたのですが、これが実現したかどうかについては寡聞にして知らず、ただそれはちょっと難しかったのではないかと想像しております。
秋山祐徳太子と云えば都知事選に立候補しては落選した泡沫候補としてご存知の方も多いかと思いますが、前衛芸術家という本職(?)、しかも代表作が「ダリコ」であるといったことと相俟って、若い頃の私は胡散臭いおじさんだとばかり思っておりました。後年、『泡沫桀人列伝』などの著書を通じてまさか大いにお世話なにろうとは……。
著書『秋山祐徳太子の母』が話題になったことも記憶に新しく、まだまだ元気な印象があったのですが、ついひと月ほど前、4月3日に逝去。この人が語り、この人について語られた思いのほか多くの情報がいま、デジタル空間に残されていて、秋山祐徳太子という人の人となりを物語っているように思います。

■2点目は、秋山祐徳太子の『泡沫桀人列伝』に、風倉匠、桜井孝身、イトカン、篠原有司男といった、いまは錚々たる人たちとともに名を連ねている存在演劇家・蒲生和臣の『存在演劇NO.1 何もしないで来ているとき』のパンフレットです。
『存在演劇NO.1』それ自体は原宿にあるイベントスペースで行われた、何も行われなかったパフォーマンス・アート(実際には観客にお茶とお煎餅を配ったそうです)で、人を喰ったかのような蒲生氏の人となりともども、詳しくは是非、『泡沫桀人列伝』をお読みいただくとして、パンフレットは蒲生が構想したパフォーマンス・アートのイメージ、「存在演劇NO.1」のコンセプトや狙いを詳細に言語化したもの。
厚手の表紙と共紙を採用、片面起こしの頁には同じ図版をあしらった全5枚・40P。薄黄色の上質紙に印刷された蒲生の「ご挨拶」と、パフォーマンス・スタート時間以降の過ごし方に関する指示書がはさまれています。
蒲生によれば「何もしない ことを 公演すること。」というこの試みに関しては、調べてみると石子順造による『蒲生和臣の「存在演劇」--演劇の無化へ向けて』もあるようで、単に色物と片付けられないものがあることをうかがわせます。

■文字数の関係もあり身辺些事を少し。
自宅とその周辺だけで過ごしたこのひと月。古本屋開業以来24年間で初めての、思いがけない「長いお休み」となりました。引きこもりは全く苦にならないはずが、外出しないこと、人に会わないことが、なかなかの苦行であることを思い知らされています。
何より驚いているのが、物欲というものが憑き物でも落ちたようになくなったこと。物心ついた頃から何だか物欲まみれだった私であります。たぶんこんなこと人生初めて。
思えば古本屋というもの、売るあてもないままお客さまから買わせていただいたり市場で競り落としたり。仕事の半ば、或いは半ば以上を「買い物」が占めています。とくに市場など誰に頼まれたわけでもなく連日買い物する人たちが犇めく場。冷静に考えると、あそこに足しげく通う人というのは買い物が楽しくて仕方ない依存症かギャンブラーか、少なくともそれとそう違いのない人たちに違いありません。古本屋としての私に味方していたのは物欲だったという厳粛なる事実! 市場が再開されたとして、物欲がすっかり失せた私には果たして何かを買えるのだろーか。まずいぞ。
なんて笑ってますが。アベノマスクだの4日間様子見ろとは云ってないだのやっぱり1円単位まで端折らず振り込みますだのボロボロのこの国で、目下の懸案はウイルスのみならず、休業延長によってギリギリと搾り取られるばかりの経済事情とおそらくは多くの人たちからも失せ果てたと見られる物欲。いつ終わるとも知れない世界的な人とモノとの移動の制限。アメリカでは昨日、戦後最悪の失業率を記録。真面目なお話しどちらを向いても決して笑ってはいられない問題山積のコロナウイルス禍であります。
生き延びるために。来週からは熟考しつつリハビリに努める心積もりです。 

 

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