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20/06/26 モダンで大きく美しく - 優秀船の時代を物語る3点!

■東京の新型コロナウイルス感染者数は東京アラート解除後も減少しないばかりか50人前後で高止まりのまま推移していることもあり、大変恐縮に存じますが、ご来店の際にはマスクの着用と手指の消毒についてのご協力をお願い申し上げます。また、引き続き13時~19時と営業時間を短縮させていただきます。悪しからずご了解頂けますようお願いいたします。
新型コロナウイルスに関連して、例年通りであれば来週末に開催されていたはずの「明治古典会 七夕古書大入札会」は今年は中止となりました。代わって来週7月2日(木)・3日(金)の両日、古書店のみを対象とした市場が開催されます。このため、来週の店の営業は6月30日(火)・7月4日(土)の両日とさせていただきます。相変わらずご不便をおかけし申し訳ございません。

『機械と芸術との交流』。スタイリッシュな装丁に惹かれて、その意味など何も知らないまま、板垣鷹穂によるその本を市場で落札したのが2000年のこと。この時に板垣の代表的著書にはもう1冊、『優秀船の芸術社会学的分析』があると教えられて以来20年間、入荷はこれでようやく3度目となりました。
昭和5(1930)年発行、初版。画像の上段左の黄色の表紙は本体、右側に置いた赤とスミ2色刷で豪華客船のフォトモンタージュをデザインに使っているのがカヴァー。本来、本体と同じ書体だけでデザインされた函がついて完品となりますが、今回は残念ながら函なしです。
テキストは87Pから始まり181Pまでの100P弱。巻頭からテキストまではアート紙を使い図版に費やされています。
この当時の板垣はと云えば、新時代の美学=機械美の提唱者であり、機械美に相応しい表現としてとくに写真に深い関心を寄せていたのは周知の通り。その写真の分野で板垣に伴走したのが堀野正雄であり、当書にも収められている「優秀船の乾板撮影」は堀野によるものであり、「新しいカメラの主観を透して表現された浅間丸と秩父丸」13カットは堀野の撮りおろしと見られます(巻末に堀野による"「優秀船」の撮影に就いて"の一文も)。
板垣は序文で「写真技術家の堀野氏は、カメラの表現技法に関して私の抱いていた予想を実験するにあたつて、私の要求通りにその優秀な技術を呈供(ママ)して下さった上に、視覚的形態による参考資料の必要な限りをも、製作して下さった」と記しており、これら撮りおろし以外の巻頭図版ページの作成に - 表紙のフォトモンタージュも? - 堀野が関わっていたことを伺わせます。

この本、実は落札したのは今年2月の市場でのこと。小店で扱ったこれまでの2冊はいずれも海外へと旅立っていきましたが、海外との人・モノの動きが止まっているいま、当書の落ち着き先は果たして見つかるのでしょうか …… (汗)

■「優秀船」と関係の深い2点は今月になっての入荷。アール・デコのデザイン表現と明るい朱色と金色をあしらった色使いが印象的な『MAURETANIA(モーリタニア)』号のパンフレットは、テキスト巻頭に「The New "MAURETANIA"」と表記されています。
1906年の進水式当時、世界最大・最速の客船として登場、第一次大戦で病院船へ改修・輸送船としても使用された後、客船へ復帰。当パンフレットは1924年の改修後、客船として蘇った姿をお披露目したものと見られます
主にモダンなデザインへと変更された船内客室・各種施設の写真を中心とした編集で、外装全体図のカラーイラスト1図有。
ちなみに『優秀船の芸術社会学的分析』の巻頭図版には、オイローパ号、ブレーメン号、イル・ド・フランス号、ブリタニック号、コロンブ号などとともに、僅かに1ヶ所ですが、モーリタニア号初代の外装全体図の写真がとられています。
もう1点、モーリタニア号と同じキュナード・ライン所有のクイーン・メリー号のブックレット『The "QUEEN MARY" A BOOK of COMPARISONS』
タイトルに「COMPARISONS」とある通り、豪華客船クイーン・メリー号のスケールをあらゆるものと比較対照して見せる内容で全ページ劇画タッチというユニークさは、他に類例を見ないように思います。
機関車の羅列で20万馬力のエンジンを表現、エンパイア・ステートビルやエッフェル塔の横に船を立てて見せたり、ニューヨークの5番街に置いてみたり、救命ボート1隻で最新のバス4台分の乗客を乗せられるとか、1航海でポテト約2万3千キロ積むことになりますだとか、徹頭徹尾大きさとパワーを見せつけるもので、明らかにアメリカのマーケットを意識してつくられたもの。日本郵船にもアメリカのイラストレーターを起用したパンフレットがありますが、当冊子もやはりアメリカ人を起用しているのではないかと思います。
クイーン・メリー号の処女航海は1936年と云いますので、1930年代後半か1940年代初め頃のものでしょうか、ゴージャス感いっぱいのアール・デコの時代から約10年後、約豪華客船をめぐるデザイン表現にもさらなる近代化=大衆化の波が打ち寄せていたようです。
それにしても、21世紀を生きる我々は、今度いつ、国境を越えた旅ができるのでしょうか。また旅が身近に感じられる日が遠からぬことを!

久しぶりに、今週の斜め読みから。
倒れるべきドミノはこの際全て倒れてくれないものか。もちろん"目論んだ人"含めて。
https://news.yahoo.co.jp/articles/37835eafd30244d91c03f71bc82ff1371fe7656f
明日は我が身と思い及ぼすことのできる政治家よ、いまこそ出でよ!
https://mobile.twitter.com/ruruonthebridge/status/1275308740154023936?fbclid=IwAR0dWm_lSZEG7h7QV2O0SFBcbDyIp_r-CCEJ1IHD6vKsDYyie_xmC__H0Hs
記録が改竄される国で。
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20200624/1000050523.html
このニュースだけは心を励ましてくれました。
https://takadanobaba.keizai.biz/headline/450/
東京アラートの解除はあくまで政治マターであり実態に沿ったものではないことが分かったいま、どうかみなさまくれぐれも油断なさらずご自愛くださいますように! 

 

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