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20/09/05 戦後日本のアートシーンから - 芳名帖という物象と往時の反核美術


■またしても大型で強い勢力の台風が。進路にあたる地域の方々にはくれぐれもご注意下さい。どうかご無事でありますように祈念申し上げます。

残念なお知らせがひとつ。毎年1月の吉例となっていた松屋銀座での「銀座 古書の市」はコロナウイルスの影響により無期延期となりました。目録が出るまでお買い控えいただく必要はなくなりました(笑)ので、新着品等気になるものがありましたら随時ご連絡下さい。
年に一度の顔見世興行がないのは寂しい限りではありますが、参加店各店、それぞれの場所で頑張っております。どうか変わらずご厚誼を賜りますよう心よりお願い申し上げます。
あくまで中止ではなく延期と伺っております。次回開催が決まり次第また改めてお知らせいたします。しばしお時間をいただきますが、「銀座 古書の市」を今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
 

■芳名帖というのは、世間に名の通った人の署名が多いものなら単純にサイン帖として価値づけができる商品ですが、その成立の過程に眼を向ければ - もちろん、こちらの方が本来的な意味であり見方なわけですが - あるひとつの事象に何らかの関係を持った人たちの名簿であり、その事象に関係して、限定されたある時間・あるひとつの空間に去来した人たちの痕跡を示してくれるひとつの記録だと云えます。いまはもう失われた事象、それが存在した時間・空間を、立体的に肉付けして見せてくれる何よりの手掛かりであり、芳名帖を眺める面白さは、この点にあると思います。
がしかし、芳名帖は売れない。絶対的に売れない。なので、余程のものでなければ手は出さないと決めています。その芳名帖が久しぶりに入荷しました。余程のものかどうかは以下ご確認を。
旧蔵者は南大路一(みなみおうじ はじめ)。1994(平成6)年に亡くなった春陽会系の洋画家で、アヴァンギャルド芸術クラブに参加したとも。残された作品をみると具象も抽象も ものしたようです。
芳名帖は展覧会で7回分・合計8冊。内、2回分・2冊は藤井令太郎と田中岑との合同展。年期が記載されているものから見て、昭和28年から昭和60年の間に開催された展覧会時の芳名帖と見られます。
田中岑の名前は挿絵か装丁の仕事だったか、どこかで見たことがあるような気はするものの、藤井令太郎も肝心の南大路一の名前も知らず、期待しないでページをめくり始めてびっくり。作風の広さは交友関係の広さにつながるのか、はたまた当時の画壇というのはマメな方たちの集まりだったのか、次から次へと思いがけない著名画家・評論家・美術界関係者の名前が出てきます。画像で芳名帖毎に挟み込んである白い紙は、目に留まった名前を走り書きしたメモです。1冊ずつ見ていっても、ざっとこれくらいの名前が抜き書きできます。
主な名前を挙げていくと下記の通り。 

小林秀雄、徳大寺公英、高見順、結城信一、福原信義、福島繁太郎、洲之内徹、船戸洪吉、植村鷹千代、江川和彦、大下正男、瀬木慎一、東野芳明、針生一郎、中原祐介、宇佐美英治、福田豊四郎、瑛九、岡本唐貴、仲田定之助中川一政、岡鹿之助、織田一磨、三雲祥之助、高間惣七、林岳彦、勝呂忠、麻生三郎、高見堅志郎、立石鐵臣、木村荘八、上田哲農、佐藤忠良、朝倉摂、吉田遠志、脇田和、杉全直、河原温山口勝弘、靉嘔、金子真珠郎、田中田鶴子、久里洋二、真鍋博、利根山光人、清宮質文駒井哲郎、浜田知明、難波田龍起、土門拳に藤本四八、武田百合子もあり、そして、瀧口修造 !
瀧口はじめ上記の方たちの多くは1度といわず、複数回の署名を確認することができます(河原温と洲之内徹と小林秀雄はそれぞれ1回だけでした。残念)。もちろんこれもメモの一部。小店店主のことですので、まだまだ見落としもあろうかと。
いずれにしても売りにくい芳名帖、バラしてみたところであまり意味はないと見て、8冊一括での販売とさせていただきます。
 

たべ・けんぞう と ヨシダ・ヨシエという核をテーマとする作家のコラボレーション『BOMBA MESKALINA』は広島に原爆を落とされた日からちょうど30年後の1975年8月6日、発行ならぬ"発光"なった限定210部です。発行には日本のコンセプチュアル・アートの第一人者として評価が高まる松沢宥が関わっており、奥付にあたるカードでは"発光源=松沢宥方・虚空間状況探知センター"となっています。どこか1970年に発行された「精神生理学研究所」を思い起こさせるネーミングです。
タイトル入りのアクリルボックスには、たべの署名入りのシルクスクリーン12葉鏡面アクリルボードに脳の図版を乗せたレリーフ1葉ヨシダの署名入り小冊子1『BOMBA MESKALINA-GREAT WHITE LIGHT』1冊、作家名のないオブジェ(ピンクの人面)1点、刊行情報に関するカード2点が収められています。
反戦反核をコンセプトとする『BOMBA MESKALINA』"発光"から45年、原爆による"発光"から75年の今年、広島と長崎と、この国のトップは式典挨拶でほぼ同文を読み上げました。政権与党はいつまで経っても核兵器禁止条約に署名しようとしません。そのトップを支持し、その政策を支えてきたのは、他ならぬ我々国民であることを痛感する今日です。
 

今週の斜め読みから。
時々暴走することのある方による論考ですが、この7年8か月のことをこれほど的確に表現してくれたものは、これまでのところ他にありませんでした。
https://webronza.asahi.com/politics/articles/2020082800004.html?fbclid=IwAR141KEKz08-gLQf1Dg0uWsgAvVNMjcV7jP2rUkRCYIEwOMqjKfp02IcTKs

ところが、次期候補者のなかで国民の大多数がもっとも相応しいという政治家は、あろうことか「自助 公助 共助」をスローガンとして恥ずかしげもなく
https://mobile.twitter.com/akasannom/status/1301132999333879808?fbclid=IwAR2RVUcpZCdjy2YJaR7zt-nT9I2HyILQj5Y5QsMlpH73_iRRzJubfXeOA4A
真摯な問いには答えず
https://mobile.twitter.com/miura_hideyuki/status/1301398583703252993?s=19&fbclid=IwAR0i5l2ByiZ1sxRtcoo0neKUD9tdHBRB6ArRyH8Rf02TxfVXPTcLcKFiz8c 力強く進めていくと云う前政権の成果はというとこれが実態。
https://mobile.twitter.com/yukionoguchi10/status/1299516923193876482?fbclid=IwAR0TovWgDy0YPhOJJ27oj1N3hEA9egAdBdp3oJPmu16qhcO-RNiwJf9uZiM

またしても続くのか 低温火傷の日々……。

 

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