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07/09/07 Information

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『art et decoration』1924年4月号の表四。タヤートによるヴイオネの広告

■店で汗流す予定だった今週。しかぁーし。9/6(木)は台風で誰も来ず、わっさわっさと風に翻弄される根津美術館の林の様子に危険を感じ早々に店を撤退…かようにして貴重な営業日一日がツブれてしまい。しかも今週9/8(土)は午前中市場のため13時からの営業とさせていただきます。何卒ご了解いただけますよう…。その分どこかで頑張らないとね。といいながら。すみません来週も火・木・土曜日の各日12時~20時の営業です。 当HP、これまで検索可能なのは「雑書目録」だけだったのですが、トップページにgoogleを置くことで全ページ対象に検索できるようになりました。画像入りの在庫目録「OLD,RARE,UNIQUE」の各ページでは、タイトル横にキーワードも添えていますので、これらもヒントにして是非お試しください。今週は「A LA CARTE」にバレエ・リュスと舞踊関係の数冊を追加いたしました。今後も 随時追加してまいります。 ■明日・明後日と市場で立て込みそうなので、まだ店に出していなかったものから新着品を前倒ししてご紹介。上の画像は雑誌としては凡庸な『art et decoration』1924年4月号。ああまたコレねと落丁切抜きチェックして値段を書くべく鉛筆構え裏表紙を見やればやっ、ややや。この洒落のめした広告は…何と「マドレーヌ・ヴィオネ」のパリはリボリ通りにあったアトリエの広告ではありませんか!図案の罫下には、「THAYAHT」つまり未来派のアーティスト、タヤート(=タイアート)の署名もあるゾ。かつて、『ガゼット・デュ・ボン・トン』のヴィオネ&タヤートのプレートを扱ったことはありますが、これは初めて。慌てて手元の資料『ヴィオネ』(ベティ・カーク著)を開いて見るとこの図版、当書の扉に置かれているほか、コレクションの案内状、N.Y.でのコレクションの広告などにも使われていて(紙モノの図版有り)、テキスト部分に変奏を加えつつ、さまざまに使われていたことが分かります(ざっと見た範囲では、この図版とタヤートを結び付けるクレジットはない?ような??)。マドレーヌ・ヴィオネは、バイアスカットの創始者であり、即ちコルセットからの身体の解放と衣服の近代化とに寄与した偉大なアーティストであり、そのアトリエで働く女性たちの福利厚生にまで配慮した開明的な経営者でもありました。そもそも私が1910~30年代の事象に分け入り始めたきっかけが、いま思えばバレエ・リュスとヴィオネだったように思います ― 「女性が笑うとき、そのドレスも笑うように作らなければ」― ヴィオネのこの言葉には、いまも深く胸を打たれます。

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シャイクスピア・ヘッド・プレスによる洗練されたタイポグラフィと軽妙なイラスト

シャネルのように華やかな社交の場に出ることもなく、第二次大戦終結前には実質的に活動を停止したこともあり、日本ではまだまだ知られていないようですが、もっと評価されてしかるべき人物なのですが。話し戻ってこの広告、もちろんオフセット印刷などという荒っぽいことはやっておらず、色別に特色を乗せていったものと思われ、現物の風合いはまたなかなかなよろ……いやその。売りたくなくなるのでこのへんで。 お次も洋物。イギリスのプライヴェート・プレスのひとつ、シェイクスピア・ヘッド・プレスによって1930年に発行された『THE SCHOOL FOR SCANDAL』(限定475部) 。背と小口側上下角にヴェラム革をあしらい、背文字は金箔押し、平はグレー地の洋紙にリボンを図案化した反復柄を赤一色で印刷。テキストは1777年に初演された有名な喜劇の台本で、日本では「悪口学校」のタイトルで知られているようです(恥ずかしながら私は知らず…)。挿画はトマス・ロウィンスキーなる人物が手掛けたもので、各章頭には、台本内容に合わせ舞台美術を擬したと思われる図版(無人の舞台を真正面から捉えた格好)を一点ずつ、左右の柱に人物画を配した見開き(画像参照)が10組・計20P、そして登場人物の集合図が扉に一点。いずれもどこか伊坂芳太良を思わせる軽妙さと、いま見ても全く古臭さを感じさせないタッチとで描かれています。けれどやはり、シェイクスピア・ヘッド・プレスといえばカスロンといわれる通り ― この本を美しく見せている最大の手柄は、シンプルかつスマート、つまりは可読性が高く洗練された、書体と組版にあるものと思われます。ケルムスコット・プレスの装飾に過剰を感じ、禁欲的なダブス・プレスには物足りなさを感じるといった方には、多分ちょうどよいバランス感覚でまとめられています。シェイクスピア・ヘッド・プレス。私は結構気に入っています。 ■台風の去り際(だといいのだけれど)に出かける金曜日の市場、そして土曜日の市場は…さてさてどうするどうなるワケ分からずその結末はまた来週初めにでも改めて。

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