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09/01/23 『小学運動図解』:『芸術的現代の諸相』=Parisへの土産:表参道を走る理由


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明治40年4月刊行・木版刷『小学運動図解』。遊びに興じるお坊ちゃまたちの服装をはじめ、細部まで欧化された図案に添えられたコトバは…。

 ■さぁて。そろそろ発表しないといけません。もちろんこの時期恒例のパリ行きについて。ユーロはかつてない安さ、燃料サーチャージも下がり、バレエ・リュスの初演から丁度100年の今年、そりゃもちろん行きますよ!…………って、つい最近、本当をいうと昨日まで、私もそう思っておりました。しかし。小店、年内に移転を余儀なくされる事態に至りました。1ドア・2ショップでこれまでご一緒させていただいていたお隣の銀鈴堂さんが退去されるのを機に、現在地は一旦リセットしようということになったのが移転の理由です。時期はまだはっきりいたしませんが、遅くとも年内晩夏の頃までには新たな場所でふたたびスタートを切ることになります。できる限り現在地に近いところで場を得られればと思っておりますが、いまの店の原状復帰から始まる移転は(…よりによって赤床式)、いずれにしたって結構なモノ要りに違いなく、しかも「日銀、戦後最悪を予測」と新聞が一面トップで伝える経済状況を考えると、パリに行ってる場合ではないだろうというワケで、来月のパリ行きはあきらめました。2年連続のパリ行き断念はさすがに正直、無念。ですが、はい - ここが肝心 - 例年パリ帰国後まで続く買い控えについてはご必要がなくなりましたので、引き続き小店でのお買い物をお楽しみいただければ幸いに存じます(笑)。
■気を取り直して今週の新着品、1点目は『小学運動図解』男の子たちの遊びをモチーフとした木版画で、「明治40年4月」の刊期が記されています。縞のシャツに縞のソックス、側章入りのスボン、細かい部分ではスカーフ、サスペンダー、サッシュベルトなんていうのを身につけた明治のお坊ちゃまたちはみなとてもおしゃれ。前輪の大きな自転車や、画像ではよく見えないかも知れませんが、ボートに乗ったお坊ちゃまの一人は垂れ耳の洋犬らしき子犬を抱いていたりと、視覚的要素は隅々まで「欧化」されています。一方、ごにょごにょと綴られているコトバはといえば全て「かな文字」、しかもよく見れば「すめらみくにのもののふは…」だとか、「いのちをすててますらをら…」だとか、全編純正ニッポン男児精神を謳い上げております。このあっけらかんとした明治の和洋折衷はいかにも日本らしく見え、実はパリで毎度お世話になる・毎回懇切にお付き合い下さる在仏日本人の方たちへのお土産として少しずつ買い集めていたもののひとつでした。順当にいっていれば海を渡っていたはずで、これはもう移転とパリ断念の副産物的新着品というしかなく、なんてタラタラ云ってる暇があったら未練を残さず売りなさい! ということですな。
 


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板垣鷹穂著・堀野正雄写真『芸術的現代の諸相』昭和6年発行・初版本。左は函の平、右は本の平と背。写真製版にもこだわりをみせる。

■考えてみると、表参道で古本屋をやってみるか、と思えるようになったのは、2001年の自店目録がきっかけで、その目録の方向性を決めるきっかけとなったのが戦前・機械主義の主唱者だった板垣鷹穂の著作でした。その代表的著作のひとつ、『芸術的現代の諸相』昭和6年発行・初版が今週の2点目、この本の函付き入荷は久しぶりとなります。以前にもどこかに書いたかと思いますが、板垣の著作には装丁にも優れたものが多く、当書の場合「装丁と挿絵」として「写真撮影 堀野正雄」の隣に「製版印刷 田中松太郎」という名前が並んでいます。堀野は当然として田中なる人の氏名記載の理由や如何に…と、迂闊にも今回初めて疑問を持つに至り、遅まきながらケンサクしてみたところ、大正4年に製版所を創業、日本にカラー印刷を導入し、昭和10年の美術雑誌『みずゑ』創刊時より原色版(カラー版)印刷を担当、昭和16年には東京日日新聞「印刷功労賞」を受け…と、確かに理由も見当たります。当書とは多少の年月を重ねて付き合ってきたはずなのに、板垣、もしくは板垣・堀野コンビが、表現の上で何を大切に考えていたかを示す大切な情報を読み落としていたわけで、本とういうもの、これだから気が抜けません。ですが、だから、この世界は辞められず。そしてある日、「印刷製版技術史の資料で、『芸術的~』を探しているんですケド。」なんていうお客さんがいらしたら吃驚……するまでには相当時間がかかりそうなので、システムではなく運用する人間すなわち私の所為でもたもたと進まないサイトへのデータアップはもとより、パリに負けない仕入の充実から、表参道物件巡りまで、明日からまた走り回らねば。今週の新着品はこの他、社会・思想関係書籍40~50冊、展覧会図録・美術関係書約20冊など古本中心、来週からデータのアップにも努めてまいります。

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