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09/01/31 どこまでも足穂 ! どこまでが左門 ? -『天体嗜好症』『夜のガスパアル』15部本


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稲垣足穂著『天体嗜好症-イナガキタルホ短篇及論文集』昭和3年発行・初版。左上は街灯をデザインした検印、右下は足穂による口絵。

新着品の前に少々。先週、店の年内移転をお知らせして以来、色々とご心配をおかけいたしております。早速励ましやご提案・ご教示などをお寄せいただき、本当に有難く思っております。移転はいまのところ早くて5~7月、遅くても10月頃になりそうです。ほぼ間違いなく山あり谷ありのこれからの日々、時に応じて正しい判断が下せるように、みなさまには引き続き多くのご助言等賜りますよう、どうかよろしくお願いいたします !
■さて、いつもの新着品のご紹介です。もう10年近く前の五反田の市場、戦前の本ばかり20冊ほど縛って出品されていたなかに混じっていたのを見落として以来、稲垣足穂の著作中、最も縁がなかった『天体嗜好症-イナガキタルホ短篇及論文集』をようやく落手いたしました。昭和3年発行の初版、但し残念ながらカバーなしです。処女出版となった『一千一秒』など金星堂から発行された足穂の本が正方形に近い変形なのに対して、こちらは標準的な四六判。先の五反田の市場では、背焼けに加えてタイトル文字が小さく、読み落としていたように覚えているのですが、むしろこの“普通の判型”が見落としの原因ではなかったのかと、こうして手にしてみて気付きます。金星堂の刊本に比べると、春陽堂版は判型ばかりでなく使われている紙質や版組における余白のとり方などの点でもちょっと安手な感は否めませんが、和文横組の扉、文中に置かれた図解や、デザインまで考えて挿入される欧文は、いま見ても実におしゃれ、そして、光を灯す街灯をスタンプにした検印(画像中の右上)はおそらく足穂の仕業、最後のページの楽しいオマケとなりました。


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アロイジウス・ベルトラン著、西山文雄・城左門共訳『夜のガスパアル』限定200部内、訳者寄贈本とされた15部本の一冊(記番10番)。函は引き出しの構造をとる。

表紙に記された欧文副題「ABC OF INAGAKI TARUHO」にある通りテキストはA~Cに分類され、A=Tales(表題作他短篇9篇)、B=Essey and Sketches(「私の耽美主義」「空中世界」等20篇)、C=Other Tales(「ちょいちょい日記」等10篇)と充実、「これならば」と、多少きつめの版組でも納得の423Pです。あっ。忘れるところでした。画像右下の図版は「タルホの舞台面」と題された当書の口絵。高校生の頃に『一千一秒物語』に出会って以来、狭い島国からはみ出したこの人のセンスにはいまも変わりなく-というより、発表当時の時代のことが分かるようになるとなお一層-ただただ驚かされるばかりです。
周知の通り、美しい本を目指して造本に力を傾けた版元のひとつに戦前の第一書房があります。今週の新着品2点目はその第一書房が昭和7年に発行したベルトラン著、西山文雄・城左門共訳『夜のガスパアル』。限定200部の内さらに訳者寄贈本とされた15部(記番10番)の内の一冊。画像だけでは分かりにくいのですが、夫婦函のようにも見えるのは実は引き出しになっていて、本はこの引き出しの中に収まるという趣向。本来、引っぱり出すための取っ手がついているのですが、入荷品ではこれが失われていて余計分かりにくくなってしまいました。画像の背景にした雪の結晶模様の部分は函の側面と裏面に使われている紙からとりました。本は上製・天金、柔らかいコットン紙に余白をたっぷりとった組版は、訳者・城が「僕流儀な古風に仕上げた」という格調高い訳文に相応しく、また、造本美の範の多くを洋書に見ていた第一書房らしい仕上がりとなっています。それにしても全編朗唱してほしくなるようなこの訳文の格調高さ、当書上梓から6年後には『若さま侍』を発表し始める城昌幸と同一人物(というのも遥か昔にお客様にご教示いただいたこと)の手になるものだとは……なんて偉そうにいうのは「『若さま侍』読んでからね。」「……はい。」 今週の新着品はこの他、建築関係書、美術展図録など。こちらはまたぼちぼち棚に入れつつ、catalogueのページにもアップしてまいります。『レフ』と『アール・デコ』11冊本という成果はありましたが、例年通り市場への出品量が少ない1月は実は仕入れに苦慮しておりました。来週、2月からの出品量の増加を期待して、パリに行かない分せめてTOKYOの市場で商品の充実に努めたいと思います。

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