■今週月曜日、かねてから予定していたお客様宅のご蔵書(3t車1.5台分と久しぶりの大量出品)を古書会館へと搬送、水曜日には目黒の「ジェオグラフィカ」さんで納品と陳列の下準備、金曜日にはとっくにスタートを切っていた「深川いっぷく」さんのもとにようやくお邪魔して展示に感激・お客様に感謝……と風邪が抜けて完全復活を果たすのと同時に体力勝負で都内を飛び回った一週間でした。さて、ご案内が遅れましたが「ジェオグラフィカ」さんでは3月20日(金)から29日(日)まで、「Interior & Art Book Fair」が開催されています(画像はそのDM)。小店からは1925年のパリ万博=アール・デコ博の絵葉書や同博に出品されたインテリアだけを集めた写真集、モダニズム建築の叢生を見る1930年代当時のドイツの建築雑誌『MODERNE BAUFORMEN』約30冊などを中心にお預けしております。その他にも…の情報は「N in G」のページを是非ご覧ください。深川(は公園にお寺に)、目黒(は目黒川沿い)とも、奇しくも近くに桜の見所あり。満開の時期が会期に重なってくれることを祈りつつ - みなさまどうかお出掛けください!
■今週の新着…といくべきところですが、都内各所巡ってみれば必ず聞かれる移転の話題。というわけで、いくつかご報告を。先ず店舗の移転ですが、お客様からご同業の諸先輩、親切な不動産屋さんのアドバイスなども踏まえた上で、いまと同じパレス青山内のいまと同じフロアで二部屋ほど平行移動する、ということで腹を決めました。移転先となる205号室は現在、根津美術館の建て替えで施工にあたっている建設会社の事務所に使用されていて、空くのは9月末の予定。だがしかぁーしっ。工期の延長などにより実際にはまだ未定。あんまり延びられてしまうと命取りになりかねない、ここが一番の綱渡りでありますな。ううむ。心臓に悪いゾ。
現在の207号室を一緒にお借りしている銀鈴堂さんは6月末に完全に退去されますが、小店は移転に向けた準備に入るまで、少なくとも9月半ばまでは現在地で、空いたスペースの分まで支えつつ、これまで通り営業を続る予定です。7月以降、移転までの間、銀鈴堂さんが出られた後のスペースは、展示や物販に貸し出す方向で検討を始めたところです。もしご興味をお持ちの方がいらっしゃいましたらお問い合わせ下さい。205号室についていえば、面積は現在の約4坪から10坪に増床(といっても知れてますが)。現在地でインパクトだけは強い店を作ってしまった手前、移転先もそう手を抜いくワケにはいかないようで。オレンジ・バーミリオンのショップ・カラーは継承しつつ、一体どんなふうにしていけるかこれまた現在思案中。とまぁ、風邪で寝込んでいる間に熱でグルグルする頭でもって考えました。これらを実現するためには「モット ハタラケ」と。そうでしょうそうでしょうよ。そうしたワケもありまして、今年こそ紙製の自店目録を作ります。タイトルはここ数年何とかものにならないかと考え続けてきた「海藤日出男と地下鉄丸ノ内線(仮)」。ううっ。一般性のカケラもございませんですね。いってしまえば東京、大手町、銀座、赤坂、新宿という街々と、日本の戦後を中心とした美術史とをつないでみようという試みなのですが、例によってこれまで脇役の位置に甘んじてきたようなモノたちをクローズ・アップすることになります。戦前の海外潮流の移入、戦後の黎明期を経て、グループ展の時代、運動体の時代、画廊の時代、百貨店文化の時代…といった大まかな時制的な流れも追うことができればと思っています。というのはいつも風呂敷だけは大きい小店ならではの口上でありまして、画像はこの目録の予告編であります。肝心の新着品は…山名文夫が寄稿した戦前の同人誌、フランスで発行されていたダダとシュルレアリスムの隙間に生じた同人誌など、またしても説明を要するものについては来週改めてご紹介いたします。この他、新着の美術展図録、戦前の映画関係書籍などは来週よりカタログへのアップを再開いたしますのでご笑覧のほどお願いいたします。再び一週お知らせに費やしてしまいましたが、来週からは新着品ご紹介に戻りますので暫しお待ちを。ところで。移転先の店の床がまた赤で塗りこめられていた時には、それは全てシルビー・ギエム舞うところの「ボレロ」のせいだと思ってください(この人ったらやっぱり安易……)。