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09/06/13 ニッポンの底ぢから - 無名(?)の画工と薩摩治郎八の手になる証拠物件


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明治25年発行『工芸新図』2冊より。全頁多色刷りの木版画。植物、動物、伝説上の動物をモチーフにしながら、いずれも「ひねり」を加えた意匠。

本日6月13日(土)は、どうしてもはずせない所用があり、店を開けるのは午後4時半頃からとなります。お立ち寄りの際にはどうかご留意いただけますようお願い申し上げます。来週は通常の営業に戻ります。東京も梅雨に入り不安定な天候が続きそうですが、ご来店いただければ幸甚に存じます。個々に御礼申し上げたい方たち多数あり、来週にはご連絡をとらせていただきます。いま少しお時間をいただけますよう、この場を借りてお願い申し上げる次第です。
今週の新着品、先ずは久しぶりの「和モノ」から。画像は明治25年に京都で発行された『工芸新図』の二冊より。画工名に「幽峰」とありますが、この人物については全く手掛かりがありません。さて、この二冊、着物や染めもの・織物、陶磁器・漆器、家具調度や印刷物まで、あらゆる工芸デザインに対応しようという図案集で、全編多色刷りの木版画。ちょっと見、抽象的デザインかと思うとこれが動植物をモチーフにしたものが多く、その七変化には眼が釘付け。例えば画像左から三点目の縦に連続する図版、実は“鶴と亀”をモチーフとしたもので、長寿の亀の長ぁーい尻尾のフサフサを優美な曲線に変えています。網をバックに鯉と鯛とそれぞれ一尾と二尾とで球形を描いて見せたかと思うと、唐獅子は四肢をひろげて“開き”のような格好、龍は真っ正面から捉えた上に尻尾の先を枠罫からはみ出させるという大胆さ、真正面から、ということでは鳥類を扱っていながら全然鳥には見えない奇天烈な図案も多数。奇想、或いは“過剰”を抱えたこうしたデザインは、いってしまえばモダニズムという名の洗練もしくはカッコイイ前衛が置き去りにしてきたものということになるのかも知れませんが、見過ごしにするには……むむむむ。ちょっと勿体ない気がします。
 


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日本の音楽史上、ひとつの画期となった大正14年のアンリ・ジルマルシェックス6夜連続演奏会のパンフレット。画像左端と中央はマチスによるジルマルシエックスの肖像画、右上はラヴェル楽曲の日本初演を謳った1P、右下はプログラム随所に配置されるアヴァンギャルドな組版から。

■昭和30年山文社発行、薩摩治郎八著『せ・し・ぼ・ん』のP26より「本邦に於ける欧州近代音楽紹介事業は有名なラヴェル作曲演奏家のピアニスト、アンリ・ジルマルシェックス招致によって実現された。」- 今週の新着品2点目は大正14年に帝国ホテルで開催されたその演奏会のパンフレット『アンリー・ヂルマルシエックス洋琴演奏会』です。薩摩自身、上記引用部分に続いて「私が執筆出版した解説書は、当時にしては豪華版」と記している通り、A4サイズでアート紙51P、表紙はマチスによる肖像画の貼り込みに文字全て銀箔押し、演奏会データはもとより薩摩による演奏家、作曲家、楽曲の詳解、大田黒元雄の推薦文、ジルマルシェックス文・小松耕輔訳「ラヴェルのピアノの技巧について」4P、藤田嗣治による薩摩の肖像画、同じくドランによるバルトーク、果ては画像右下の前衛的組版を1P使って入れるなど当時のアヴァンギャルド・デザインまで取り入れて贅沢に配置、とまぁお言葉通りの豪華かつ充実した内容。しかしそれも当然のこと、この時の演奏会は「主観的音楽」「追想的音楽」「舞踊音楽」の3パートで各2夜・全6夜にわたって63曲を演奏するというもの。しかもその内33曲が日本初演、加えてラヴェルの「FIVE O’CLOCK, FOX TROT」は世界初演。大田黒が寄せた「通常のピアニストの曲目に載せられない」ドビュッシー、バルトーク、デファリャ、シマノフスキーらの作品が演奏されることを慶事とする文章にもある通り、F・シュミット、A・ルーセル、G・フォーレ、F・プーランク、M・ドラージュ、そしてストラヴィンスキーなど、当時の“同時代(フランス)音楽”を非常に多く取り入れた演奏会自体が、全体の構成を含め、当時としては類を見ない贅沢かつ革新的なコンサートであり、冒頭の引用にもある通り - 梶井基次郎が通い、松平頼則が音楽を志すきっかけとなり、何よりそれまでドイツ一辺倒だった日本の西洋音楽の流れを変えた - 文字通り画期的な演奏会だったわけです。自身の著書では大雑把な書きようにあまりにきらびやかな人脈が軽々と出てくるために「どこまでホンマかいな」と思いたくなることもある薩摩ですが、「仏蘭西芸術普及交換協会主催」「仏蘭西大使館後援」と並んで「主催者側代表」として記された「薩摩治郎八」の名前は確かに伊達ではありませんでした。私なんぞがいうのもナニですが、すごいやサツマ。今週はこの他、イギリスのSTUDIO誌の別冊で建築・インテリアを特集した『DECORATIVE ARTS』6冊、ナチス・プロパガンダ雑誌『アドラー』や戦中なのに戦中を思わせないイタリアらしい観光PR誌『ITALIA』など洋雑誌約20冊、存在感十分の布染め用の中型版木2点などなどありまして、しかしそれにしてもいつになったら作業の手が追い付くんだろう…。

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