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10/04/17 恩地孝四郎 ! オン !! パレード !!!


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『本の美術』の書籍本体とタトウ型の函。『本の美術』『博物志』ともに恩地孝四郎の著作で恩地に師事していた品川工に宛てた識語と署名、日付が記されている。

■… タイトルにビックリマークをこんなにたくさん付けてる自分に疲れる今週、神田にある東京古書会館の4階から3階、2階、地下1階と5千点を超えて出品された(と聞く)古本の間を駆けまわった下見日=14日はマラソン選手のような持久力が欲しいと思い、時を追って改札されるのを横目に入札を続けた改札当日=15日には立ち上がる度にあっさりパンチを浴びてはダウンを余儀なくされる弱小ボクシング選手の悲哀を存分に味わい、かくしてようやく全連大市が終了いたしました。買えなかった時に感じる何ともいいようのない惨めさというのはじわりじわりと利いてくるもので、今日になって頭に浮かんでくるのは「ああそれにしてもしかし」というとりとめのない言葉ばかり、溜息のつき通しであることを自覚しつつ、しかしへこたれているばかりでは「あっ。」という間に沈没しかねぬ小店なのだ。と思い出し、思い出したところで今週の新着品へとまいります。思えば「今日の市場、面白いかも知れない」と、最初に気付かせてくれたのが、この恩地孝四郎にまつわる書物がまとまって出現していたことによるものでした。最初の画像いずれも恩地孝四郎の著作『本の美術』は昭和27年・誠文堂新光社の発行(初版)、つい半年ほど前の2009年10月31日付・新着品でご案内したことのある『博物志』昭和17年・玄光社発行初版。この『博物志』が前回入荷分と違うのは、残念ながらカバーに痛みが見られるところともうひとつ、見返しに小さな文字で恩地孝四郎の識語署名が、さらに扉には欧文の署名が、それぞれ書き込まれていること『本の美術』にも短い識語と署名が入っています。市場ではどうしても読み取れない部分のあった『博物志』の識語は、よく見ると次のように書かれていました。「新しい造物主に  紙や針金や布で いのちをつくりだす。その品川工にこの僕の小(憎?)らしき本をもつて貰へることを幸とする」。通り一遍の言葉とは違って、気持ちの込められた識語だと思います。


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同じく品川工旧蔵・恩地孝四郎関係書より 『日本の憂愁』は総革装・手刷り木版画3葉を収めた限定100部の番外で、澤田伊四郎の献呈署名入、澤田直筆訂正表等も。井上康文『詩集 手』は恩地孝四郎の装丁で、扉と挿画2点が木版刷。

()内・疑問符を付けた1文字は、おそらくそうであろうというレベルの解読ですが、わざわざ罫線で囲み書きした「品川工」というのは贈呈した相手の方の名前であり、これらの本の旧蔵者であることは確か。品川工は1908年生まれの美術家で1935(昭和10)年より恩地孝四郎に師事、版画のみならずモビールや立体作品などまで幅広く活躍、1996年には練馬区立美術館で「メディアと表現-品川工・山口勝弘展 現代美術の手法」も開催されました。『本の美術』に添えられた言葉を記しておくと「はるかなる日の幸のために」。こちらは本名に宛てて「品川勉 友のために」としています。タイトル通り、造本についてさまざまな角度から取り上げた当書には自身が手掛けた書籍の図版入り解説があるので、『博物志』はと見ると、「僕の写真集を出すなども変な組に属する。写真専門の玄光社としてはミスだらう。素人写真に随筆風な文をつけた本、準出版創作」と少々辛口。これがもし本心であるとすれば、「小憎らしい」という識語の表現も少しは腑に落ちるのですが。ともあれカバーのデザインは「実物焼付の逆版」、本体表紙については「時局記念、ハトロン紙布にニッケル押しだった。」と、昨年のご案内ではご紹介できなかった事実を新たに付け加えておくことにいたします。
今週は品川旧蔵・恩地関係書で突っ走ります。画像2点目、『日本の憂愁 愛蔵版』昭和30年・龍星閣発行、木版手刷の口絵が3葉綴じ込まれた限定100部総革装版の番外本で、龍星閣の創業者にして『智恵子抄』を世に出した澤田伊四郎の献呈署名入。また、澤田の手書き直筆の「誤植訂正表」、「恩地のぶ」名の謹呈箋がついています。


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『書窓 16』掲載のグラビアページは『飛行官能』の延長線上にある恩地孝四郎の仕事。こちらも品川工旧蔵の1冊。

井上康文『詩集 手』は昭和3年・素人社発行の初版で、書籍中に記載されていませんが恩地の木版を原画とする装丁が函の平および背と、書籍本体の表紙に施されている他、扉(2色刷)と「無題」「男の首」と題された挿画、いずれも木版刷が綴じ込まれ、本の背には恩地独特の手書き文字と黒丸=●とがあしらわれたいかにもそれらしい造本。とまあここまで続けば必ずや『飛行官能』が、しかも比較的状態のよいものが出てきて不思議はないと思って…黙々と探す。…時々他のものに気をとられる。…黙々と探す。…時々立ち話などもする。…黙々と探す。…黙々と。…探しましたが今回は姿を見せず。で、今週最後の画像はその代わりに、やはり恩地が編集者として深く関わった雑誌『書窓16  vol.3 no.4』(昭和11年)より、「船」と題されたグラビアページから。当誌には北原鐡雄の写真に恩地が「詞」を添えたこの「船」(5P)と、もうひとつ、寺岡徳二の写真を恩地が構成(=エディトリアル・デザイン)した「海」(4P)を所収。昭和9年発行の『飛行官能』で見せたロシア構成主義的傾向は、ここでも健在です。ところで、これら全てを架蔵していた品川工ですが、その兄・品川力さんという方は戦前から本郷で古本屋さんを営んでおられたそうです。この古本屋さんがペリカン書房といって、もともと「ペリカン・ランチルーム」だったのがある日突然、ほとんど何の前触れもなく古本屋に変わって、錚々たる文学者が名を連ねた常連客一堂、びっくり仰天したという伝説のお店。で、考えました。古本屋から食堂というのはどうだろう。 日月堂 → 1文字加える → 日月食堂 → 1日で変更も可! なんてことを考えるのも市場でボコボコにされてまだ酩酊しているせいなのかどうなのか。大市からは恩地関係が他に『装本の業』『日本の花』など5冊、恩地と一緒に何故かついてきた『武井武雄 手芸図案集』等数冊、その他に8口が土曜日に入荷の予定。何が入るかは … せめて選り抜きの分だけでも、ボコボコにされた-正しくは「自業自得でボコボコになった。ヘコんだ。」です-お話とともに引き続き来週このページでご案内させていただきます。

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