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10/05/08 PDFの彼岸へ…? 木版刷千代紙の精華・いせ辰『千代紙百種』/ 戦前モダニズム期の優秀広告集『商業広告図案大集成』  


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大正11年・いせ辰発行『千代紙百種 鶴』は木版千代紙50図を所収。画像左上は「鈴木其一筆 牡丹」、右下は「谷文晁筆 月影」でともに見開きサイズで所収。

■貴重なはずの4連休をただもう無為に怠惰に過ごしてしまった日月堂です。日頃の非礼や、溜まりっ放しの雑務は、いつ片付くのでしょうか。やれやれ。話題のカケラもない私事はさておき、GW中、目黒・ジェオグラフィカさんをお訪ね下さったみなさま、本当に有難うございました。冗談でも何でもなく、店主の監視下を離れた心地よい空間は、雑誌や紙モノとじっくり向き合っていただくのに最適な環境となっているようです。ジェオグラフィカさんのアニヴァーサリー・フェアは5月9日(日)まで引き続き開催中、で、3Fのライブラリースペースの小店占拠もこの日まで。まだご覧になっていないみなさま、詳細はこちらをご参照の上、是非一度お訪ね下さいませ。よろしくお願いいたします。!!! 5/8情報訂正 : 3Fライブラリー・スペースの小店占拠について、ジェオグラフィカさんのご好意で急遽、なっなんと5月30日(日)まで続けさせていただくことになりました! まだまだごゆるりとご高覧いただけますので、まだの方はもとより、すでにお運びのみなさまにも再度のご訪問、何卒よろしくお願いいたします。
GW明けて7日の金曜日には、早速市場2ヶ所のハシゴ。脱力している場合ではございません。この内、五反田の方の落札結果は月曜日以降となりますので来週にして、今週店に入る新着品は神田の市場から。『千代紙百種 鶴』大正11年、廣瀬菊雄の編により伊勢辰商店が発行。“伊勢辰”ですでにお分かりの通り、江戸幕末創業の木版千代紙の老舗「いせ辰」さんが、千代紙50点を選りすぐって出版したもの。ちなみに編者としてクレジットされている廣瀬菊雄さんは、明治31年に辰五郎の名を襲名した「いせ辰」さん三代目ということが、ただいまケンサクにより判明いたしました。さて、お品物はと云いますと、38.5×26cmの経本仕立てで42頁。木版千代紙としては標準的な表紙同寸サイズを中心に、大きいものでは見開き(=倍サイズ)、小さいものですと1Pに3点を収めまして、大から小まで合わせて50図。もちろん全て木版手刷りという「いせ辰」さん精華でございます。「鈴木其一筆」とある「牡丹」の大胆な画面構成と繊細かつ鮮やかな色づかい、雪の結晶の柄を真紅の背景に置いてしまうセンスなど、おおお。ううむ。うわわぁ。と、見れば市場に居ることも忘れてただもう唸るばかり。ともかくも画像を一目ご覧いただければクダクダしい説明など不要というものでしょう。画像をクリックしていただきますとさらに大きなサイズで眺められるという仕掛け、あわせてご利用下さいませ。


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昭和11(1936)年、浩文社発行『商業広告図案大集成』より。上段左が絹装の上からプリントを施した本体表紙。上段右は新興写真による福助とマツダ(ランプ)の広告。下段左は資生堂のロゴと唐草から成る商標の集成。 下段右は章の扉毎に挿入されるカラーページ。

■ボロボロの函から出てきた表紙のデザイン - こんなものが戦前の日本の本の装丁にあったのか?!- に一目で「まいりました。」というのがお次。昭和11(1936)年、浩文社発行『商業広告図案大集成』(辻克己編、初版)。「AD」の文字をあしらった表紙のこのセンスは個人的にツボ。しかも。シブイ色使いながら光沢があるのは何故かと思ってよく見ると … これが絹布装で。この微妙な質感、デジタル画像でお伝しきれないのが非常に残念です。当書発行の同時代にさかんに発行されたデザイン・ソース本の類と混同されそうですが、こちらは実際に使われた広告図案、しかも分野別に各々代表的企業の代表的商品の広告ばかりを集めたもので、結果、当時の優秀広告デザイン集になりおおせたという一冊。ご参考まで、当書に複数頁を割いてその広告が採取された企業・商品名を拾えば - 資生堂、花王、御園、森永、明治、グリコ、カルピス、味の素、サントリー、赤玉ポートワイン、福助などなど。自動車、自転車、百貨店、インキ、万年筆、映画広告は各社入り乱れて採取、また、いまで云う突き出し広告を集めた「三十行と小広告」や、当時尖端の広告表現を集めた「広告写真と欧米広告集」の章も。恥ずかしながら当書で初めて知ったベルベット石鹸、レッキス(蜂ブドー)、トリスソース(瓶のデザインもすごい)、オラガビール(このネーミング、ラガーなのか「おらが」なのか…)のあたりも見落とせない広告多数。元来、欧米の借り物からスタートした広告表現ですが、この時代にはかなり高い完成度に達していたことが分かります。戦前のアヴァンギャルドにしてもモダニズムにしても、日本人というのは借りてきたものを実によく咀嚼・消化して見事に仕立て直したもんだといつも感心させられるわけですが、ここに採られたモダンな広告表現が、どれも単なる模倣や剽窃に留まらず立派に“完成”しているのも、“かつて”の日本人がもっていたデザインに対する潜在能力の高さ - 「いせ辰」さんの千代紙にも共通する -を物語るものではないでしょうか。尚、この本、収録にあたっては広告のサイズなど形態についてもあまり手を加えていないようで、表現だけでなく広告の形態・アイテムに関する資料と見ることもできそうです。
さて。木版の質感、絹装の美しい表紙、どちらもPDFに落としきることのできない“実体”です。“1冊100円のブックスキャン”なる世界とは所在を異にすべく、ますます細い道をゆこうというGW明けの小店、今週はこの他、安斎重男オリジナル・プリント「ジョン・ケージ」(限定15部・署名入、於・高輪美術館  画像は次回更新時にご紹介いたします)、『JAPAN INTERIOR DESIGN』20冊戦前デザイン・ソース書籍3冊なども入荷いたします。来週からはHPの在庫目録にも新たにデータを追加していく予定です。併せてご高覧のほど、お願いいたします。

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