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10/08/28 洋雑誌の相場に情報対価の歴史と対価によって得られた成果とを思う / 舞踊関係紙モノも漸く店頭に


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『新建築』は1939年発行内の2冊と1937年発行内の1冊。表紙のデザインも洗練されている。オレンジに白抜きでタイトルの記された1937年12号は同年開催されたパリ万博の関係資料多数を含む。

■最初に少しだけお願いです。明日、8月28日(土)は14時前後から小一時間、店内での所用のため人の出入りが多くなります。いつものようにのんびりと、あるいは、初めてだからじっくりと、店内をご覧になりたい - といった有難いお客様には、明日のこの時間帯のみお避けいただければ幸いに存じます。何卒よろしくお願い申し上げます。
雑誌『舞踊サークル』が、『舞踊』という日舞専門誌十数冊と一緒に縛られて6冊 … ここ数週の流れから、舞踊関係資料は落札必須だというのに、あろうことか落札できず。う。依然動かぬ『舞踊サークル』在庫一冊・ハケてはくれたものの結構売りあぐねた二冊の記憶、加うる今回イッショクタにされていた日舞専門雑誌のあまりの専門性(=ほぼ日舞一色)とに、気持ちのどこかにためらいが生じたのがいけなかった。「これは」というのを逃すと、その日の市場は総崩れで終わるというのも、気持ちの切り替えが苦手な私の悪いクセで、今年8月最後の市場は散々な結果で終わったとさ。うう。こういう週は更新なし。としたいところですが、一度でも自分を甘やかした日にはズルズルと怠惰を貪りかねないので今週もとりあえず更新を、そう珍しくもない『新建築』とこちらはそれより珍しいはずの『帝国工芸』から。『新建築』は1939(昭和14)年の11号、12号と1937(昭和12)年12号の3冊。何故いまさら『新建築』か。といいますと、1939年11号掲載の広告にその理由がありました。広告は、当時神田錦町にあった「東光堂書店」のもので、「1940 外国雑誌の予約締切迫る!」として、建築専門洋雑誌の定期購読の申し込みを促す内容です。肝心なのは、具体的な雑誌名と一年間の定期購読料が並んでいる点で。戦前の日本には、建築専門誌だけでも相当な数 - 種類も量も - の洋雑誌が入っていたことは明らかなのに、しかし具体的かつ詳細にそれを把握しようとするとこれが意外に手掛かりが見つからない。丸善の店頭の写真か何かに残っていないと分からないのではないか…なんていうことを考えていて、迂闊にも広告が情報源となるとは思ってもみなかったところでの出会と相成りました。


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アルミ製の1937年パリ万博記念『CELTIQUES』の煙草入れ。画像中そのすぐ下に置いた銀+ブルーの立方体形は内側に収められている紙。周囲に並べたものは1900年と1925年のパリ万博の絵葉書。

さて、この広告によると、この当時東光堂さんが扱っていた建築専門洋雑誌だけで28誌を数えます。『Moderne Bauformen』(年間購読料45円)に代表されるドイツの雑誌が最も多く10誌、次いで『Architectural Forum』などアメリカから7誌、フランスの『Art et Dcoration』や北欧はフィンランド、スウェーデンの雑誌名も見えます。年間定期購読料は安いものでも20円台、30円~40円台が中心となっており、最も高額なのはドイツの『Bauwelt』で58円。昭和15年の物価を現在に換算すると1,386倍だといいますから、58円は何と年間8万円相当ということに…。戦前から現在まで、何のことはない、情報対価というのは果てしないデフレの連続だったと考えれば、現在の何でも「フリー」という状況は当然の帰結といってよいのかも知れませんが、しかしそれにしても、『Moderne Bauformen』など、非常にお手軽な値段をつけてきた古本屋としては、こうしてみると誠に申し訳ないような気持ちにもなってきます。『帝国工芸』について少しだけ触れておくと、こちらは昭和11(1926)年の9月号で、「朝鮮燈火器具の紹介(1)」や「欧米工芸視察談(3)」から「世界観光ポスター紹介」など、海外情報が多数を占めています。
『新建築』についてはもうひと、画像中右上の1937年12号には、この年に開催されたパリ万博の建築物の写真が多数掲載されています。今週2点目の画像はその1937年パリ万博に関連して、万博専用に頒布されたフランスのタバコ『CELTIQUES(セルティック)』のアルミ製煙草入れです。長細いところから見て葉巻用でしょうか、蓋の部分にはエッフェル塔と正門周辺の会場風景を中央に、周囲に紫煙を立ち上らせるシガレットを打ち出し(レリーフ)でめぐらせるという洒落たデザイン。やはり紫煙を意匠化してエンボスであしらった内側の銀紙もしっかり残されていました。


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久米正雄旧蔵『イトウ・レサイタル』礼状およびロゴ入り専用封筒。伊藤道郎から千田是也、ネージャーの金披宇まで、6名連名による。詳細は近日中、店頭並びに当HP目録でご紹介いたします。

煙草入れの周辺に置いているのは以前に入手してあった1900年と1925年のパリ万博 - 後者はいわゆるアール・デコ博です - の絵葉書で、とくに1925年の 、そこがパリだとは微塵も感じさせない堂々たる純和風「日本館」にご注目下さい。干支一回りして1937年、同じパリで開催された万博では、坂倉準三が世界と肩を並べる優れたモダン建築の「日本館」を実現していたのも周知の通り。たった12年で日本の建築家たちが成し遂げた高い高い跳梁の背景には、東光堂さんを通して支払われた貴重な対価もまた、欠かせない力となっていたに違いありません。
今週はこの他、イリヤ・エレンブルグ『けれども地球は廻っている』(装丁もとても洒落ています)、『明暗近代色』などモダニズム期の書籍8冊が明日店に入ります。さらに、しばらくお休みをいただいておりました沼辺信一氏「バレエ・リュスと日本人たち」の近日中の再開を願い、また、少々思うところもあって、これまで温存(というかほぼ放置)してきた「久米正雄旧蔵 舞踊公演関係案内状等印刷物」を7口に分け来週初めには店頭に投入、追ってHPにもアップいたします。3点目の画像はこのなかから、伊藤道郎から千田是也まで、伊藤ファミリー全員の連名で出された「イトウ・レサイタル」の礼状と封筒。この他、石井獏舞踊詩研究所賀状寒水多久茂第二回舞踊発表会チラシ他一式 … 等々、いずれも一期一会の紙モノたちです。みなさま-とくにご連載はご期待のうちに-いま少しお待ち下さいませ!

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