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10/09/04 ジャパン・ツーリスト・ビューローの英文パンフレットには杉浦非水デザインも / 贅沢かつ教養あふれる『時世粧』は無料で配布されていました


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ジャパン・ツーリスト・ビューロー発行の英文の旅行パンフレット 上左:大連支社発行 表紙は杉浦非水 上中:大連支社発行「CHANGCHUN=(長春)」 下段左:朝鮮支社発行 ソウル地図 同中:同支社発行 表紙は非水 同右:鉄道省が発行した旧植民地を含む日本全国の洋式ホテル案内 全て写真入

■く、くっ、くびがまわらないぞぉ~!  と何だかもがきながら目を覚ましたのが今週金曜日朝6時。この暑さのなか、資金繰りの悪夢にまで魘されたかまあ気の毒に。と、何人かの方は同情下さったのではないかと思いますが(思いたいものですが)、この道約15年、そちらの方はもはや日常茶飯事の域にありとくに悪夢と呼ぶこともなくなった日月堂、目が覚める原因となったのは寝返りを打とうとした途端に襲われた首のスジの激痛という全くもって即物的な原因によるものなのですが、しかしこれほど本格的な寝違えは初めてでして、こりゃもう加齢の産物に違いありません。右も左も前倒しもNG、かろうじて後ろに少しだけ反るのはOKという、市場では全く役に立たない方向にだけしか動かない首から上を-置いていくわけにもいかないので - 抱えて出掛けた本日の市場、1910年代にJAPAN TOURIST BUREAUが発行した英文ものを中心とした旅行に関するパンフレット類2袋(2口)を落札しました。一方は国内旅行、そして残る1袋は同ビューローの台湾、大連、朝鮮などの支社が発行した当時の日本の植民地の案内で、とくに後者は久しく遠ざかっていたものです。


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ジャパン・ツーリスト~ の続き 左より 英文・軽井沢・伊香保ガイド / 和文・台湾勧業共進会案内 / 英文・朝鮮での狩猟の案内 / 英文・伊豆半島地図と案内

紙モノといっても、こうしたものはすでに旧植民地関係の“資料”としての評価が定まった感がありますが、英文パンフレット類についてはデザイン的要素も見落とせないところ。例えば最初の画像中『DAIREN(=大連)』と『Kongo-san(=金剛山)』はともに杉浦非水が表紙のデザインを手掛けています。年代的にちょうどアール・ヌーヴォーからアール・デコへの移行期にあたっているせいか、無署名のデザインの中にも端整なヌーヴォー調があるかと思えば、デコの要素を実験的に取り入れたものがあるといった調子で、その多彩さにも目を惹かれます。2袋で約50点に上るなかには、大正5(1916)年の『台湾勧業共進会案内』(台湾で開催された勧業博覧会に際して発行された台湾観光ガイドブック)や朝鮮における趣味の狩猟場専用の案内書『SHOOTING IN CHOSEN 1915』、いまとなっては日本と大陸・半島におけるクラシック・ホテルの総覧として楽しめる鉄道省発行の『観光地と洋式ホテル』(2段組み88P全写真入り!)なども見られます。分類するか、バラすか、そしてお値段は … と細かい作業は明日からとなりますが、作業を終えたたものから随時店頭でご紹介いたします。
はやりの装い”、という意味を持つ言葉そのままに『時世粧 JISEISO』と題した雑誌は - いまならさしずめ『モード』という名前のモード誌、ということになるでしょうか - 世界のモードを牽引するパリに通じた堀口大学を編集人兼発行人とし季刊発行された非売品の同人誌で、昭和10(1935)年発行の2号と3号、12年(1937)年発行の7号の3冊が入荷いたしました。


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堀口大学と京都の名店の旦那集とがタッグを組んだ(?)贅沢な同人誌 上段右はパリ万博出品の漆器製品 下段左は同人の商店の広告で新興写真テイストも横溢 テキスト執筆陣にもご注目を。

堀口大学編集だけあって、春山行夫「各国大使館風景」、大田黒元雄「メリイウイドウ」、内田百閒「俗習」、佐藤春夫「柴巻煙草」といった随筆、吉井勇竹中郁三好達治などの詩や創作短篇など、粒揃いの同人による … といいたいところですが、実はこれらのメンバーはあくまで単発の寄稿者であり、堀口を筆頭に同人として並んだ名前は鳩居堂、一保堂、ゑり善、春芳堂等々、京都の名商店 - おそらくその店主、あるいは若旦那か?-ばかり。フランスの書籍を思わせる厚めのコットン誌を使い、本文全頁にカットを配すなど、非常に贅沢なこの雑誌、7号の巻頭言によれば毎号ロハ(=「タダ」のことです)で配布していたといいます。毎号、巻頭には同人である商店の広告をいずれも新興写真タッチのすぐれた写真で作成し掲載していることから見て、広告出稿料金で制作費等全ての経費をまかない、雑誌自体は無料で配布するといったいまのフリーペーパーに近い仕組みでつくられていたのではないでしょうか。“「時世粧」は、気短な宣伝を、直接的な効果を目的とするものではありません。気長にゆつくりと、十八人の京都同人の「店」を、仕てる「仕事」を、識つて戴き、理解して戴くことを念願といたします。”(3号より)。仕組み自体はいまとそう変わらないにしても、情報ではなく教養を、とても贅沢な誌面に載せて、ゆったりと気長に、おそらくはそれに相応しい限られた層に配る、といった点には時代と状況とによる決定的な違いが現れているようです。巻頭に並ぶ同人=商店の広告も、画像上段の巴里万博出品漆器「リキヨールセツト(=リキュールセット)」や東郷青児デザインのタンスのような商品から、画像下段のフォトモンタージュを効果手に使った店頭風景など新興写真まで、一貫して洗練されたものばかり。テキストの充実と視覚的要素の洗練とのバランスがとてもよい雑誌だと思います。ところで、加齢とともにふてぶてしさを増す精神と、反対に脆弱の一途をたどる身体との間で、小店店主のアンバランスは加速の状況に置かれており、週明けには先ずは整形外科かカイロプラティックに行ってまいります。いろんな意味でいつでも「首」だけはまわるようにしておきたい。できることなら。


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