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10/10/02 ジョルジュ・ビゴーによるフランスのカフェ向けメニュー・カード10種10枚 と 1930年代・日本のカフェの建築写真集


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フランスの老舗ミネラルウォーター・ブランド「バドワ」がインセンティブとしてカフェなどに配ったメニューカード10種10点 全てジョルジュ・ビゴーによる日本人の生活風景を映したイラストと、ジャポニスムの飾入 全点未使用・美品

■あれよあれよという間に10月に入りました。丁度1年前の10月1日は現在の205号室の店の内装工事着工日だったのですが、そんなこともあってか、この1年の短かったことといったら例年の比ではなかったように思います。年内から年明けにかけての小店の予定も - 即売会の参加と、実は企画展もあります - あと少しで固まってまいります。それについては確定し次第ご案内させていただくこととして、さてさて今週もまた、新着品のご紹介です。
1点目はパリの古紙市で見かけるようなフランス製・未使用のメニューカード10枚、どれもフランスで200年以上の歴史を持つミネラル・ウォーター「BADOIT (=バドワ)」の販売促進用のツール(プレミア品)として、カフェやレストランに無料で提供されたものと思われます。入荷分は全て、品書きにあてる余白部分を未使用のまま残し、状態も申し分ありません。一見したところ、ジャポニスムの影響色濃いアール・ヌーヴォー期の …… と見えるイラストと意匠は、全点ジョルジュ・ビゴーの手になるもの。J.ビゴーについて簡単に紹介しておくと、明治15(1882)年、パリで流行していたジャポニスムに魅了されて来日、日本では美術やフランス語の教師などを務めながら、当時の日本人の生活文化や風習を写しとった絵画や、自由民権運動や日清日露戦争当時を諷刺した作品を多数残しました。明治時代の日仏交流史、或いは諷刺画、ポンチ絵・漫画の歴史に興味をお持ちの日本人にはお馴染みといってよい人物で、とくに来日直後の瑞々しい感性で描かれた銅版画集『あさ』『おはよ』『また』(←このタイトルはどれも本当に素晴らしい! と見る度にそう思います) や、フランス人居住者向けに発行した諷刺漫画雑誌『トバエ』などの仕事は、いまも高く評価されています。1899年のフランス帰国後も日本通の諷刺画家として日本を扱った絵を多数手掛けましたが、日露戦争終結後はこうした仕事も激減、今回入荷したメニューはそうした苦しい時代に糊口をしのぐために請け負っていた細々とした仕事のひとつと見られているようです。


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画像上左より時計まわりに ①スパイラル綴じの表紙 ②喫茶いなほ(早稲田) 原弘設計はタイポグラフィを主要なモチーフに使用してそれらしい ②カフェー・あか玉(銀座) 設計者記載なし ③カフェー・ニコライ(新宿) 小馬義夫設計 ④酒場・ボントン(銀座) 萩島安二設計 この人の設計は他の物件でも瀟洒なものが多く見られる

紙モノとして改めて見てみると、印刷はオフセット、イラストでは髪型や人の表情などにビゴーらしからぬ大雑把なところも見られ、すでにあった水彩作品を下敷きにしたものではないかと思われます。おそらくは1910年代、パリのどこかのカフェで、蓑笠姿に鋤を担ぎ犬を従えた農民らしきおじさんや、綿入れを着て凧揚げをする日本の子供たちの絵が入ったメニューが使われていたと想像すると、それだけで何だかちょっと愉快ではあるのですが、いってみればあくまでチープな紙モノ。しかしそうしたものであるだけに - 私が見てきた範囲という限定条件はつきますが - 未だパリの古紙市でも目にすることのなかったものです。ビゴーの『おはよ』はいつか一度でいいから扱ってみたいと思う本のひとつですが、まだまだその器量を持ち得ぬ小店、先ずはこのメニューを売る力があるかどうかが課題となりました。
ビゴーのメニューからほぼ四半世紀のちの昭和8(1933)年。日本は - 正確にはその都市部 - が、大きな変貌を遂げていたことが一目で直ちに実感されるのが今週の新着品2点目『カフェー外観集 巻1 - 建築写真類聚・別館』洪洋社の発行。当書「はしがき」に曰く、“カフェー”は“ジャズと嬌笑の歓楽境”であり、“カフェー建築”は“市街地の建築群を色どる所の一種の極彩色であ”り、“カフェー建築という大きな形式中”で“個々の意匠や形態表現は千差万別であり、自由奔放で”、“建築それ自体が一個の看板でありポスター”であると。この「はしがき」を一点の不足もなく裏付けるカフェの外観写真50図は、原弘村山知義、洋マネキンのデザイナーの草分け荻島安二などモダニスト、アヴァンギャルドから堂々と「店主」とするところまで - で、「店主」とするそのどれもが到底素人の設計とは思えないものばかり。本当か?  - 設計者が多様なら、実際に立てられたカフェーも瀟洒からアヴァンギャルド、いやさらに進んで不可解なのまで多種多彩であることを、写真図版だけで充分見事に物語ってくれます。多言は無用、ただ見るべし - 新着品のご紹介も今週はこれにならってこんなところで。
■今週はこの他、戦前欧州航路・欧州ホテルのバゲッジ・ラベル戦中代用品の木製画鋲古い封筒珍品「紙ハンカチ」など細々した雑貨系が入荷済み、またこの他の入荷分については明日、店に入ります。明日入荷予定のまたしても古本屋らしからぬ物体の一塊を含め、来週改めてこのページでご紹介させていただきます。しばし、お待ちを!

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