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11/09/24 戦前にもあったつり革広告 その「実物見本」帖2点 / 3年ぶりの再入荷『舞台建築』にはチャペックの戯曲「ロボット」世界初演時の舞台装置写真も


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各冊に印刷見本5点貼り込み 2冊一括での販売となります

■連休中ですが市場は今週いつも通り開かれて、不思議なことにいつもより多くの古本屋さんが集まっていました。にも関わらず出品はいつもよりずっと少なめとあって競争は厳しく、相手の札を突き上げるところまではいっても落札できたものは僅かなものとなりました。早速ですが、その僅かななかから、今週も新着品のご紹介です。
最初の画像に写っているのはタテ2cm、横7.8cmという小型の冊子。表紙には金箔押しが薄く残っていて『明徳商会 広告印刷実物見本』とあります。広告の「実物見本」にしては随分小さい。どれどれと手にとって開くと折帖の5面に各1点、二回りほど小さい印刷物が貼り込まれています。最初の1面には「明徳商会」という会社名と日暮里の住所、そして「実用新案登録」の「電車釣革広告器営業部」と書かれた短冊が貼り込まれていて、ああなるほど、電車のつり革の部分に掲示する広告の見本だったのか、と合点がいきます。広告は全て平版多色刷、コピーは「ストラップ広告」=つり革広告用の文案をあてこんだものですが、“花も香も人に知らせん ストラップ広告”と調子もよろしいようで。大正末か昭和初めの頃のものと思われるこの冊子を手に、当時の鉄道や路面電車の車内の様子を - 写真で見る限り、そこは常に無彩色の世界です - こんなに鮮やかな彩が与えられていたのかと想像するのもまた楽しいものです。
ところでこのつり革広告というもの、以前は私もよく目にしていたような記憶があるのですが、そういえばいつのまにか見かけなくなりました。その代わり、ということなのかどうかはともかく、JRの新型車両などではモニター画面が広告の多くの受け皿となりつつあるようです。広告の多くが紙やフィルムに印刷された実体のあるモノから、モニターに映し出されるデータへと置き換えられていく時代に入りましたが、しかしこの、ふと気がつくと電気を使わされている場面が是非を問う間もなく増殖していく状況というものを、本当に必要なことなのか、何だかおかしくはないのかと、一度は疑っておきたいと思う2011年です。


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左より 1点目/表紙 2点目/「R.U.R.」初演時の舞台装置写真 3点目/カレル・チャペック監督「泣くサテイル」の舞台装置 4点目/2010年早稲田大学演劇博物館・展覧会リーフレットの表紙 上半分の図がフォ氏による舞台装置肉筆画

この新着品のご案内で再入荷品を取り上げるについては忸怩たるものもあるのですが、しかし多少は意味もあるのではないかというので今週の2点目は『舞台建築』。この前扱ったのが …… あった、ありました2008年11月14日(→こちら)でいまから約3年前のことでした。「建築家 ファイアースタイン」ことチェコ出身の建築家にして画家、舞台美術家であるベドジフ・フォイエルシュタインが来日前に手掛けた舞台の仕事について、カレル・チャペックの「R.U.R.」- つまり「ロボット」! -の1920年初演時の舞台装置をはじめ、チェコで上演された種々の舞台装置の貴重な写真図版をまとめた当品については、この時に最低限必要なことは書いているようですのでやはりこちらをご覧いただくとして、以来今日までの間、2010年には早稲田大学演劇博物館で「チェコ舞台衣裳・デッサン展 現実から想像へ」が開催されるということがあって、建築家として聖路加病院やライジングサン石油ビルなどにたずさわった来日の後、チェコに帰国、1936年にわずか44年で自ら命を絶ったフォイエルシュタイン氏の「R.U.R.」の舞台装置肉筆画が初めて日本に迎えられ、実に90年という時間を経て、日本で出版された『舞台建築』とともに展示されるという、草葉の陰の もとい 天上の フォ氏をしてきっと喜んでくれたに違いない邂逅などもありました。ちなみに画像左から2点目は上下とも『舞台建築』所収「R.U.R.」初演時の舞台装置の写真。その右隣は演博「チェコ展」リーフレット表紙で、上二分の一が下の写真の舞台装置の肉筆画。ここでもちょっと並べてみました。画像中残るモノクロのもう1点の画像はやはりカレル・チャペックを舞台監督にフォ氏が装置を手掛け、チェコで上演された「泣くサテイル」の舞台装置写真です。
フォイエルシュタインは1924年から1926年の間、パリのオーギュスト・ペレの元で働き、1925年にはパリ万博=アール・デコ博にプラハで手掛けた「エドワード二世」の舞台装置を出品(当書所収)したり、バレエ・スエドワの仕事も手掛けています。チェコでは舞台の、パリでは建築と舞台で、日本では建築の、それぞれしっかりとした成果を残しながら知名度がいまひとつなのは、他人事ながら何だか悔しいフォ氏のこと。ウィペディアと演博のリーフレットとの間には事実関係の記述に齟齬が見られるなど、研究はまだまだこれからだと思われます。『舞台建築』再入荷によるご紹介が、少しでもどなたかのご興味に繋がれば望外の幸せというものです。
■随分長く東京で暮らしてきましたが、身の危険を感じるほどの台風というのは、通学路の途上、善福寺川が溢れるということがあった中学時代以来のことではなかったかと思います。都内では再び「帰宅難民」という言葉がニュースで使われ、被災地にはさらなる被害をもたらした台風15号に、またしても、文明などでは太刀打ちできない自然の脅威というものを思い知らされました。2011年という年は、自然のもつ圧倒的な力を、人間の傲慢や愚かさとともに、深く心に刻む年となりました。せめて残りの3ヵ月半がおだやかに過ぎていってくれるよう、祈らずにはいられません。  なんてことをいいながらですね、一方では、副題の通り旅の間の読み物を集めた雑誌『道中読物 はたご』4冊なんていうのを買っているのですから、我ながら現実感に乏しいというか何というかええぇ ……… (そのままフェイドアウト) 

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