■どうでもよいことではありますが、とりあえずご報告をかねて。ステロイド剤の1日10mg服用では全く効かないというのに他に手もなく、1日20mgに増やしてようやく症状緩和、そこからは1週間毎に5mgずつ服用量を減らしてきて、本日より1日10mgでしばらく経過を見ることになりました。本日の触診によると十二指腸あたりにステロイド服用のシワ寄せが生じつつある可能性があり(困ったもんだ)、さらにステロイド剤からの早期離脱をも考え始めたところです。というのもそもそも回復あってのこと。現在は かゆみ も大幅に軽減されて睡眠もとれております。当HPをご覧下さっている皆様にはこの数週間、すっかりご心配をおかけいたしましたが、こうした次第でもうひと安心、またお顔をお見せいただければ幸甚に存じます。年内残すところはやくもひと月ばかり。ご来店をお待ちいたしております。
■また、ちょうどこの間、年明け1月下旬に開催される「銀座 古書の市」の目録入稿作業が続いていたために、頂戴いたしておりますメールへのご返信が大幅に遅れております。週明け月曜日より順次ご返信申し上げますので、大変恐縮に存じますが、いま暫くお時間を頂戴できますよう、お詫びかたがたお願い申し上げます。本当に申し訳ございません。
■よぉーく考えてみると、「ヨシダケンキチ」という名前を聞いただけで「アクション!」だとか「ああツキジね」とか、「いやいやコーゲンガクは面白い 」なんていうことを思い浮かべることができる日本人というのは - 古書の市場という、思えばあまり一般的でない人たちの集まる場所に居るとなかなか気が付かないのですが - 一般社会に敷衍して考えると一体どれくらいの%で存在しているのでしょう。そんな吉田謙吉の主著より2冊が久しぶりに、それも偶さか別々の市場を通して入荷するという機会に恵まれました。2冊とも小店入荷は久しぶりのことになります。
昭和5年初版、函、カバー付で著者自装の造本、扉、中面レイアウトまで格好良い『舞台装置者の手帖』と今和次郎との共著、『モデルノロジオ 考現学』の第二弾、昭和6年初版発行の『考現学採集』です。「海戦」に始まりチャペックの「人造人間」、大胆に構成主義を取り入れた「吼えろ支那」、そして代表作「狼」など、その斬新な舞台美術をそれを手掛けたご本人の言葉とともに収めた『舞台装置者の手帖』も、銀座の街頭広告を逐一採集したり文豪の書斎を訪ねて空間と備品を細かく把握したりして、それを丹念な図版にまで起こす『考現学採集』も、できれば本文図版ページまでご紹介したかったのですが、見所が多すぎてしぼり切れず、ここでは残念ながらオモテっつらだけのご紹介、詳細は是非店頭でご覧下さい。ヨシダケンキチ。知らなきゃ損する面白さです。ゼッタイ。
■こちらもまた、舞台・映画の美術に携わっていたと目される旧蔵者の残したスクラップ帖11冊を落札。背に『廃墟』と記された1冊には、1954年当時の旧中島飛行機製作所、同じ年で「慶応」とメモされた飴のように曲がった鉄骨のある廃墟の風景、「56 高樹町」と記されたスラムのような建物、さらに「有ラク町コワシ」とある解体現場などの写真が並んでいます。廃墟趣味というのか解体趣味というのか、背に『白金電報局』と書かれたスクラップブックに至っては、1956年当時、ボロボロではあるもののまだ使用されていた時代の写真を前半に、後半には1961年、完全に廃墟となり建て壊しの始まった段階の写真が貼り付けてあるという念の入れよう(この情熱は一体どこから……)。「印刷解体」だとか「町工場から」とかやってきたことからもお判りの通り、私どもも決して嫌いではないだけに、ついつい手の出たファイル11冊。この他に一体何が出てくるかは、土曜日の配達までお待ち下さい。
■今週はこの他、スクラップ帖と同じ旧蔵者の建築物写真類1口と北方駐屯軍人写真帖2冊、石角春之助『浅草裏譚』、イエイツ著・デュラック装挿画『Four Plays for Dancers』、
谷川俊太郎・片岡義男・唐十郎などの文章に矢吹申彦・大橋歩・柳生弦一郎などの挿絵を添えた小冊子『まちあいしつ』約30冊などが土曜日には店に入荷いたします。