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15/08/01 20世紀・侵略と戦争の歴史をうつす写真帖2点 … 義和団事件、そして奉天・鉄嶺

■週明け更新のお約束 - 正しくは一方的な宣言と云うべきですが - も果たさぬまま、結局1回お休みしちゃいました。何しろだるい。ねむい。集中力ゼロ。やる気なし。半ば職場放棄。そんな体たらくのお陰で、今週、お目にかかったお客さまの数といったら片手で足りて店ときたら森閑たるもの。今度はゴハンが喉を通らない。食欲がなくなるのではなく、喉を通って胃の腑に収めるべきゴハンも買えなくなっちゃうよという意味。ま、まずいぞこれは。なので更新いたします慌て気味。

1点目は1901~1902年頃に作られたと思われるロシア製の写真帖。29×42cm、革装、ビス留め、厚さ何と7.5cmという実に立派なアルバムです。
表紙にはロシア語のタイトルが押されていますが、すでに箔は落ち判読不能。ですが、「1900-1901」という数字は判読でき、先週の予告で日露戦争当時のものと云ったのは間違いで正しくは「義和団事件(北清事変)」当時のもの。不明を恥じつつ伏してお詫び申し上げます。
義和団と云うのは、清国時代の中国で生まれた排外的な宗教結社。武術の修練によって結びついた集団でしたが、ドイツの山東半島進出とキリスト教布教に反発した華北一体の下層労働者を吸収し武装蜂起。1900年には北京に侵入してドイツと日本の外交官を殺害。この機に乗じて西太后が実権を握っていた清国も宣戦布告したことから、ロシアを主力とする8ヶ国の連合軍が中国に出兵するに至ったという事件、というより実質的には「事変」が起きます。
連合軍は日本、ドイツ、イギリス、フランス、イタリア、アメリカ、オーストリア、ロシアの8ヶ国。今回入荷したロシア製のアルバムは、オーストリアとロシアをのぞく6ヶ国の軍人と軍装備の記録写真紙・焼き全103点を貼り込んだもので、それぞれにロシア語のキャプションが添えられています。写真を見ると、イタリアは軍服さえ伊達男風だったり、アメリカは騎乗する姿がみんな保安官ぽかったり、フランスは植民地から召集した外国人によってさながら多国籍軍のような様相を呈していたり、イギリスは戦力をどうやらもっぱらインド人に求めていたようだったり、日本人は際立って小柄だったり、と、一種定点観測的な視点で選ばれたものがあるかと思うと、ドイツの鉄道貨車とパン焼き専用移動装備、フランスの多様な馬種のラインナップとトーチカ、アメリカの馬の群れを囲うように配置されたテント、日本の大八車や箸と椀を使っての食事風景など、違いを鮮明に捉える視点もあり、各国部隊の特徴が過不足なく押さえられています。

この義和団事件を契機に、ロシアが満洲を占領、朝鮮へも進出し、結果、日露戦争へと繋がっていきます。ひとつの戦いがさらなる戦いを呼び込む。歴史というのは決して「点」では終わりません。

■「点」で終わらない歴史の上に現れた写真アルバムをもう1冊。『坂の上の雲』を愛読された方なら馴染みがあるのかも知れません。日露戦争の奉天会戦における勝敗の分かれ目に深く関係する地名「鉄嶺」の写真帖です。13.5×19.5cmのアルバムの1Pに比較的大きな写真を1点ずつ貼り込んだ紙焼き全24点は全て「鉄嶺」とその周辺の風景。写真毎に筆書きで解説が付されており、私的なアルバムだったのではないかと思われます。
「馬蜂溝船隻停泊ノ光景」に始まり、「斬首の一瞬間」で終わるアルバムには、2枚の写真で市街全体を俯瞰した「鉄嶺全景」、沼地に建った「鉄嶺製粉」の工場、「鉄嶺商品陳列館」「満鉄病院鉄嶺分院」「鉄嶺停車場」といった施設、「桜街」「敷島街」など城内主要街筋、「柴河鉄橋列車通過ノ光景」、貧しい寒村を思わせる「鉄嶺北門外ヨリ北塔ヲ望ム」、どこか無国籍な建物が並ぶ「西門外元町三丁目通リノ景」など城外まで、日本の植民地となって以降の風景が残されています。















■画像3点目はすでに店頭出ししている商品からのおまけ。明治初期に発された橋のかけ方・堤防の築き方についての和本です。上にきているページをめくると次々にその下の構造が現れるという つくりに脱帽。

今週は比較的よい品物が落札できましたが、それだけに、すんなり店へ、ではなく、とりあえず当新着品でご紹介できるまでの間は隠しておくか黙って店頭に並べてしまうか、明日、店に商品が着いてから熟考の予定です。「で、どんなもの?」とのご質問は店頭で。よろしくお願いいたします。

■実によく出来ていると思っていたのに、翌日には見られなくなっていた安保法案を解説する動画。その内容と削除→復活の不可解な動きについて → http://www.huffingtonpost.jp/2015/07/22/anpo-movie-youtube_n_7853732.html?utm_hp_ref=japan
デモに行けなくったって、声を上げる方法はあります。→https://secure.avaaz.org/jp/to_the_streets_for_peace_loc/?sLCBEcb
今日から8月。戦後70年談話が示される日がいよいよ近づいてきました。入江昭、緒方貞子らが名を連ねた学者ら74人による「戦後70年総理談話について」声明全文がこちら→ http://www.asahi.com/articles/ASH7K4CMVH7KUTIL027.html
そして、日本各地の大学が、安保法案と大学改“悪”について続々と声をあげています → http:/anti-security-related-bill.jp/link.html
そしてとうとう創価学会会員が公明党から離れ、広島では自民党県議を代表とする安保法案反対組織が結成されたとのこと →http://seijijousei.blogspot.jp/2015/07/nanto-jimin-kengi-ga-daihyou-anpohantaisosiki-ga-hirosima-de-kessei-shoubarasi-koumeigiin-1nin-nomi-sandousezu.html
こうした状況下、参議院でも強行採決に及べば日本は民主主義の国とは呼べなくなります。法案が可決されれば立憲主義が崩壊します。これから先に確実につながっていかざるを得ない大切な「点」の上に、いま私たちはいるのだと思います。今回のこの点は「正念場」としか名付けようのない「点」です。猛暑の中、国会前で行動する人たちに頭を下げながら、せめてさまざまな情報につながる糸口だけでも、どなたかにお伝えできればと思っています。

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