#205 6-1-6 Minamiaoyama Minatoku TOKYO
info@nichigetu-do.com
TEL&FAX:03-3400-0327
sitemap mail

new arrival

20/11/21 写真は光学の産物だからなんて無理やりこじつける気はないけれど国際報道工芸と光学の書より


■先週更新を1回お休みさせていただいている間に11月もはや後半戦。その間に東京ばかりか北海道や大阪、神奈川あたりまで、コロナ感染者数が急拡大の様相を呈するに至りました。
今日11月21日(土)からの三連休は"我慢の3連休"が提唱されておりますが、店での仕事がたまっていることもあり、21日(土)はひっそりと営業いたします
根津美術館の甍とちょうど同じくらいの高さに位置する小店、根津さんの方から吹いてくる風が店内を通過して、換気にだけは事欠くことがありません。
マスクの着用と手指の消毒についてはこれまで通りご協力をお願いいたします。また、当面はお連れの方は3人様までとさせていただきます。
ご不便をおかけいたしますが、引き続きご理解・ご協力を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。

今週の新着品1点目は久しぶりの王道で・直球で・そして本!  日本工房改め国際報道工芸の制作による対外宣伝=プロパガンダの書、1942(昭和17)年発行の『日本照片集1 重工業』
発行は、権力の中枢にありプロパガンダと思想統制を担う情報局管轄下にあった国際文化振興会(KBS)によるもので、この頃、名取洋之助率いる国際報道工芸はKBSとがっちり組んだ仕事を次々に世に出しました。
『日本照片集1 重工業』は中国語版で、他に日、英、仏、安南、マレー、ビルマ、タイ語のヴァージョンが存在することが確認されている一方、シリーズ「1」に位置付けられいる重工業号に続くはずだった「2」以下の刊行物は、いまのところ確認されていないようです。
当品の記載は全て中国語。巻頭に序文が置かれる他、本文中のキャプションはいずれも極簡単簡潔なもので、実際には写真集と云うべき内容。申し遅れましたがタイトルにある「照片」は中国語で「写真」の意味。そのものズバリのタイトルです。
序文で語られているのは、短期間で達成することのできた日本の優位性です。曰く…… 日本は明治維新後わずか70年あまりで飛躍を遂げたが、とりわけ産業、なかでも重工業の発展が目覚ましく、そのおかげで今日の国防国家体制が築かれている。その驚異的躍進について1冊にまとめたこの書物は国際文化振興会の誇りとするところである……といった調子。
さて、肝心の写真はといえば、土門拳、木村伊兵衛、溝口宗博、杉山吉良の4名。巻末のクレジットでは、どの写真が誰の作品なのか、掲載されている写真のページ数が写真家別に並べられていて、資料としての使い勝手もなかなかのものと見られます。 

薄暗い製鉄所とそこに差し込む自然光をドラマチックにとらえた写真など、捨てがたい写真多数有。あとは別の言語の刊行物と内容が完全に一致しているのか、多少なりとも異同があるのか、気になるところではあります。

■2点目は『OPICS』=光学というタイトルの洋書から挿絵部分だけを抜いたと見られるプレート。22枚一括での落札で、旧蔵者は海外で売られていたものをまとめて買って架蔵していたようです。
それぞれのプレートの一番下、米粒の三分の一くらいのサイズで印刷されているクレジットに目を凝らすと、「1819」「1820」との年記と「ロンドン」「銅板画」とあり、年代と印刷技法が確定しました。色付けは手彩によるものと見られますが、どれもとても丁寧で失敗がありません。
光学用の各種機器・装置とその仕組みの他、視覚や光の屈折などを図式化したプレートも含まれており、こちらはこちらで魅力的。
この商品については多言を要さず、額装するかコラージュに使うか、プレゼントとして選んでみるか …… 先ずは感覚で選び、自由にお楽しみいただければ何よりであります。

さて、コロナ感染と睨み合わせながら、世の中はクリスマス商戦へ。というわけで、長年、小店の商品を置いて下さっている目黒通りのアンティークショップ、ジェオグラフィカさんのクリスマスイベントが本日21日(土)よりスタート!
今年は「聖なる夜とセピアの書斎」をテーマに、紙モノ好きでここを知らない人はモグリと云われるハチマクラさん、独自の世界観がクセになるとの噂のpiikaさんなど初参加のお店も!
小店からも欧米各地のトレーディングカード、フランスの化粧品関係のラベルや包装紙、戦前の海外の地図・ガイドブック、クリスマス向きのポストカード、寝しなに読むために編まれた佇まいの良い短篇小説の冊子などなど、紙モノを大量追加いたしました。
吹き抜けのある広くてゆったりとした空間で、一足早いクリスマスをお楽しみ下さい!
詳細は下のアドレスから。よろしくお願いいたします。
https://ec.geographica.jp/news/IF000279

 

 

20/11/07 紙の上に残された ホテルと店舗と住宅のモダン !


■11月に入りました。年内の新着商品のご紹介もあとは数えるほど。ですが、来週は市場の関係で更新は1回お休み、また、14日(土)の店の営業は夕方からとなります。この日のご来店については、事前にお問合せいただくか、当日、Facebookでのご確認またはDMでお問合せをお願いいたします。
念のためおさらいしておくと、今週~来週の営業日は7日(土)、10日(火)、12日(木)のそれぞれ12時より20時までと、14日(土)の夕方から、とさせていただきます。大変ご不便をおかけし誠に恐縮に存じますが、何卒よろしくお願い申し上げます。

先週の"紙相撲力士衆628名ご一行様"の圧倒的な力にあてられて、今週は市場に出かけて行ったところでどうにもさっぱり面白くない。というわけで、今週の新着品、画像の1点目の商品2点はまたしても店のバックヤードからの発掘品と相成りました。
ひとつめの画像中、上の2点は「東京ステーションホテル」のパンフレット。折りたたむと17×5cm程度のポケットサイズとなるもので、表紙を開いた側には東京市電略図が印刷されており、その裏側が「PLAN OF THE TOKYO STATION HOTEL」と題されたホテル全階のフロアガイドとなっています。
これまで帝国ホテルをはじめとするクラシックホテル関係の紙モノは荷札からマッチ、パンフレットや建築写真プレート集など、色々なものを扱ってきたと思うのですが、「東京ステーションホテル」に関するエフェメラを手にしたのはこれが初めて。極めて珍しい(…はず)。
表紙に刷り込まれている建物外観とその周辺を写した写真の様子が、もしかして足場を撤去してすぐ撮ったかと思う程度に殺風景なことから、1915(大正4)年の開業当初のものと思われます。
フロアガイドには「客間類別表」もあり、客室は「応接間及浴室付」「一人床浴室付」の浴室付きと、浴室のない「二人床」「一人床」の全4タイプ。最も多いのは浴室なしの「一人床」タイプで、共同の浴室が3階の左翼・右翼それぞれ端の方に3~4室、客室とは別に設けられています。どの部屋がどこに位置しているのかも、平面図とこの一表とを照らし合わせれば一目瞭然。
一目瞭然ということではもうひとつ、このパンフレットには「従業人食堂」「工作場」「配膳室」「倉庫」「機関室」等々、宿泊客や利用者が知る必要のない情報まで全て記載されておりまして、ホテルの全機能と配置がこのパンフレット1点で全て分かってしまうという …… いまではむしろ明かしてはまずいと思われる点まで、文字通り一目瞭然となるわけです。
で。お!とか え!とか ふむふむ とか。眺める度に発見のあるパンフレットです。


■↑と同じ画像に収めたもう1点はご存知銀座の名店、伊東屋さんの『株式会社伊東屋 新築工事概要』。B6・28Pの小冊子で、「1930.5.31.」との期日記載もあります。
地上1階から8階、屋上までの平面図にテキストが20P! このテキスト部分がこの冊子のすごいところで、竣工までのスケジュール、構造、装飾、施設、設備など詳細を極め、さらに現場監督と建築工事請負のそれぞれ個人名、下請負人の中小組織と個人名をあらゆる職掌まで網羅。ここまで記録している新築記念出版物を、すくなくとも私には他に見たことがありません。晴れやかな竣工の当日、手渡されたこの冊子に自分の名前を見つけて、人知れず胸を熱くした職人さんたちもいたに違いないと思います。
記録であると同時に、会社であれ個人であれ、それぞれの仕事に対して敬意を払う伊東屋という企業の姿勢の表れと見ることもできるもので、実に清清しい記念冊子となっています。
「東京ステーションホテル」も「伊東屋」も、シミなど状態に難のあるのが残念ではありますが、いずれも入手の難しいエフェメラです。

こちらは真正の新着品。またまたプレート集ですが、今回のは久しぶりのアール・デコ1926年にパリで発行された『LE HOME MODERNE 20 PAGES D'ALBUM COULEUR』。タイトルと副題にある通り、現代的なインテリア・デザインをカラー20図に収めたもの。但し、入荷したのは1プレート欠けの不揃い19葉。カラーの部分は全てポショワール(ステンシル)によるものです。
プレートはリビング、寝室、子ども部屋など空間別に、その全景を描いた1葉と、全景のなかに描かれた家具調度・装飾品を図示した1葉とで対をなす構成。つまり、全20図で10のインテリアプランを提示していることになります。
デザインを担当したのは1925年のパリ万博(アール・デコ博)で活躍したアール・デコ期の代表的デザイナーのひとりであり、1937年のパリ万博ではゴールメダルに輝いたモダニスト、ジョルジュ・シャンピオン、戦前から注目され、第二次大戦後のミッドセンチュリー様式に影響を与えたとされるルネ・ガブリエルなど。
全景プレートではアール・デコが前面出ているものの、家具調度のプレートに散見される細部にはミッドセンチュリー・モダンの萌芽が認められる、興味深いデザイン集となっています。
プレート1葉欠のため、全景+細部の1対毎にバラ売りの予定です。

■今週の斜め読みから。
いちいちあげているときりがいなのでこちら岸のいまをとりあえずひとまとめに。タイトルがまずいのが気になりますが。
https://lite-ra.com/2020/11/post-5692_4.html
対岸では火の手があがっては消え 消えてはあがり。
https://lite-ra.com/2020/11/post-5692_4.html コロナの年も残すは2ヶ月をきりました。寒さ到来とともになお一層のご用心を!

 

20/10/31 つくりにつくった個性的力士628名 四股名と本名・生年月日まで!


■この商品のもつ得もいわれぬ面白さは、やはり画像では小指の先ほども伝えられないようです。「兵隊さん慰問 紙相撲」と謳われた手製玩具一式が入荷しました。
一見して、紙製力士の夥しい量と面白さに目を奪われたものの、市場では数えている暇などありませんので、とにかく買うつもりで入札したところ、幸運なことに落札することができました。
小さな箱に小分けして収められている一式全部、パタパタまとめるとエコバックに充分おさまる物量でしかも軽く、そのまま自宅に持ち帰って数えてみると、紙相撲の力士に行司、呼出し、年寄り等、何と総勢628名!
調べてみたところ、現在、日本相撲協会に所属している力士が十両から三段目までで348名と出てきますので、日本相撲協会の現役連中をまるまるふたつ分、自宅に持ち帰ったようなものと云えましょうか。この点数にはさすがにびっくりです。
しかも、二段目、三段目の層を厚く、関取は数を絞っているところなど、実際の相撲界をうつしたような陣容です。
ところで、「紙相撲」と聞いて遊び方が直ちに頭に浮かぶのは、ある一定の年齢以上の方に限られるのかも知れません。もちろん、小店店主は直ちに浮かんじゃう方なわけですが、しかしこの紙相撲、自分が知っているのとは違って1体1体自立することができません。足がつま先上がりになっていること、どの力士も右手を下手、左手を上手に出す格好で作られているからで、試してみたところ、取り組みはがっぷり四つに組み合ったところから始めると具合がよいことが分かりました。
この形態、「日本紙相撲協会」のサイトで紹介されている「紙相撲の作り方」に非常に近く、実際試してみると、それぞれが自立したところから始まる紙相撲よりずっとリアルな試合展開となるばかりか、勝敗も簡単にはつかないことが分かりました。なるほどこうしてみると紙相撲もなかなか奥深いものです。
その奥深さ故か、当品旧蔵者が対戦する際にも相当な熱がこもったようで、優勝力士のために「花吹雪」がひと箱用意され、ビリケン印の手描き紙幣の混じる子ども銀行風の「金庫」2箱まで出てきました。その子ども銀行との貸し借りで済んだかどうかはさておき、実際に対戦した際の星取表も残されていてこれがまた面白い。 

取り組みのためには四股名が必要なわけですが、序二段から大関・横綱まで四股名がつけられているのは当然で、裏をかえすとそこには生年と出身地・本名が記されていて - 例えば「松太郎 昭和11年1月28日 東京有楽町生レ」といった具合 - いかに"リアル"に近づけようと苦心とたのか(いや、楽しんだのか?)が偲ばれます。
総勢628名はもちろんひとつとして同じものはなく、顔が体に埋もれてしまったような巨漢から細マッチョまで体型もさまざまなら、イケメンから三枚目、力んでるのから淡々としているのまで、顔つき・表情もさまざま。よくよく見れば"628人の人間模様"とでもいえそうな様相が見てとれます。
「底」の側が土俵になっている紙箱には「兵隊さん慰問 紙相撲」と書かれてはいますが、行軍の友とするにはさすがに少々かさばりはしないかと、そのあたりには少々疑いも。
それにしても「紙相撲」という一見シンプルな遊びに注がれたこの情熱と創意工夫に、見れば見るほどふつふつと笑いがこみあげてくるのでした。
市場に出てきた時の状態で、小さい箱ごとに分売する分と、日本相撲協会分相当(?)のセット売りの両面から販売の予定ですが、セット分を固めるまで少しお時間をいただきます。悪しからずご了解いただければ幸いです。
もっとも、店内でクリムトやアール・ヌーヴォーのプレートとどう折り合いをつけて配置できるかというのが一番のむつかしい。うう。


昨年入荷したのとは異なる茶室起こし絵が入荷しました。『全国有名茶室起家図』と題した木箱入り90点。利休21点、不白18点、原叟8点、宗旦7点、宗偏5点など。
タトウを底にしてパーツが仕込まれたスタイルで、紙に厚さと張りがあるので組み立てやすそうです。寸法等の書き込みは細かく、状態も良好。
奥付や付属の冊子など一切なく、来歴については不明ですが、大正~昭和初期につくられたものではないかと思います。
こちらは一括での販売ですが、重複分3点は分売に。早い者勝ちということでご理解賜りますよう…。
 

■この2週間の間にも色々ありましたが。日本学術会議をめぐるのらりくらりをいちいち挙げているときりもなく、煎じ詰めれば極東にあってASEANをアルゼンチンと読んでしまう人物をトップに据えている国というのは終わってはいないかという、この一点につきるような気がしています。




 



 

recent catalogue C by image