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20/10/17 アール・ヌーヴォーから半世紀の後のデザインへ


■最初に来週の営業のお知らせです。10月24日(土)は所用のため臨時休業の予定です。10月20日(火)・10月22日(木)は12時~20時で営業いたします。ご来店をお考えのお客様にはご留意いただければ幸甚に存じます。ご不便をおかけして誠に恐縮に存じますが、何卒よろしくお願い申し上げます。

新着品のご案内です。1点目は19世紀末、アール・ヌーヴォー様式の始祖のひとりで、主に磁器のデザインで活躍したフランスのジュール=オーギュスト・アベール=ディス(Jules-August Habert-Dys)のデザイン画作品集『Fantasies Decoratives』(1887年=明治20年発行)より、未綴じのプレート45葉が入荷します。画像はそのなかから選抜したもので今週中に店に入るのはこの内の半数。残る二十数葉は来週の入荷となります。
オーギュスト・アベールは磁器装飾の世界からその経歴をスタート、未だアール・ヌーヴォーという様式名が確立される以前より、新様式の作品で注目されたアール・ヌーヴォーの始祖のひとり。ジャポニスムの影響色濃い装飾デザインをいち早く取り入れた人物であり、ジャポニスムはその後またたくまにヨーロッパを席巻することになります。
オーギュスト・アベールの
画像にとったのは竹や錦鯉などのモチーフ、輪郭線に団扇を使ったり古典文様を取り入れるなど、とくにジャポニスムの影響著しい作品。
印刷はカラーリトグラフ。多くのプレートで金彩が使われており、この当時から陸続と刊行されたデザイン・プレート集のなかでも、かなり力が入った刊行だったようです。
今回入荷した『Fantasies Decoratives』のプレートと全く同一のものは小店が大岡山から表参道に移転したごく初めの頃 - いまからかれこれ18年前に一度扱って以来のこと。その程度に珍しいものではある、と云えると思います。
当時はまだデザイン画のプレート集などそれほど扱ったことがなく、インターネット上で拾える情報も実に少なく、従って今と比べると格段に安い価格で落札できたように記憶しています。この時もプレートは揃っていなかったものの、今回はついていなかった専用封筒とグリーンの上製ポートフォリオがついていたにも関わらず。
売り方にしても何の能書きも口上もなく、単に「ジャポニスムのきれいなプレート」として非常に安い価格で売るしかなかったことを思い出します。
10年ひと昔。18年となればほぼ二昔前のお話し。わけが分からないまま、ただただ面白いと思うもの、美しいと思えるものを、その気持ちだけで売っていた当時のことが、最近とみに懐かしく思い出されてなりません。 

商工省の外郭団体・貿易組合中央会が企画、名取洋之助率いる日本工房が編集・制作した対外広報誌『COMMERCE JAPAN』が久しぶりに入荷しました。
1938(昭和13)年12月発行の4号と1939(昭和14)年4月発行の5号。
4号はクリスマス~新年に合わせて日本の年末年始の風習(水引の種類と解説他)など。「折紙」のページには何と正方形の折紙3点の附録つき! まさかこんなものがついていたとは、当品に教えられました。
観音開き4P・大迫力のカラーページは「CHRISTMAS DECORATION A LA JAPONAISE」と題されたなかなか迫力あるイラスト。ここでも別刷の広重・箱根の図がちゃんと残っていて、表紙の一部欠けだけが惜しまれます。
5号はこの雑誌のなかでももっともよく目にする号ですが、16P~17Pの見開きの上に載ることになる、図版キャプションを印刷した薄い透明ビニールのページが残っているのにびっくり! これまで気づきもしなかったことですが、確かにキャプションが載ってこないと随分間の抜けたレイアウトに見えてくるから不思議です。
有名な地球に見立てた球体を貼り込むという手間をかけながら、折角のそこのところが痛んでしまっていることが多いという、いつも少々残念な当号の象徴的なページについても完璧な状態が保たれていて、そこそこ珍しい1冊と云えるかと思います。

■今週の斜め読みから。
アベノマスク500億、日本学術会議10億。そして、スカの教祖様・アト〇ンソン手掛けた日光東照宮修復は12億、終わって間なくはや劣化だそうで。キオスクと郵便局の違いは何故?とかも。ともかく。この国ではもう人権に対する権力の志向もお金の軽重も論理も倫理もねじくれてますわな。

法政大学学長声明。改めて。
https://www.hosei.ac.jp/info/article-20201005112305/?auth=9abbb458a78210eb174f4bdd385bcf54
世界の「ネイチャー」「サイエンス」からもメッセージが。
https://buzzap.jp/news/20201008-science-council-of-japan-overseas/?fbclid=IwAR1RGM0FFDLmgM0U7HyeiFXgY9HvtcEwi-SQZBwBeF4UNb01G2mLMDTXHcE
問題点がどうズラされているのか、何が問題なのか。まとめてこちらで。
https://news.yahoo.co.jp/articles/7b4a053bc12f2efa50b2b2fdb4ae4fccaf885dc2?page=1
弔意表明というのもありましたね。政権交代ひと月で分かったこと。
前政権より悪質だった…
あ! Aさん! 最近小店HPが見つからないと仰っていたのは、こういうこと書いてるからかも(汗)

 

20/10/02 ユーゲント・シュティールのショーケース ! クリムトのプレートも!!!


■先ずは来週の営業のご案内です。来週は10月5日(月)から6日(火)にかけて「資料会大市」が開催されます。これに伴い、来週、店の営業は10月8日(木)と10日(土)の2日間とさせていただきます。ご不便をおかけいたしますが、ご承知おき下さいますようお願い申し上げます。 

新着品の1点目はドイツ語圏のアール・ヌーヴォー = ユーゲント・シュテールを代表するデザイン画集のひとつ『ALLEGORIEN - Originalentwurfe (寓話 - オリジナル・デザイン)』
1896~1898年頃にかけて順次発行されたプレート集で、入荷したのはプレートナンバー1から120までのフルセットのうち、プレート4点欠の116葉オリジナルのポートフォリオに扉と序文、延々4ページにわたる目次とともに収められています
「アレゴリエン=寓話」という共通タイトルの下、「愛、音楽、ワイン、歌と踊り」「芸術と科学」「スポーツ」等のテーマを設定。毎回画家を選定の上、オリジナル作品を書き下ろさせ、プレートのスタイルで複製し数年にわたって随時刊行したものとみられます。

(当書についてはこれまでのところまとまった書誌情報にたどり着けておらず、当欄の記述は断片的な情報をつなぎあわせた内容となっています。このため、推測にとどまる要素を含んでおり、例えば刊行年については、プレート毎に拾えた情報から見て、これまでに把握できた最大幅をとっていますが、多少前後に広がる可能性があります。また、海外のサイトのなかには「12束」という記述も出てくることから、10葉ずつ12回のシリーズ発行された可能性がありますが、いまのところ断言は差し控えます。いずれにしてもこれだけのプレート数がまとまってケット=売買の場に出てくることは稀なことだと思われます。)

起用された画家にはまだ年若いカール・オットー・チェシュカやハインリッヒ・レフラーが居て、コロマン・モザー(プレート多数!)の名前があり、そして何と云ってもグスタフ・クリムトの名があって、さながらユーゲント・シュティールのショーケースの様相。図版はクリムトによる絵画的なものからレフラーのグラフィックデザインよりの作品まで、ヴァリエーションにもこと欠きません。
印刷も単色、フルカラー、金彩など多彩なら、技法もコロタイプや特色刷りからリトグラフまで実に多様。各作家のオリジナル作品を忠実に複製再現するべく心を砕き、仕事を惜しまなかったさまがうかがえます。
116枚を繰っていく醍醐味は捨てがたいものがありますが、当初よりプレート欠があるため、バラ売りの方向で明日以降、検討の予定。
ちなみに今回の更新で2点目に掲示している図版はクリムトのプレート3葉。欠番プレート4枚の内の1葉がクリムトのプレートで、本来なら4葉あるべきものでした。
こちらの商品も実は福富太郎のコレクションで、おそらく額装してどこかで使ったのか楽しんだのか、欠葉は鍾愛の証とも思われます。もちろん悔やまれることではありますが、プレート集の楽しみ方としてはむしろ正しいと云うべきなのかも知れません。

■こちらは店内の根雪からの発掘品。商品のタグと広告等切り抜きを集めたスクラップブックですが、特徴は何といってもアタマから尻尾の先まで"紳士用帽子と紳士用帽子に相応しい広告・プロモーションに関係するものだけ"というところにあります。 

今回改めて仔細に眺めていて、つい5年ほど前まで営業していた新潟の帽子専門店「ダイマル帽子店」に関係する人の旧蔵品だと気付きました。実用性満点のスクラップ帖だったものとみられます。
なかでも面白いのはタグなどトレードマークに関する紙片。当初、一見海外のトレードマークにしか見えず見落としていたのですが、こまかく読み始めてみるとローマ字表記の「帝国ハット」のヴァリエーションだったり「麒麟ブランド」「向い鷹」「飛龍」だったり、そのほとんどが国産品のそれ。
また、広告は日本の百貨店各店や丸善などの紳士用帽子の商品広告と、同じく紳士用帽子セール用の広告とで占められています。
戦前から終戦直後、都市の雑踏を写した写真を見ると男性の9割以上が帽子をかぶっていたりして帽子着用率の高さには毎度驚かされますが、男性のおしゃれに欠かせないアイテムであったこと、広告やディスプレイなど人の目につくものについてはとくに、おしゃれアイテム(う。死語だ…)に相応しいハイセンスを目指していたことがよく分かると同時に、努力のほどが伺えるスクラップブックになっています。
つまらないお話しですが、今回初めて気付いたことがもうひとつ。
インスタグラムの「お気に入り」は 21世紀のスクラップブックだ !

今週の斜め読みから。ってか、言語道断だという自覚がない人に政治を任せていることがそもそも言語道断だと痛感した一週間でした。
問題はもちろん あれですね。
https://www.facebook.com/shigenori.kanehira/posts/3340451459370121
https://www.tokyo-np.co.jp/article/59110
おまけ、ではなくまじめに。この言いぐさの酷さもまた…。
https://lite-ra.com/2020/09/post-5655.html

 





20/09/26 双眼写真の本格派ビュアー/川久保玲 衣裳の仕事

■今週金曜日は久しぶりに市場の楽しさを思い出しました。何と云っても出品の多い市場には、やっぱり面白いものが混じっているものです。
がしかし、さすがにここまで楽しいものが出てくることはあまりないぞ。いや二度とないかも。というのがこちらのいかにもアンティークな木製品。ちょうど小店店主一人分くらいの大きさ、いわゆる「起きて半畳寝て一畳」より少し小さいかな。というくらいの物体。人としてはかなり小さいけれどもブツとしては存在感充分といったところですね。
さて、これは一体何かと云えば、ステレオスコープ=双眼写真を見るための装置です。双眼写真がはやった19世紀末~20世紀ごく初期までのものと見られます。
ステレオスコープのビュアーと云えば、溶接作業の時に使うような手持ちのゴーグルのようなスタイルが一般的で、これほど大掛かりで本格的なボックススタイルのビュアーを見たのは初めてです。しかも、これがかなり良く出来ている。
装置正面の双眼レンズの部分から覗いて見る方式なのですが、箱の左右側面についているダイヤルをまわすと、箱の内部に装着された双眼写真が次々入れ替わっていくというもの。縦方向に動くベルトコンベア状の仕組みに、一定間隔でクリップ付きの枠が設けられており、ここに写真を装着していて巻き戻しも可能。箱の深さから見て、双眼写真がざっと100枚くらいは仕込まれているのではないかと思います。
正面の覗き眼鏡の上のレンズ、背面の素通しのガラス(可動式)、内部に装着する可動式の鏡(写真撮影時にはとりはずしていました)で光を調節、覗き眼鏡のピントをやはり箱の側面にあるダイヤルをまわして調節しながら覗いていると、眼鏡の向こうで立体写真が立ち上がってくるという趣向。
さて、この装置は一体いつ、どこでつくられ、どのうよに使われていたものなのか…?
新しい技術系の装置には、たいてい製造所なり販売代理店なり、何かしらネームプレート様のものがつきものですが、当品については一切手掛かりがありません。深夜0時をまわって検索を続けるも類似品発見に至らず。卓上設置可能なサイズで当品と同じような箱型のもの(Taxiphote)は見つかるのですが、そちらは技術的にもっと進んでいるようです。 

改めて当品について考えてみると、機能に必要なスペースだけでつくれば、おそらく現状の二分の一~三分の一の高さで済みそうなのに、この"いらぬ大きさ"、良質な材木、家具調のフォルムなど、見た目に対する何かしらのこだわりが感じられます。趣味が嵩じた人がオリジナルでつくらせたか、興行用につくらせたか、そのいずれかではないかと。で、どちらかと云えば、後者の可能性が高いのではないかと推測しているのですがさて…???
ちなみに旧蔵者はキャバレー王にして絵画蒐集でも知られた福富太郎。旧邸に一室だけあった洋間にドールハウスと並んで置かれていたもので、これだけは対外的な活動とは完全に関係を断った極私的趣味だったのではないかと窓口となった同業の方から聞きました。
ますます世界に1台かもと思いたくなるこの物件、店に置いている間は福富太郎さんにあやかりたいものです。
あ! 画像は入札会が開催された東京古書組合で撮影。市場が終わって商品、什器もろもろきれいに片付けた会場です。台車は非売品(!)。この場では小さく見えると思いますが、これが店に届いた途端に ふえるわかめよろしく …… ということは一晩だけ忘れていようと思います。

アンダーグラウンド演劇公演については以前から関心を持っていましたが、ポスターの入荷は今回が初めて。全部で4種の入荷ですが、狙いは1点『アンダーグラウンド演劇公演No.9 蠍座プロデュースNo.8 一時間の恋』。1969年に上演されたこの芝居で、衣裳を担当したのは当時スタイリストとして活動していた川久保玲。奇しくもコム・デ・ギャルソンのブランド立ち上げと同じ年に手掛けた舞台の仕事です。ポスターはシルクスクリーン刷でデザインは小島武。
実は最近の店内発掘作業により、この公演のチラシを発見した…はずなのですが、それをどこにやったのか一向に思い出せず、明日はまたごく最近一度は片付けたはずのところをひっくりかえす日月堂の堂々巡り。やれやれ。何とかしたいものであります。

■今週の斜め読みから。
スガノミクスの一側面。
https://www.news-postseven.com/archives/20200918_1596267.html?DETAIL&fbclid=IwAR3mRWhTtbLqLSEwP84_p3oEMFnOKBeSjn9uvqp5W282HnNggNh4hKt9rrk
タケナカヘーゾーのタクラミ。
https://mobile.twitter.com/NTUY_uncle_bot/status/1308376741635710981?fbclid=IwAR390XBOlZgdCtJX2ondg96VQmE0hhY_BEDEXw989gDidWYINk2dyVCingo
「自助共助公助」ノ読ミ方。
https://mobile.twitter.com/NTUY_uncle_bot/status/1308376741635710981?fbclid=IwAR390XBOlZgdCtJX2ondg96VQmE0hhY_BEDEXw989gDidWYINk2dyVCingo
どこに絆の生まれるものか…。
 

 

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