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19/03/30 明治と昭和のデザインで 平成年間の更新打ち上げ !

■平成最後の更新です。

 * 業務繁忙につき4月は更新をお休みする可能性が高くなってきております。
店の営業も一部不定期に。営業日程については確実になり次第、「営業日のご案内」でお知らせいたします。

大岡山で日月堂を開店したのは1996年、平成で云えば8年。連日NHKのニュース番組で昭和天皇の容体が読み上げられるのを眺めていた日々が、まだそう遠くはない頃のことでした。
このHPを立ち上げたのが表参道に移転したのとほぼ同じ2002年=平成14年の初夏のこと。そして、それまで不定期だった新着品のご案内を週に一度、定期的に更新し始めた日が2006年=平成18年の3月27日。13年前の、奇しくも今日とほとんど同じ日付のことでした。
平成31年間のほぼ半分の年月を、このHPとともに歩んできたことになります。
平成時代と云ったところでまだスマホやらタブレットやら普及する以前の時間の方がずっと長く、どうやって当HPにたどり着かれたのか、苦労の末にたどり着き、場合によっては土曜日の朝だと云うのにわざわざPCを立ち上げてご覧下さった方たちも多かったのではないでしょうか。小店は、未だ不便をかこつ時代をともにした方たちなしには到底やってこられませんでした。ここに改めて深く御礼申し上げます。
激動の (とりわけ本、古本をめぐる環境は実に激しく変わりました) 平成年間、開店から今日まで小店を支えて下さいましたみなさま、本当に、有難うございました !
 

さてさて。ここからはいつもと同様、力を抜いて。
平成最後の更新に何を選ぼうかと、考えた結果、明治の図案集と昭和のデザイン画を選びました。
先ずは前者。『図案百題』布装の帙入り、折帖仕立ての3冊本で、全て木版多色刷の全78見開き、1面に1図~3図を配しています。明治43(1910)年、木版刷の図案集の版元としては最も高名かつお馴染みの芸艸堂から刊行されました。当書はその初版です。
著者の荻野一水は以前『応用漫画』の著者として当HPでもさらりとご紹介したことがありますが、明治の後期、もっぱら芸艸堂または山田芸艸堂から木版刷の図案集を刊行していた人。但し、その出版点数は決して多くなく、また当人に関する情報も非常に乏しく詳細は不明。
がしかし、この人のセンスは明治の図案家の中でも際立って現代的なのか、画像検索するとやたらに現代=21世紀初頭キモノの画像が出てくるのに驚きました。知名度を遥かに超えるデザインの再利用率です。
とはいえ、あくまでレトロなデザインとして受容されているのであって、新着品2点目の「Shin」という署名だけに僅かに作者の痕跡を残したデザイン原画 (便箋の表紙、舞台装置などの習作・原画等) は、デザインの根本からして違っていることが分かります。サインの横には小さく年月日が書かれており、ほとんどが1929年か1930年に描かれたものと分かります。
Shin氏による時代の尖端を目指して行われたデザインの試行の背景には、例えば具象から抽象化への転換や、情感から理性へ、曲線から幾何学へ、装飾から構成へ或いは機能へ等々、明治とは大きく異なる時代の要求や流行があったはずです。 

明治43年=1910年と昭和4年=1929年と。
約20年という歳月の間に生まれたこの違いは、元号で二つ前の時代の人にとって、果たして簡単に受け入れられる程度のものだったのだろうかと、いま改めてそんなことを明治の人に聞いてみたくなりました。
元号ふたつ。実はここが気になっておりまして。 
 

■元号での記載が強制される一部の文書を除けば、領収証から印刷物まで、小みせから出ていくものについては全て西暦で通してきたこともあり、実のところ、新しい元号が何になったところで影響はありませんし、さしたる興味もありません。
思うことはただひとつ。
これから生まれてくる人からすると、自分は「元号ふたつ前のヒト」ということになるんだなという少なからず驚異的な事実です。お客様から指摘されて仰天したことです。
私にとって元号ふたつ前と云えば明治のことで、明治の人と云うのがちょうど祖父祖母にあたったわけですが、祖父祖母の世代となるとそれはもう「びっくりするほど遠い遠い昔の人」という印象でした。育った環境はもう別次元だったと思います。
これから十数年もすれば、私も「びっくりするほど遠い遠い昔の人」になるのでしょうか!?
はい。そうです。
おそらくは。なるんですよね。
びっくりです。
小店店主、昭和36年・西暦1961年生まれですから列島各地が焦土となった敗戦から数えてわずか16年後、依然堂々たる“戦後”の風景をとどめる日本に誕生した計算となります。押しも押されぬ昭和世代であります。思えばいまでも充分、昔の人ではあるのでした。
友達にも孫が生まれて続々祖父祖母になってるし。古本屋は歳とってからが勝負らしいし。ちょっと動揺してしまいましたが。
年寄りが動じてどうする。
どんとこい新元号。

ですね。

繰り返しますが、平成最後の更新です。
いいのかこれで。

新たな時代も どうかよろしくお願いいたします!

 

19/03/23 ナム・ジュン・パイクで海藤日出男旧蔵品入荷は続く。そして追記も続く。

■深夜3時をまわってようやく文字部分を書き始めましたが、いやはやもう私のおつむからはいくら振ってみたところで何も出てくる気配なく、商売に結び付かない事案に追われたこの一週間のツケは大きかったようであります。頭まわらないくせに、いまどき真っ先に黙殺される長ったらしい一文だけは書けるというのも考えものではあります。一体何やってんだか。と、ぼやいていても仕方ないので。
兎にも角にも今週の新着品より。

1点目は今週またしても市場に現れた海藤日出男の旧蔵品より、落札第一希望に狙いをつけたナム・ジュン・パイクの自筆書簡等3点を無事手に入れました。
ナム・ジュン・パイクはご存知のように「ビデオアートの父」と呼ばれるアーティストで、フルクサス等現代美術はもとより、現代音楽との関りも深かった人。ニューメディア・アートの草分け的な人物です。
画像上方に置いた縦長の図版は同じ紙モノの表と裏で、1978年にフランスはパリのポンピドーセンターで上映された「ジャルダン・ビデオ(jardin・videos)」のポスター兼パンフレット。ポンピドーセンターは1977年の開館ですので、会館間もなくのことになります。
私が初めてパリに足を踏み入れたのは1980年代の半ばのことで、この当時、ポンピドーセンターに隣接するパリ中央市場跡はまだまだ工事の真っ最中。メトロの駅に続くショッピングモールの一部が開業していたものの、地上はどのような景観になるのやら、まだまだうかがい知れなかった当時のことを思い出しました。
工事現場特有の殺伐とした風景の向こうには、内燃機関=体内器官をむき出しにしたような意匠のポンピドーが聳え、その館内に並んだブラウン管テレビ( ! )には実験的なビデオアートが繰り返し流れている …… 古いものと先端とが入れ子状に併存するその風景は、1980年代に流行した“懐かしい未来”そのままだったのではないかと、そんなことを思いました。
ポスター兼パンフレットの表には「Kaido」「Paik」、裏側には「海藤先生」「Paik」「白南準」とナム・ジュン・パイクの自筆入り。いずれもダーマトと青色と一部赤色を使って書かれています。

画像下方の二折りDM状の印刷物と、この印刷物と同じギャラリー名入りのレターヘッドを使った書簡は1980年、ギャルリー・ワタリで開催されたナム・ジュン・パイクの個展「VIDEAいろいろ」の折のものと見られ、DMはダーマトのブルーで書かれた「白南準」の署名入り。書簡は「海藤先生」宛ての2枚で、音楽評論家の丹羽正明の名前が出て来る他、ギャルリー・ワタリで“テシガハラへの敬意”を展示しているので「おひまがあれば…」と書いています。こちらは終始ペン書で、「白 南準」「Nam June Paik」の二種の署名入り
ポンピドー1点とワタリ2点での分売を予定しております。

■ただいま午前4時30分。これからの作業はさすがに回避したいため、昭和14(1939)年『日独青少年団交驩事業』関係の3冊子については本日中に追って追記いたします。
しばしお時間をいただけますようにお願い申し上げます。悪しからず <(_ _)>
 

 

19/03/16 プロパガンダ2題 イタリア・ファシスト党とチエコスロバキアのスバルタキアード

■20世紀、人間はよくも悪くも、それまでの時代にはなかったたくさんの事物を発明し完成させました。プロパガンダもまた、そのひとつに数えてよいのではないかと思います。20世紀の視覚的分野を扱う小店としては避けて通れない、と云うよりもむしろ、きちんと提示しておきたいと思うテーマのひとつです。
こうした前提は、とりたてて説明するまでもないものだと思っていたのですが、最近になって考え直すようになりました。
直接的なきっかけは昨年の11月にSNSに投稿したヒトラーがらみのファシスト党プロパガンダ書籍をめぐる、古い友人からの書き込みにありました。その友人はいま海外で生活しているのですが、近しい関係にあったドイツ人の左翼的思考への反発から、ナチスに対する好奇心が強いのだと云い、日本ではナチスがらみの商材を扱うのに規制はないのかと尋ねてきたのです。
非常に深く考えさせられました。
こうしたものを扱う小店なりのスタンスを、一度きちんと説明しておくべきでところにきているのかもしれないと思いました。 
次の印以下は、その書き込みに対するメッセージとして、数時間だけ公開したものの一部です。
 
新着品は、1938年、イタリア・ジェノヴァの月刊広報雑誌『GENOVA』の「与党ファシスト党凱旋訪問」大特集号と、1955年、チェコスロバキアで開催された第一回スパルタキアードの記録写真61点より。
「スパルタキアード」についてはGoogle先生が詳しくご教示下さいますので、ご興味ある方は一度ケンサクしてみて下さい。
それにしても、イタリアのプロパガンダの洗練には毎度驚かされ、ナチスと戦後社会主義国家=全体主義の求める「健全」(民族の祭典 vs スパルタキアード!)の何と似ていることか!
来週の新着品は「日独青少年団交驩会」事業報告関係冊子とプロパガンダが続く予定です。
 
左翼プロパガンダとナチスプロパガンダとは表現がそっくりだったりして、すぐれた表象というのは、実によく、そこにある精神をあらわすものだと感心します。実際、日本の『FRONT』という戦時プロパガンダ雑誌は、ソ連の『建設中のソ連邦』をお手本にしたと云われています。どれも自分たちが一丸となって進む先に理想的な社会が、新しい時代が拓けるのだと、何の躊躇いもなく謳いあげています。

私は、人類が犯す愚行のひとつは、政治がその権力によって「単一」のユートピア像を「強制」することだと考えていますが、人々がひとつにまとまった社会こそ理想の社会であり、そのためには強制もやむを得ないと考える人が居てもおかしくありません。
人の考えに枷をかけることはできないし、例えできたとしても、余程のことでない限りそれはしてはいけないことです。
人の考え、価値観は、多様である方が良い。
そのためにも、人の歩んできた歴史は、できるだけ多くの事実を、或いはかすかな痕跡であれ、できる限り隠すことなく、残しておくことが大事だと思っています。後に続く人たちが、ものごとを考え、判断を下すうえで、ひとつでも多く、多様なヒントが得られるように。多様な考え・価値観が、過去によって支えられ 或いは 赦されるように。
 
古本屋にできることは、過去の事実を、あるいはその痕跡を、できる限りありのまま差し出すことだけです。
 
同じものをみても、思うところ必ずしも一致しないのもまた当然のことです。
違いがあるからこそ対話し、考え、想像することが必要なのだと思います。
 ご来京の折には是非時間をつくって小店にお立ち寄り下さい。叶えば何と30年以上の時を経た後の再会です(何と長い歳月が流れたことか!) 。
その日を楽しみにお待ちしております。 
10.11.2018
 
■関係がないようで関係がある今週の2篇。
『掃除で心は磨けるのか――いま、学校で起きている奇妙なこと』
https://twitter.com/chikumasensho/status/1102438802377723904
「迷惑をかけた」の半分以上は
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00116/00011/?P=5 

 

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