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18/03/17 「記録写真」で見る戦後TOKYO風景

■3月10日(土)は13時まで店内が少々立て込みます。お買い物のお客様には13時以降のご来店をお願い申し上げます。

記録写真であります。そも、記録写真とは何か。各種サイトの引用が目立つ「ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説」によると、「ドキュメンタリー・フォトともいう。伝達媒体にかかわりなく,事実を客観的に描写し,内容的に資料的価値をそなえた写真。しかし記録写真はしばしば大衆に社会的現象の本質を啓蒙し宣伝する役割も負わされている」と定義されています。
ふむふむ、伝達媒体にかかわりないわけですね。加えて「社会的現象の本質を啓蒙し宣伝する役割」もあると。
これ、反対に云えば、主に権力や権威・資本の側にとって都合のよいように社会的現象を誘導しようと企てた伝達媒体上で「啓蒙し宣伝する役割」を負わされた写真もまた記録写真だと云えそうで。で、多くの場合、それで「やりすぎる」ことになるのでしょうが。いまも昔も。
そんなものばかり見てきた結果、記録写真というものに対しては - 先だって新入荷した『犯罪科学』のグラフ・モンタージュの未見の号などごく一部を除いて-何だかもうドキドキもワクワクもしなくなっちゃったなあ、何だかロクでもないなあとか、ついついそんなことを考えてします最近であります(これ、古本屋としてはまずい状態)。
では一体何なら反応するのか? …… と云えば、ひとつは純粋記録写真とでも呼びましょうか、ただもうひたすら、今この一瞬を印画紙上に定着させることだけを思って撮影された写真。
あともうひとつが、芸術を志向しながら表現の域に達することのできなかった 芸術写真滑落組。「表現」からこぼれ落ちた結果「記録」になってたとでもいうべき筋の写真です。
今週は現在在庫している写真類の中から、このそれぞれの筆頭格にあたる写真群のご紹介です。

■1点目はネガのベタ焼きと手札判の写真から成るスナップ写真群。1枚の手札判の写真の裏に、「僕の東京今昔」という書き付けがありました。終戦後15年。1960年前後の東京で、失われつつある街の風景を撮った写真のシリーズです。
しもた屋風の銀座の床屋、埋め立て前の数寄屋橋、お屋敷町を巡り歩く屋台の飴屋、一の橋あたりの銭湯入り口、夜の食料品店等。この他、本郷菊坂上から見下ろした風景、西片町あたりのしもた屋、根津権現界隈、三田・慶応大学正面、高輪のお屋敷街、銀座の火事や渋谷東横裏など。
小さなベタ焼き写真をルーペで覗いていると、ちょっとしたタイムスリップ気分が味わえます。
この系列と同じものに、高速道路がかかる前の「世界労働者会議関係者 日本視察記録写真帖」、「奉天学校関係者の写真アルバム」、「日本橋祭り 記録写真」「新日鉄 広畑製鉄所 社宅建設記録写真」、いまは簡単に出てこないところにあるはずの京都周辺部の村落調査の記録集など在庫しています。 

2点目はここのところ2度ほどひっそりご紹介していた 駒場高校写真部の生徒が撮影した写真1952年から翌年にかけて撮影された写真がアルバム3冊分。そのほぼすべてが都心の雑踏で営まれる人々の仕事とその表情です。当時の高校生の技術的なレベルなど全く分かりませんが、端的に「佳い写真」だと思ったのが仕入れの動機となりました。繁華街風景に溶け込む女性、こども、老人、GHQの駐在員。ものを売る人、駅で待つ人、歩道にうずくまる人、演説する人、etc.etc.
この系列と同じものに、青年写真家同盟の一員だったと思われる人が撮影した農村・漁村の人たちの写真群、など在庫があります。
また、ベトナム戦争当時、赤十字が広報用に撮影した写真ネガベタ焼きのひとかたまりには外部に出なかったカットも多く、記録性という点で意味のある一群だと思われます。

■「東京今昔」と「駒場高校学生の写真アルバム」についてはほとんど個人的趣味の領域にあるため、売るというより今後イ時々ンスタグラムにアップするなど、少しずつ公開していこうかと考えております。販売については応相談といった感じで。
また、このような写真をお持ちの方、捨てちゃう前に是非小店まで ! もちろん誠実買取いたします。何卒よろしくお願いいたします。

「改竄に関与したのは職員」とは、「法隆寺を建てたのは大工!」的な。
アメリカ大陸発見は見張りの船乗り?
☝FacebookのTLより
そして末筆ながら、これだけはちゃんと見ておかないとというサイトです。
https://www3.nhk.or.jp/news/special/moritomo_kakikae/







 

18/03/10 19世紀末のパリで刊行された『LA DECORATION ARABE』

■今週、「記録写真」について、これはと思う在庫をアップするつもりでいたのですが、実際に実行するには色々と画像の処理だけで時間をとられること必至 …… ということに遅まきながら気付いた時点もう深夜もいいとこ。辛うじてこの頁の左斜め下、「その他のご案内」の頁に画像1点を追加するにとどまりました。
それひとつやっただけだというのにもはやもーれつな眠気に勝てそうになく、今日のところは新着品も1点だけの更新です。
小店なりに考え用意しておきながら、しかし時間切れでチャンスを失った「記録写真」については来週改めてご紹介することとして、今週の新着品は下記の通り。
■1885年にパリで発行された『LA DECORATION ARABE』。カラー石版刷・100図から成るアラビアの装飾図案集です。
ご存知の通り、偶像崇拝を厳しく禁じたイスラム教文化圏では、幾何学模様や唐草模様をモチーフに左右対称と反復を特徴とする意匠デザインが壁面、天井、モザイク、木工、ステンドグラス、ファブリック、製本、器、その他装飾品に使用されますが、そんなアラビア風の意匠をまとめたのがこの本。
これまたご存知の通り、19世紀末のパリでの刊行とあって、プレートは極めて優れた石版刷で表わされており、小店店主の好みが障害となり (…うう。またか。) 画像は地味に見えるかもしれませんが、実際には金色銀色などふんだんに使ったプレートが多数。大変に豪勢な印刷物となっています。
図版プレートは75点。プレートに足をつけて綴じ込み、上製本に仕立てられていたのですが、糊が弱って完全にはずれてしまっており、加えてプレートによって状態にバラつきがあることから、ただいま現在、プレートバラ売りの方向で考えております。乞ご期待!!!
今週はこの他にも …… 入ってきたはずだというのに、仕分けによって混迷を極めた店内のどこにいってしまったのか、新着品のアレもコレも行方がしれずという実に古本屋的状況に陥っております。先ずは明日土曜日の店内お片付け、それから来週初めの当ページ更新。顎が干上がらないうちに、この二つ、頑張らないとマズいぞこれは ……

………  (-_-;)




 

 

 

18/03/02 ミュシャの、ロートレックのリトグラフ入り! 『DAS MODE PLAKAT』!! 6年ぶりの再入荷!!!

■春風駘蕩、とまではまだまだ云えませんが、にしても東京は、一昨日・昨日と春到来を思わせる暖かさに恵まれました。春眠暁を覚えず、と云うこちらの方は小店店主の上に本格的に訪れたらしく、小店店主、終日とろとろとろとろ… と誠に締まりなく、一刻も早く寝床に入りたいらしい。
といった次第でありますから、本日はひたすら駆け足での更新とさせていただきます。まだ3月に入ったばかり。先が思いやられます。やれやれ。

新着品の1点目は、2012年以来2度目の入荷となった『DAS MODE PLAKAT』です。
1897年にドレスデンで発行されたこの本は、近代ポスター芸術の絶頂期の秀作を集めたまさにマスターピースと云うべき一冊で、ジュール・シェレ、ミュシャ、ロートレック、スタンラン、グラッセなどの代表作をポスター現物同様リトグラフで印刷、カラー52プレートを綴じ込んだ実に豪奢な本。ちなみに画像では左から、グラッセ、スタンラン、ミュシャ、ロートレックです。
これら名前を挙げたスター作家が全員存命中の出版だったというのも、前回入荷の時に確認済み。
2012年当時と比べ物にならないほど注目されるようになったジャポニスムに関する当書での扱いを含め、詳細については前回ご紹介した際の記事が下のアドレスにありますので、そちらでご確認いただくとして (と、半ば強制)……
http://www.nichigetu-do.com/navi/info/detail.php?id=631
…… ご覧の通り、前回と先ず異なるのが書籍の外装。保存用のことだけを考えたとしか思えない明らかにチープな改装 (というか残念なことに「改悪」)といわざるを得ません。 

扉から本文、場合によってはリトグラフの余白部まで、十数か所にペタペタ押されている「貯金局図書」というスタンプが前回とのもうひとつの違いであり、この外装を説明してくれます。
がしかし。大正9(1925)年に設置され、「郵便為替、郵便貯金、年金恩給の給与、各官庁の徴収する歳入金の受け入れおよび歳出金の繰り替え、払渡しに関する事項を管掌した」
と云う「貯金局」が何故、このようなバリバリのポスター専門書を蔵書としていたのか…? 証書の類のためのデザイン資料か (それほどの印刷物を必要とされていたのか?)はたまた関係者個人の単なる趣味か??? こちらのギモンは当分解けそうにありません。
*貯金局については下記のサイトを参考にしました。
https://www.jacar.go.jp/glossary/term1/0090-0010-0070-0030-0090.html

■さて、もう1点、『Bush Terminal Sales Building』のパンフレットについても本来なら、それなりの説明が必要なのですが。そろそろ本気で眠たい。眠りたい。眠りこけたい。
よって誠に勝手ながら大幅に端折ります。
ニューヨーク、マンハッタンの中心部で偉容を誇るスカイスクレーパー『Bush Terminal Sales Building』の商工取引案内所としての内容を紹介したもの。高級サロン風のインテリアから、食堂やライブラリー、レファレンス・システムなどの機能、パッケージ用品やファッション雑貨、子供服、ハウスキーピング用品など多岐にわたる出店からなる商業ゾーンまで、雰囲気のある写真で紹介しています。 こちらは1918年の発行。物質文明、ここに極まれりの観すでにあり。20世紀のアメリカの物質的な豊かさにはやはり目を見張ってしまいます。これもまた、ある時代の「記録写真」のひとつです。

 

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